2011年7月15日金曜日

まりかちゃん乙

 うざ可愛いっていうのがはやりですな。『日常』のゆっことか、『Aチャンネル』ならユタカとか、やること、なすこと、いろいろうざいんだけど、それが可愛いの! みたいなキャラクターですね。さて『まりかちゃん乙』。ヒロインはまりかちゃん。この人もいわゆるうざ可愛いキャラクター、といいたいんですが、読んでてなんだか違うな。そんな疑念がむくむくと湧いてきましてね、じゃあなにが違うのか。そう、この人はうざ可愛いんじゃない。可愛い女の子がうざいんだ! なるほど、我ながら納得いったのでした。

しかし、この漫画、まとめて読んだら半端じゃなく面白いな。ヒロインは九鬼まりか。いろいろ奇行が目立つお嬢さんなんだけど、でも、なんだかちょっと共感できてしまうところがありまして、あのね、自分が人からどう見られてるかとか、めちゃくちゃ気にしちゃってるじゃないですか、まりかちゃん。それで目立ちたくないとかいいながら、目立つ行動ばかりとってるっていうの、ああ、自分もそうだったかもって、非常に読んでいてつらい。いたたまれないっていうかさ、あの、わざと嫌なこといったりして、相手の気をひこうとしたりしてね、でちょっとでも機嫌そこねちゃったら、すごく気にして謝りたおしたりね。愛されたい人なんだろうなあ。そして常に、愛されない自分を意識してる、嫌われることを怖れている人なんだろうな。あの奇行、特にゆなに無理をいったり、せいらに酷いことしてみたり、ちょっかいを出すとかいいますね、あれらはきっと愛を確認する行動なんだろうなあ。なんて思えて、ちょっといろいろ痛々しかったりもするんです。

まりかちゃんのちょっかいないしはうざい行動。これがだんだんに広がっていって、最初はゆなやせいらといった、作中の人物に向けられていたものが、ついには読者まで対象にするようになって、これは面白かった。人によっては嫌いかもなあ、なんて思うんですけど、作中の人物でありながら、この漫画なんていいだして、いや1巻で一番過剰にやらかしたのはゆなですけど、こういう、本来まもられてしかるべき枠を踏み越えてくるのは最高にうざいよね。けど、一度踏み越えながらまたその枠内に戻っていったりと、その立ち位置の定まらなさとか、変に新鮮で、面白かったんですよ。ええ、許せましたね。ちょっと振り回されてる感じに、いいじゃんかと思ってしまったんですね。

まりかちゃんは可愛くて、けれどうざい。ゆなも可愛くて、けれど辛辣で、せいらは可愛くて、実は本性ががっかり。こんな、がっかり美少女たちの四コマ。ちょっと癖になる面白さです。土下座とか、ほんとにもう! あ、そうそう。あとがきには騙された!

  • ユキヲ『まりかちゃん乙』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2011年。
  • 以下続刊

2011年7月14日木曜日

ももかコミカライズド

 ももかコミカライズド』、2巻が出ましたよ。漫画家志望の女の子、ももかの迷走漫画家入門。少女漫画家志望だったのに、間違えて萌え系漫画誌に持ち込んでしまった。しかも結構うけてしまった。で、そこから迷走してしまうのですね。萌え漫画ってなんだろう。男の子にうけるにはどうしたらいいのだろう。自分なりにリサーチして、いろいろ試してみる、その前向きさ、気にいられようと一生懸命、読者が喜んでくれたら嬉しいという気持ちはいつだって真っ直ぐで、けれどその思いが自分を追い詰めるのですね。1巻ラストにて告げられた打ち切り。そう、『ももかコミカライズド』2巻は打ち切りを告げられてからのももかの奮闘を描く。まさにここからが本編といっていい展開が待っているのですね。

さあいよいよ1巻にも増して過酷なももかの苦闘が描かれるのか、そう思って読んだものだから驚きました。いえね、もっと地べたを這うような試行錯誤、七転八倒が描かれると思っていたのです。いや、確かに苦しんでるんですけど、思った以上に内省的で、打ち切りのショック、つらさ悔しさが描かれて、そうした気持ちに一区切りつけられたかと思ったら、今度は自分自身に向き合うフェーズに入って。自分はなにを描きたいのだろう、なにを表現したいのだろう。それがわからない。それを見付けだそうと、自分自身を見つめる。ああ、これって表現しようという人、皆がそうなのかな。もう何年も、自分は空っぽだなあと思ってきた私にとって、今ももかの向き合っている問題は、まさに私の問題に重なるものであって、そうか、皆がそうなのかも知れない。わからない。なにもつかめない、そんな状況で、もがいて、もがいて、苦しんで、それでなにかを掴んでいくものなのだろうか。そう思ったら、不安や怖れでさえも、それはそのままでいいんだと思えてくる。ええ、ももかというヒロインは、作り手であろうと思っている人間、それを代表しているのだ、そう思えてきたのですね。

