『まんがタイムきらら』2021年5月号、昨日の続きです。
『ぎんしお少々』
もゆるのコミュニケーション、いろいろあやしくておかしいですよね。首から下げてるカメラ、おおっぴらにしないようにと先生から注意されたのに、その目立つってところに反応して、自慢の子です! めちゃくちゃ嬉しそう。しかもその後唐突に、先生には可愛い娘さんがいますよねとかいっちゃうもんだから、脅迫文句と思われて先生もしろもひいてるよ!? 悪気はないだろうのに、ついついトラブル招きそうなこといってしまう。損するタイプだよなあ、もゆる。そういえば、初対面のしろもビビらせてたよな、もゆる。ほんと、損するタイプだよなあ。
そんなもゆるに、先生からの提案。しろが伝えてくれたんですが、写真撮ってコンテストに出すといい、写真の同好会を作って、活動実績積んでいけばいい。いいアイデアですね。しかもしろが、もゆるに写真を続けてほしいという。その気持ちの変化? その思いの源泉が、先日語られたすずとのやり直し遠足の思い出、残されていた写真であったっていうんですね。
ええ、素敵な変化、素敵な影響だと思いましたよ。そしてもゆるは、小学生しろを手元に残したいというので、手持ちのカメラで写真を撮影しようとするんですが、いやあ、ホルガでは無理じゃない!? だって、普通にフレームに収められないような気がする。写真の複写するなら、一眼タイプじゃないとパララックスあるからうまくいかないんじゃないかな。
でも、あえてホルガで撮りたいというもゆる。その意図を言葉にすると、そうか、そういう思い入れ、悪くないなって思える。意図がわかればしろもそれを受け入れる余地がある。もゆるの思い入れに共感していくその様子もまたとてもよかったです。
『しあわせ鳥見んぐ』
すず、岬にいわれたこと、ひきずってるんだ。自分の不用意さが鳥を怖がらせている。鳥と人との距離を知らずにいたこと、それは果たして鳥にちゃんと向きあえていたのだろうか。その迷いがために、自分は無邪気に鳥の絵など描いていていいのか、後ろ向きになっちゃってるんですね。
翼に相談するといい。前回そんな感想を残していましたが、よかった、今回はすずと翼が一緒に鳥見をして、元気のないすずに、どうしたのかと聞いてくれた! そして吐露されたすずの悩み、迷い。これに翼はどう答えるのだろうと思ったら、人と共存している野鳥もいるということ話してくれた。人の存在、あえてそれを利用することで身を守っている鳥もいる。鳥それぞれのいろいろなあり方、それを例えに、ひとつのスタイルに固執するのではなく、柔軟に対応していけばいいんだって、そうしたこと話してくれたんですね。
まだすずには迷いがあるみたいですね。そこで翼が遠征を提案してくれて、これがすずにひとつの光明を与えてくれることになるのでしょうか。どこにいくのか、なにを見ようというのか、そしてふたりはなにを経験するのか。楽しみですね。
それはそうと、今回の翼のフィールドノート、面白かった。なるほど、野帳はこんな風に使うのか。これ、野帳のスケッチブックですね。自分は銀塩時代に露出をメモするのにレベルブックを使っていました。こうした実際の使い方、見るとやっぱり面白い。その人の考えや興味を持ったポイント、その視点が見えるように思われて、その記録を眺めるだけでも面白いです。
『トールさんの通り道』
おおう、急展開だ。魔王の残した方針に逆らい、人の世界に干渉しはじめた魔王代理のサイド。これ、魔王の不在をいいことに増長したとかじゃなく、魔王の不在こそがサイドの干渉の結果、すなわち計画的な行動だったというのですか。
ライムに自分のしたことを話したサイド。またこの情報はサラを通じてトールたちにももたらされて、ああ、これがサイドの失敗でしたね。転生を繰り返していた魔王の、その転生に介入し、ゴブリンの中に魔王の魂を閉じ込めてしまった。かくして魔王は不在となり、サイドが全権を握ることに。でも承認欲求とでもいえばいいのか、自分のしでかした不遜な行い、それを誰かに自慢せずにはおられない。ゴブリンに閉じ込めた魔王にしても、その場で始末しておけば勝利は確定しただろうに、あえて殺さずみじめな生を送らせようと放逐するにとどめた。
甘さというか、驕りでしょうなあ。そうした性格であることは、実際これまでにも描かれてきて、なるほど彼のこうしたパーソナリティこそが、トールたちに大逆転を許す要素となったわけですね。
さて、魔王の封じられたゴブリン。ん? なんか心当たりがあるよ? ええ、トールのそばにいるブリちゃんですね。なんかやたらと人懐こくて、しかも魔物避けにもなってくれるという彼。ブリちゃんこそが魔王で、そして魔王の魂をブリから解き放ってやれば、肉体の戒めから自由になって、その能力をフルに活用できるようになる……。
でも、そのことがトールにブリちゃんとの別れを余儀なくさせてしまうところ。魂を失ったブリちゃんはもう動かなくなってしまうけれど、それは死ではない。魂はなおも生き続けるとわかっていても、ずっと一緒にいた、あのブリちゃんはもうここでいなくなってしまうということを悲しむトールの様子には、ええいああ、もらい泣きせずにはおられない切なさがあふれていました。わかっていても悲しい、そういうことはあるのですね。
次号、最終回だそうです。ああ、ほんと、急展開だ。いい終わりを迎えるといいなと願っています。
- 『まんがタイムきらら』第19巻第5号(2021年5月号)
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