『まんがタイムきらら』2021年5月号、発売されました。表紙は『あっちこっち』。ちょっとモダンな和装のつみきが黒猫カフェでお茶ですよ。いつもよりちょっとふっくらした頬。きゅっとつぐんだ口元に、こちらに向けようとする眼差し。なにかを物語ろうとする、そんな表情。髪に飾られた大輪の牡丹が鮮やか、ぱっと目をひいて、なおこの子の居ずまい、その花の印象の強さに負けていないと感じるんですね。レトロモダン、ちょっと昔風の雰囲気も悪くない表紙であります。
今月は新作ゲストが4本です。
『ゆらめきラグーン』
かつて魔法を夢見た内気な女の子、白浜ゆら。魔法に向けられた興味はいつしか科学へのものとなって、しかし作った薬があたかも魔法のような出来事を導いたっていうんですね。
こぼしてしまった薬が自分の描いた絵本にかかって、あの日に憧れた世界、人魚をこの世界に呼び出してしまったというのですね。人魚のエリーは、念願の人の足を手にいれて大興奮。最初は絵本から飛び出してきただなんて信じなかったゆらだけど、この状況を受け入れて、まずはエリーを本の世界に帰す方法をと模索するんですね。
最終目標はエリーの帰還でしょうか。けどその目的がかなうには少し時間がかかりそう。それまではゆらとエリー、一緒の時間を過ごすことになりそうですね。この出会いが、人づきあいに苦手意識を持つゆらの気持ちを、姿勢を変えることに繋がっていくのかもですね。
『ひがえり異世界と魔女の本』
異世界に興味とかある? 突然声をかけられて当惑する主人公。異世界研究部に勧誘されたというのですが、いわゆる中二的な部活なの? ゲームとかで見るアイテムとか手に入れてみたくないか、殺し文句にすっかりやられて体験入部してみたところ、同じく体験入部の女子とともに異世界にいくことになるんですね。
って、本当にいくのか。異世界の本、目的のページを開いてゲートにセットする。それだけで異世界への扉が開くというのですが、この主人公、それともうひとりの女子、月森雷斗と花咲音葉、かなり無茶、かなり無謀なのではなくて? はじめて踏み入れた異世界に、驚きを隠せないまではわかるけど、テンション高く駆け出していくのはヤバくないかい!? 危うく世界の果てから飛び出して落っこちるところだった。よくいえば物怖じしないなのかな。でも恐怖心に欠け慎重さを持たない人間は冒険には向かないよ!
とか思ってたら、ほんとに終盤ヤバいことになってて、今回の目的のキノコ狩り、すごい薬になるキノコと聞いて、そのまんま食べるってある!? いやほんと、死ななくてよかったよな。恐怖心に欠け慎重さを持たない人間は死に近いところにいるよ! ほんと、きらら誌でなければ死んでたかも知れないところでしたねこれ。
『あじさいチャンプルー』
お嬢様学校に編入することとなった主人公、志麻。それはいいんだけど、尻ノ宮学園って、その名前、大丈夫なの!?
この学校ではお嬢様にランキング制度があるのかな? トップお嬢様になると、学園のイベント? その趣向を決定したりできるっぽい。
またこの学校は、普通科、執事科、お嬢様科と分かれていて、志麻が入ったのは普通科、通称庶民科なのだそうですが、ここからお嬢様にステップアップしていくことも可能らしい。実際、現在のトップお嬢様、バレンシアも元庶民科なのだそう。かくして志麻も本当のお嬢様目指し、研鑽を積んでいくことになるのでした。
というのはいいのだけど、実際なにをどうしたらお嬢様レベルが上がったり、ランキング上げていけたりするのだろう。そのあたりの実践がまだ不明。ステージバトルならぬお嬢様バトルとかあるんでしょうか。
『しゅーしゅーまにあ』
しゅーしゅーってなんだろう。蒸気? と思ったら、なるほど、収集! 主人公りなが集めているのはパンのおまけのキャラシールというのですが、友達にバレるのはちょっと恥ずかしい年頃。あくまでもこのパンが気にいってるんだよと言い張って、でもシークレットレアに大興奮。いや、これ、バレてるよね? このガードの甘さで秘密を守りきれてるとか、絶対ないよね?
激レアシールを引きあてた以上、もうパンには用がない。というので隣の席の朝霧さんにパンを押し付けるりな。わりと悪いやつだな。でもこれが災いした。まさか朝霧さんが、シールのついてるパンの袋を手放さない。私が捨てておくから、そういってずっと袋を確保し続けている。
あ、これ、あれか。朝霧さん、そのシール集めてるのか。りなと同じ趣味持ってるってやつかい?
違いました! いや、絶対そうだと思うじゃん。もうほんと、空袋の回収しようとするりなに対し強固な抵抗を見せる朝霧さん。てっきりシール目的かと思ったら、あー、シリカゲルが好きなの! って、レアな趣味だな! いや、きれいな見た目ってのはわかるよ。子供のころ、乾燥剤がシリカゲルだったらちょっと嬉しかった。でもって、朝霧さん、ただシリカゲルが好きだけでなく、キャラクターが印刷されているシリカゲルの包装、こっちにも興味を示して、なるほどなあ。それでいろいろ集めているんだ。
こんなの集めてるって人に知られたら変だと思われるんじゃないか。そんな隠れたマニアの不安をわかちあったふたりの様子、これはよかったですよ。全体にコミカルで、それでいて必死なりなの様子など、うまくおかしみに落とし込まれていたのもよかったと思います。
- 『まんがタイムきらら』第19巻第5号(2021年5月号)
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