そして、ももかひとりが苦しむ、そんな話ではないのですよ。1巻ではむしろ孤立無援であった。けれど2巻では、ヒントを与えようとしてくれる人がひとりふたりと現われて、そして五十嵐臣、彼とももかの関係も少しずつ変わってきて、ええ、臣という人。この人が、ももかとともにあろうとしてくれる。ももかは自分がなにをしようとしているか、それを明かしはしないのだけど、かわりに臣の抱えている問題。それにも触れないという約束で、ともに考え、ともに自分自身を見つめようと、ひとつひとつ思いついたことを確認していく。ええ、いい相棒だなって思ったんですね。ひとりでは気付けない、ひとりではつかめない、けれど臣となら見付けられる。違った個性、違った意識で、自分たちの気持ちの底にあるものをひろっていく。これは、今は主にももかの物語として動いているけれど、おそらくは臣にとっての物語でもあるのだろう。その双方の意識、気持ちの底が見える日はいつになるのだろう。そうした、漫画家ものでありながら、恋愛ものであり、そして人が自分自身をとらえ、乗り越えていく、そんな物語としても読める多面性が、また魅力となっているのですね。

また2巻では、臣の妹が出てきたのですが、彼女、いいキャラクターだと思います。兄大好きの妹、最近のはやりでありますが、みのり、ちょっと過剰でちょっと過激で、いいキャラクターだなあ。なんか作者には申し訳ないんですが(なんで?)、結構好きなタイプであるやも知れません。で、みのりちゃん、この子がいることで、深刻に思い詰める、そんな方向にいきすぎてしまうかも知れないなんて思ってしまう、ももかと臣のふたりの模索試行のシリアスな面、それが緩和されるようにも思うものでありますから、なおさらいい味、重要な役割を担ってるなあ、なんて思うのでありました。

あ、そうそう、懐かしいふたりにも会えて、これはちょっと嬉しかった。そして、最後の編集長のいわんとするところ。それはなんなのだろう。ももかにとってチャンスとなる、そんな展開が用意されたらよいけれど、そう思いながらも不安ぶくみ。これは、3巻を心待ちにさせる、ええいい感じに緊張感高まってきています。

2011年7月13日水曜日

『まんがタイムジャンボ』2011年8月号

『まんがタイムジャンボ』2011年8月号、昨日の続きです。

『すいーとプロミス』、終わりましたね。椿が光介に結婚をせまる! というんですが、好きだから、とかそういうんじゃないのか? 宿題やなにかもろもろ、手伝ってくれる人が欲しいだけなのか? それが口実、照れ隠しだったらなって思うんですが、どうも本気でいってるぽいな。で、兄弟になりたいんだ。その文字を見て、弟でいいのか? と思ったら、ほんとにそのつもりでいってるんだ。でも、兄妹と修正されて、で、それがプロポーズに転換される。うん、この展開はなんとなく期待していました。ちょっといろいろ、ちゃんと考えてみよう、そんな光介の真摯さと、けれどそれが裏目に出るというのね。この展開、ありえる、予測できておかしくなかった、そう思ったんだけど、私にはまこと意外で、やられました。面白かったです。というか、光介は年貢をおさめてしまった方がしあわせになれると思います。

『江戸川スイートエージェンシー』。そうか、時代は今、軽薄短小なのか。でも実際、重厚長大よりも軽薄短小が好まれるのは事実だなあ、と思いながら、これを女の子に当てはめた場合、軽や薄、そして小はわかるとして、短はなにに適用するのだろう……。ああ、気が短い? いや、このお嬢さんにはマッチしてるけど、気は長い方がよろしいなあ。

『はなな大増刷』は、漫研部誌の制作ですね。原稿を集めて印刷所に持っていく、のはいいといて、先生が描いてるっていうの、これいいですよ。もう、すっかり先生が学校サイドのメインヒロインって感じ。そっと手をあげる4番とか、もう最高でした。各人の漫画も描かれて、千花の以下次号とか打ち切りっぽい終わりとか、これは実際にもやっちゃいそうな話ですよね。決まった紙数で終わらせる構成力がない、そんな話と思えば、けっこうリアルなあるあるネタかも知れません。あるあるネタはノンブルとかもそうですね。そして原稿は無事印刷所にわたって、これで次はできあがってくるわけですね。少しずつ、着実に進んでいってる。その様子がいいですよ。

