2019年12月30日月曜日

『まんがタイムオリジナル』2020年2月号

『まんがタイムオリジナル』2020年2月号、先日の続きです。

『となりのフィギュア原型師』

ひかえめにいって最高でした。

年末なので大掃除というのだけど、いきなりくじけるおこめ先生。山のように積み上がったモノ、モノ、モノ。くじける気持ちはよくわかる。実際、自分も大掃除なんてやりません。

この掃除の情景が面白かったんですよ。おこめ先生所有のモノ。どれもこれもがレア物、激レア品の山というので、半藤がすごいのね、おそろしく大興奮。おこめ先生は、これらにもうなんの価値も見出してませんよね。せいぜいガラクタ程度にしか思ってないように見える。対して半藤、あれもこれも、それもこれも、あらゆるものが宝物に見えて、かくしておこめ先生スペースから半藤の領域に物品が横移動して掃除も完了?

おお、この理不尽よ。けれどこうであってこその面白さでした。

そしてさらなる発掘品。半藤赤面、おこめ先生も赤面、そこに加わるはぐがいい味出していて、ひゃあ。ひゃあって! でも、たいして性的なものでもないって、それフォローなのか? なんかえぐってないか? つうか、性的だよね? 性的じゃない? 最高だよね?

ここからの凹む代表。泣き顔代表。涙目代表。最高に可愛かったです。ほんと、落ちとかもうどうでもよくなった。最高でした。

『とびだせT.O.Z』

兄貴! なんだよ、やるじゃないか。いつもおかしな練習法編み出しては変態扱いされてる兄だけど、インターハイ前哨戦ともいえる地区予選にてですよ、見事に勝ち抜いていくっていうんですよ。

毒舌のマナは、部員たちにハッパをかける役割担うことになってたんですが、兄貴の懸命な走りを前にしたら、もう一言もなく、ただただ見守るばかり。それだけ兄貴の躍動、圧倒されるなにかあったっていうんですね。

部員それぞれの頑張りあり。そして兄貴の活躍、妹にね感銘与えて、青春だよね。いい読後感ありましたよ。

『僕は女心なんて知りたくない』

春喜の帰省風景。独身女性の心の声が聞こえてしまう呪いがまたも彼を苦しめるというのが、春喜には悪いけど、本当に面白くて、憧れの女子、三滝さんとの再会、そして幻滅というこの流れ。ああ、安定の春喜でありますよ。

まず春喜に対する認識が駄目。根暗な眼鏡。対して、同じく再会した元クラスメイト、ギャルの木澤。むしろこちらの子の方が裏表なくて、明るくて、素直でと、春喜がちょっと好きになりかかってるぞ!

この、自分の好みがあっても、見えてるものがその本質じゃないって気付かされる悲しさ。また、芽生えはじめた恋が育つ間もなく潰える悲しさ。いや、かかるはずだった労を無駄にすることなくて、むしろいいんじゃない? というのはきっと人でなしの感想なんだろうなあ。

今回もちょっと可哀そうな春喜。でもそれもいつもどおりかと思えば、そんなにも不憫ではない? いや、どうなんだろう。ともあれ、アパートのお姉さんたち、春喜も結構嫌っちゃいないっぽいから、そこに希望見出したらいいんじゃないかな、なんて思ったラストでした。

『大奥より愛をこめて』

ああ、悲しい別れといっていいのでしょうか。あるいは、切ないラブロマンス。

大奥の不祥事を受け、大崎が去るという。いつだってなにか余裕感じさせるこの人の、けれどこの度見せた自責の念。ああ、引き止めようとした上様さえも黙らざるを得ない、そんなものだったのか。思った以上のシリアスに、読んでていて切なさ感じさせるものありました。

基本コメディで、そこここに面白みを、それこそ時代性をぶちこわす勢いで差し込んでくるこの漫画ですが、そのベースには人情の機微、それを大切に丁寧に描く、そんな余地があるんですね。まさしく今回がその面目躍如たる見せ場で、ああ、大崎、その秘められた恋心よ。冗談めかして語りながらも、決して冗談ばかりではなかったと。また、蛇だなんだといわれていた定信公。彼のかたくなさがいったいどこから発したのか、その思い出語られて、おお、ふたりとも互いに思いあっていたというのですか。

思えども叶わなかった恋。それは叶わぬままの別れとなって、その真実知るのは蒔乃ただひとり。その秘めたる恋の秘めたるがゆえの悲しさ、それもまた美しく思わされるものあって、この情感、あふれんばかり。素晴しいエピソードでしたよ。

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