2021年4月27日火曜日

『まんがタイムオリジナル』2021年6月号

 『まんがタイムオリジナル』2021年6月号、発売されました。表紙は『ラディカル・ホスピタル』がメイン。これは民族衣装で民族舞踊? 山下さんはチェックのスカートで元気にステップ。スコティッシュ・カントリー・ダンスかな? なんかはつらつとした印象があって、山下さんによく似合ってる! 素敵ですよ、ほんと。『小森さんは断れない!』しゅりはというと、タヒチダンスかな? 腹筋がえらいことになってる! 『らいか・デイズ』らいかは、これどこの衣装だろう、可愛いですよね。これも踊りなのかな? ペルーとかそのへんの気がする。ほんと、似合っててすごくいいです。

『となりのフィギュア原型師』

飯塚イスカ、再登場。めちゃくちゃ面白い。3Dプリンタを更新したので、古いものを譲ってくれる。というので心待ちにしていたら、飯塚イスカ本人が持ってきた。というか、わざわざ宅配で送ったのを工房前で受け取って、玄関チャイムを鳴らしたのか。なかなかの策謀。この手口で荷物を略取されたら、宅配便、結構な被害者だな……。

ともあれ、突然工房にやってきた、ボディコンシャスツナギの女。最初はどう対処していいのかわからず、視線もあわせられなかった半藤が、そのツナギに隠された特殊な構造を知った時、一気にモデラーの好奇心が点灯する! なんだ、ちょっとかっこいいぞ。

今回は代表が連続涙目回でしたね。イスカには出し抜かれ、かつて自分がけしかけたのが災いしてせっちゃんにも先を越されているというこの惨状。ほんと、この代表の純朴なのか駆け引きが下手なのか、出遅れてうろたえまくる様子、面白いやら可愛いやらで最高だったと思います。

それと3Dプリンタの構造とか、これも面白かった。そうか、光造形ってそうやって作るんだ。ほんと面白くってタメになるいい漫画です。で、出力完了するまで6時間かかりますか! すごいな。ほぼ一晩ってとこだなあ。こりゃあなかなか簡単ではないですよ。

『おしかけツインテール』

花梨と八重、俊郎の3人で海にいきましたよ。花梨、水着もいい感じですね! と思ったら、八重さん、えらいの着とるな。どえらい攻めた水着やないですか?

今回の俊郎の語ったこと、それがね、なんというか、よかったなあ俊郎さん、そう思わずにはいられない、そんな感情もよおさせてね、そうか俊郎は花梨たちとの暮らしをきっかけとして青春のやりなおし? あるいは人生の生きなおしみたいなことをしとるのかなあ。どうせ海なんて楽しくない、そう思い込んでずっと生きてきたのが、今日のこの経験で塗り替えられたっていうんです。

海楽しい、皆でわいわいやるの楽しい、一緒に食べるお昼もおいしい。そうした感覚。そこに夏を舞台としたジュブナイル映画の話題が加わって、ほんと、俊郎、泣くなよ。でも気持ちはわかるんだよ。ほんと、自分がこの立場にあっても泣いてしまうかも知れない。いずれくる花梨や八重との別れ、そうしたことも手伝って、この場面はなかなかにずしんときましたね。

『Dr. こよりの美味カルテ』

前回、論文の研究のっていってこよりと対立的だった新里優樹菜。またも登場。とてもいい感じではないですか!?

この人、ユキナ、いろいろ言動が災いして誤解されるタイプなのかも知れないなあ、というのは前回の論文のことと今回の気まずい発言、ふたつあわせての感想なのですが、だってね、こよりに論文論文っていうのは、こよりの能力を買ってるからなんじゃないかって。そして患者と会うと気まずい発言も、決して人づきあいが悪いとか嫌な人とかいうんじゃなくて、患者の予後によっては気まずいという、共感のこもった発言だったっていうのが描かれるでしょう。ちょっと損するタイプだなあ、とは思うけど、今回、研究ばかりでない、治療者としての表情も見せてくれたこと、そしてそれがこよりのユキナに対する印象も変えさせたこと、それがつくづくよかったと思わせてくれました。

しかし、今回描かれた食道アカラシアの人。食道が狭窄して食事ができなくなるんだそうですが、手術かバルーンを使ってなお普通に食事ができるようになるのに3年かかる。この闘病の時間的スケール、大変だ! っていうのもあったし、けど同時に、3年前の回想ではあんなに痩せ細っていた人が、今再会した時にはずいぶん肉付きもよくなって、恢復してる! それがわかるように描かれてるのはさすがだなあって。

一口に医療といっても、その関わり方、携わるその思いにはいろいろ違いがある。でも、スタンスこそは違っても、共有できるものがあったり、同時にわかりあえないこともあるんだと思うんですけど、そのわかりあえなさがひとつ克服された。今回描かれた関係は、理想的かも知れないけど、それゆえにまたよいと感じられるものでした。

『敷金礼金ヤンキー付き』

たえが見掛けた、アパートサンライズ荘を遠くから眺める女性。いったい何者だろう。入居希望者? この冒頭に描かれたこと、たえの発想はどこかポジティブで、反対に大家のそれはリスクも含めたシビアなものだというの。これは育ってきた環境が違うから、というのもあるだろうけれど、常にポジティブがよい、正しいわけじゃないということを突き付ける展開が待っていること考えたら、結構象徴的な描写だったんじゃないかと思うんです。

今回、七恵の家庭環境が語られたのですが、それが結構ショッキングなものでして、母に殴られて育ってきた。父親は不在。姉は殴られてる七恵を見ても無関心。あまりのことに、たえも絶句していますね。なぜ母親が七恵につらく当たるのか、たえにはそれがわからない。いや、七恵にもわからないんでしょう。父親似だからじゃないかな、さらには血がつながってないんじゃないか。笑って話すんですが、ある意味、家族関係を割り切って、自分の中から差っ引いてしまっているように見える。そうでもしないと、きっと、七恵はここまで生きてこられなかったのかも知れない。うん、やさぐれるのもしかたない、そう思わされる話でした。

七恵の身の上を聞いたたえの反応。これだけでこの子が、物事をまっすぐに見て、信じられる、そんな環境に育ってきたことがわかる。いつか和解できるかも、だって家族なんだから。たえの家というのは、そうした信頼のできる家庭であったんだなあ。だからこそ、そうでない家があることを想像できない。その、たえが想像の及ばない世界に関わってしまった今回。胸が痛むなんてものではありませんでした。

冒頭の謎の女性、あれは七恵の姉ではないか。七恵のことを心配して見にきたんじゃないか。そう思って、その女性のもとへと向かうたえですが、この時、やめろ、やめてくれ、そんな気持ちでいっぱいになって、だってよく知らない他人の家庭問題に首をつっこむもんじゃない、きっとよくないことがおこる、そう思わないではおられなかったから。そして、本当によくないことがおこってしまって、こんなの、こんなの、たえでなくとも泣いてしまう。

七恵の姉、ただの無関心だったらどんなにかよかったでしょうね。けど、無関心どころか悪意、嫌悪がここまであからさまにされた後だからこそ、むしろ様々な個性、あり方を受け入れるこの場所のよさが際立つこととなって、こんなの、たえでなくとも泣いてしまう。

サンクチュアリという概念があります。傷ついた人を迎え入れ保護してくれる安全区。このアパートはサンクチュアリだったんだなあ。このこと、大家はわかっていそうな気がする。無茶ばっかりやってる人だけれど、こういうとこ香緒里はなぜか信頼できる気がします。

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