『輝け☆星の川高校自由形』は、普段水着だからこそか、今回の水着優位号においては可愛い私服をどーんと押し出して、おおう、これ翼なのか。おおう、しかも扉が開くのか。最初辟易してた雷音がですね、一発で陥落する。その時、横にいた香宇先輩の表情、目が、口がしてやったりといっていて、最高でした。で、これより後も面白かった。雷音の翼に対する態度。そして、あの決めの台詞。ああ、やる時はしっかりやるんだ。私、この人を見直しました。これは翼にしても同様だったのでしょう。そしてラストのドボーン。この人はむくわれないようにできてるみたいですね。

『交換留学生ルーシー!!』好きでした。最終回です。いなくなったルーシー。黙って帰ってしまった!? 光希もショックをうけていて、この、口では嫌いといいながら、でも本当は嫌いじゃないっていうの。素直じゃない、そんな様子が光希らしくてよいなあ。そしてルーシーの帰還。ちゃんと光希と仲良くなってる、その親しさ、進展の様子。いいラストだったなって思います。

『ちくちく!』、ゲストです。手芸部の男子部員、佐条くんが主人公。なんでも作る。女子制服を作り、猫耳を作り、リフォームだってお手の物。お弁当のダミーなんかも作ってと、このなんでも作っちゃうというのは面白いのだけど、全体にこの、作っちゃいましたネタで押してくる感じが強いのが、逆に持ち味を弱めてるかなと思いました。なんというか、全部必殺技で戦ってる感じ。絵柄は児童書の挿絵っぽい、といったらちょっと昔の印象をひきずりすぎてるように思いますが、こういう絵柄も嫌いじゃないです。いい漫画家になってくれるといいなと思いました。

  • 『まんがタイムジャンボ』第17巻第8号(2011年8月号)

2011年7月12日火曜日

『まんがタイムジャンボ』2011年8月号

『まんがタイムジャンボ』2011年8月号、発売されました。12日発売。ああ、この日に戻ってきたのですね。しかし、4日発売の頃は12日だっけ? と混乱し、12日になったら4日だっけと混乱する。そんな予感がしてなりません。さて、表紙ですよ。『レーカン!』がメインです。天海さんと井上さん。夏ということで、水着でありますよ。天海さんは白のワンピース、井上さんは明るい緑のビキニですね。いや、このイラスト、もっとちゃんとしっかり見たいな。水着カットは他にもいろいろ、『じょしもん』から美々、羽子。それから『おねがい朝倉さん』。ついでにいえば、今月の『ジャンボ』は水着エピソードがやたら多いです。

『炊飯器少女コメコ』、これなかなか面白いじゃないですか。見た目から行動から、なんだかいろいろ可愛いコメコ。炊飯器なんだけど、尊自身はちっともなんとも思ってないのに、幼なじみアユカは意識しまくりとか、コメコはコメコでアユカにちょっぴりやきもち焼いてるぽかったり、なんだか変に面白いと思うのですよ。これ、この先、期待したい。そう思うくらいいい感じに面白くなってきてます。

『でり研』、人気なのかしら。『Ohでりしゃす!』が復活したりさ、いや、ほんと嬉しいんですよ。『でり研』では雪くまを調査して、なんと南部長と大仏くんがいい感じやぞ。いつもちょっと余裕見せてる、そんな部長なのに、それなりに切ない過去も抱えてるんだ。そうしたところ描かれて、ああ、なんだろう、すごくよかった。ちょっとセンチメンタル、でもそれがやわらかに沁みてくる。とてもよかったです。そして『Ohでりしゃす!』ではいがまんじゅう。知らないなあ。しかし大宮さんが可愛い。いや、ほんとに可愛い。また、以前みたいな四コマのスタイルのも見てみたいなあ。

