2019年12月24日火曜日

『まんがタイムきららフォワード』2020年2月号

 『まんがタイムきららフォワード』2020年2月号、発売されました。表紙は『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』。主人公のいろはが表紙に登場ですね。魔法少女衣装で、頬ずりしてくる小さいキュゥべえをあやすようにくすぐりながら笑顔でご挨拶といった具合ですよ。背景には青空、花びらのようなものが舞っていて、目をひくはなやかさ。ああ、年が明けたらいよいよアニメも放送開始です。

今月は新作ゲストが3本です。

『観音寺睡蓮の苦悩』

私立きらら坂女学院、孤高の花、それが観音寺睡蓮。生徒たちからの思慕を一身に集めながらも、本人はその意識はなし。むしろその子たちに百合カップリングの影を見て、内心ひとり静かに歓喜してるっていうんですか。

そんな睡蓮の最押しである府中紫陽花と中目黒椿。ふたりの競り合いが面白かったです。ふたり幼馴染みで仲良しだっていうんだけど、睡蓮がからむと話は別なのか。いかに出し抜くか。横から割って入ったり、プレゼントのお菓子攻勢も実家の強み活かして結構な本気。そのたびたびのふたりのからみ、邪魔したり牽制したりなんだけど、確かに睡蓮じゃないけど仲良くじゃれあってるようにも見えるの、いい見せ方だったと思います。

よかったところ、ふたりがなぜ睡蓮に思いを寄せるようになったか、それをきっちり描いて、とりわけ紫陽花のエピソード、これは確かに特別な相手になりますわ。また椿にしても、自信なくしかけてたところを睡蓮の言葉で、行動で励まされたわけで、こうしたバックグラウンドがあることで、ふたりの本気の度合いもより確かに伝わるものになったと思いました。

紫陽花と椿の仲のよさ、それを確かと思わせてくれるのが、ふたりの間の遠慮のなさ。そのせいで睡蓮争奪も激しくなるのだけど、そのやりあいが嫌な感じにならないバランス感もまたよかったと思います。

どうでもいいんですが、紫陽花が可愛かったです。

『お嬢様は今日も食べない。』

絵がきれいですね。

ジャンルとしては、わがままお嬢様と振り回されるメイドもの? 偏食が酷いお嬢様になんとかして食事をしていただこうというのですが、料理が苦手なマリー。まずいといわれて、逃げ出されてしまって、この踏んだり蹴ったりの状況から、メイド長ロレッタの助けを借りてビーフシチューにチャレンジするという展開。悪くなかったです。

お嬢様、なるほど、食に飢えていたのではなく、むしろ愛情に飢えていたというわけですね。不在がちの両親への不満。それが周囲に向かうせいで、使用人も居着かなくてという状況で、変わらぬ愛情をそそいでくれているロゼッタに新人のマリー。彼女らの気持ちが、調理の過程でかわされる会話を通じて明らかになるところ。また盗み聞いていたお嬢様にも伝わって、自分の本当に欲しかったものをマリーが持ってるとわかるところ。そして、その結果お嬢様が見せた変化。しっかり見どころに向かって盛り上げていってくれたと思います。

マリーのポンコツ具合も愛らしく、この子の気持ちに嘘はないなって感じさせてくれる、そんな素直さが魅力になっていました。

『コクモツカゾク』。

『あいらいく俳句』に加えて骨抜きチキンの読み切り? さらに一本追加です。

それはいいんだけど、『あいらいく俳句』に負けないよくわからなさがありますよ。タイトルにあるように、登場人物、穀物に由来する名前がついてまして、主人公があわ。弟がひえ。って、待って? その風貌で弟? 妹じゃなくて? 父ははと、母はきぬあというのだけど、父? え? 姉じゃなくて!? もうのっけから混乱を誘ってくるのなんだろう。

キャラクターの個性強めで展開するのはこの作者らしいと思うのですが、わからないながらも読んでるうちになんか持っていかれますよね。見た目は子供中身も子供の母の料理が一貫して排水口に詰まった毛みたいだったり、終盤に正体が明かされるんだけど、それ、ソーセージだったの!? 娘大好きの父に嫉妬したりと、こういうところに可愛さ盛りながら、その父はというとギャンブル狂いだったりと、いよいよあかん感じ。

ひえのリモコン間違いも、さんざんやらかしてからちょっと間をあけて時報で重ねるというの、おかしかった。気付くのにちょっと時間かかって、あっ、リモコン間違いかって、そのタイムラグにやられました。

しかし、この作者の持ち味なんでしょうけど、やっぱりなんかよくかわらないですよね。でもこれが癖になる。ほんと、『あいらいく俳句』、あんなに好きになるとは当初予想もしませんでしたから。きっとこの漫画もいろいろヤバいのだろうと思います。

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