エッセー企画「僕の私の青春の1ページ — あの頃の部活悲喜こもごも」。幸宮チノ(吹奏楽部)、みなづき忍(アニメ漫画部)、黒八(剣道部)、枕辺しょーま(写真部)の思い出であります。って、いきなり鮮血ときたか! 私の経験では、あそこまでの流血はなかったなあ。しかしあの先輩後輩ふたりの風景、なんかわかる感じです。なんかこういう突っ走ってる感のある、まあどんな部活でも本番直前とか締め切りぎりぎりとか、そんな感じだろうと思うんですが、あの疾走してる感はいいですね。そして写真部。なんだかがっかりな落ちが用意されてるけど、実際写真の面白さ、それはどうだったんだろう。ちょっと懐かしい面々、『さくらいろスナップ!』、ああまた読めるなら読みたい。なんてことちょっと思いました。

『あゆみさんは心配性』、いいですね、面白いです。これまで、ずっとなにかにびくびく怯えてるようなところがあったあゆみさんだけど、ちょっと開きなおったっぽいというか、したたかなところ、強く出る場面なんかも描かれるようになって、ぐっと魅力が増した、そんな風に思うんですね。あの「友達」なんかもね、おたおたうろたえるんじゃなくて、しっかりと受け止める、そんな様子、あれはいいよね。どんな慰めよりも、共感だとか、なにもできないことへの謝罪だとか、そうしたもののほうが強いよな。ええ、あれはいいエピソードでした。委員長の誤解なんてのも面白かったし、日記のダミー、ええ、いいですよ。続くほどに、読むほどによくなってると感じます。

  • 『まんがタイムジャンボ』第17巻第8号(2011年8月号)

2011年7月11日月曜日

放課後のピアニスト

 『放課後のピアニスト』をはじめて見た時、お、ピアノものか。また音楽ものが増えてきたな。そう思ったものでしたね。高校のピアノ部を舞台に、部員4人が好きなピアノを弾く。天才を感じさせる女の子響レミ。かと思えば天才そのものの黒木志土。この学校普通校なのに、なんでこんなに天才肌の子らが集まってるのか? なんて思ったら、その点ちゃんとフォローがあって、なるほどレミはライバル山田曽良を追って、シドは経済的な事情から、音高ではなく普通校を選んだわけか。ピアノ部部員、皆かなりピアノを弾く。けど、優れたものがあればどこか抜けていたりもする。そんな彼女彼らの放課後、ピアノをめぐるエピソードがほのぼのだったり、楽しかったり。そうした様子に、ほどなく好きになっていったのですね。

しかし、4人いる部員、ピアニスト、それぞれに違ってる個性、これが面白いなって思うんです。花野羅々、ララ先輩こそは普通の人。で、ここからがすごい。本気を出せば天才的で、けど練習は散々なレミがいたかと思えば、レミとは対照的に完璧の上圧倒的に弾いてみせるシド先輩。けど、その完璧がために、次々ライバルの自信をなくさせてしまうのが玉に瑕とかね。そして、うまいことはうまいんだけど、レミやシドのような輝き、もう一歩を得られないソラ。彼らの設定がいいと思うのは、あながち無茶苦茶でもないってことなんですよ。練習では間違いだらけのレミは、失敗から学んでいるっていうし、体力がなくて常に本気、全力投球できないみたいな話もあって、ああこれはレミに共感するピアニスト、多いんじゃないかな。ええ、私もそういっていいかも知れません。ピアノじゃないけど、体力面の弱さから、断念したことあったものなあ。

とはいうけれど、断然共感覚えるのはソラですよね。そつなく、ミスなく、ちゃんと弾ける。けど上手であって素敵じゃない。この人、器用貧乏ってやつみたいなんですね。ピアノ以外の楽器もできる。勉強もできる。お菓子も上手に作れる。すごいな、そう思うんだけど、おそらくは彼はそうしたところに悩みを抱えていて、なんでもできるが、そのどれもが抜群にできるわけではない。なら、とりわけ大事なピアノのこととなればどうだろう。ええ、悩むだろうと思いますよ。だからこそ、あの時の台詞がよりいっそう重みを増すのでしょう。

おまえはなれて当たり前じゃない ピアノのためならほか全部捨てられるだけなんだ

これが好きだ、このために他のなにが犠牲になったってかまわない。そういわんばかりのレミの様子に、自分は覚悟が足りないと反省したソラがですね、よかったなって思ったんですね。彼の、ピアノで成功できるかどうか、自信はないし、確証もないけど、逃げないって決めた。その決心にはたと打たれた思いだったのですね。

と、こういうところばかり抜き出しちゃうと、なんだかハードなピアノ根性漫画(ピア根?)みたいに思われそうだけど、もちろんそうじゃなくて、最初にいったようにほのぼのとした暖かみ、それが持ち味。ピアノ部の皆も、個性的、ちょっとしたたか、けどすごくいいやつ! そんなでしょう。読んでいて楽しく、面白いのですね。レミやソラの家族だって、すごく暖かい。これはピアノに打ち込む少年少女の漫画であると同時に、家族や友人たちとの暮らしの風景、そこにうかがえる生活感、おかしみ、人のよさ、そうしたものを描いたものでもあるのですね。

そうだ。作者十野七は、『アフタヌーン』の四季賞、『すみれの唄』で大賞とってるんです。これ、合唱ものなんですが、すごく面白かったの。で、『放課後のピアニスト』の人、『すみれの唄』も描いてたんだよって後から知って、えーっ、そうなのか。なんか納得しましてね、ええ、音楽もの、ちょっとリアルな実感を盛り込んでくる。そうしたところがうまい人だと思うのでした。

  • 十野七『放課後のピアニスト』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2011年。
  • 以下続刊

引用

2011年7月10日日曜日

『まんがタイム』2011年8月号

『まんがタイム』2011年8月号、先日の続きです。

『華園の微男子』、終わっちゃいましたか。最初はちょっと感情移入しにくかったのが、段々によくなってきて、これいいじゃない、そう思えるようになっていたものだから、この終了は残念です。男子があまりに酷い扱いうけている、けどそこからだんだんに権利を回復させていく、みたいな展開が最終回にきたのが遅かったなあというのは、正直なところです。これ読んでいて気付かされたのは、私は比較的男子が女子に酷い扱いうける、そんな漫画が好きですけど、それは特定の女子と男子の関係性ゆえに生じる力関係、だからよいのかもなってことでした。つまり、学校という機構、制度において男子が差別されている。そこで学ぶものとして、女子と同様の待遇を受ける権利があるはずの彼らが、その権利から疎外されている。こういう、関係性の生じるまでもない最初の基本の段階で、あらかじめ差別されている。これは違う、私の好きな構図ではないな、そう思ってしまったんですね。

けどだんだん面白くなってきたのは、山吹ケントと羽衣まりか、ふたりやその周囲の皆との関係が描かれてきたから、なのでしょうね。でも、こうした特別の関係は、男子全般にはゆきとどかず、ゆえに差別されている感覚は拭えなかった。そんな風にも思ったんです。この状況、男女逆転させれば、女子のおかれている環境、おかれてきた環境が理解できるかも、そんな風に思ったりもしましたが、もちろん作者は差別やら逆転やら、そんなことを思って描かれたわけではないでしょう。これから女子男子の歩み寄りなんてのも期待できそうに思ってたものだから、この最終回はやっぱり残念に思っています。

『となりの原始人』、これ、めちゃくちゃ面白いです。私のとなりの家には原始人が住んでいます、とかいうんですけど、この人、格好がいい加減なだけで、実態は在宅SE。室内にはコンピュータがいっぱいあって、なのにとなりの女子高生からは原始人と勘違いされている。なにやっても原始人的行動と思われる。あの貯金とか、その発想がすごいよね。さみしいなうから全滅の流れなんかも、決しておかしなことはいってない。けど、女子高生の質問に対しては的確で、さらに深まる誤解。いや、これやっぱり面白いです。

『ほのかのほ』も最終回でした。人見知りのほのかの話。友達つくるのも大変、そんなほのかの成長もの、といったらそうなのですけど、ほのかの友達、あかりの成長も描かれた。それが面白かったなって思うのですね。誰かを頼りにしてしまう、それも依存なら、誰かに頼りにされる、それも依存、なんていってもいいのでしょうかね。そういう、一件問題なく見える人だって問題を抱えていたというのは、とてもよかったと思うのです。というわけで、ふたりが抱えていた問題、それをふたりで乗り越えて、一緒にちょっと自立した。そうしたラスト、地味なんですけど、けどよかったなって思います。

『ハードボイルドになりきれない』、これも面白いです。探偵もの。やたらとしぶいおじさま、吾妻橋蔵前。けど、ちょっと見掛け倒しなところがあって、人見知り、苦いコーヒー駄目、健康にも気をつかってる。繊細な人ですよね。けど、ハードボイルド気取っていて、けど些細な出来事にでも心を揺らし、狼狽をあらわにしてしまう。かわいい人だと思いますよ。そのギャップ、というか、憧れに追い付けてない探偵の胸中はいかに、そうしたところを思うとより面白い、そんな風に感じるんですね。

  • 『まんがタイム』第31巻第8号(2011年8月号)

2011年7月9日土曜日

『まんがタイムきらら』2011年8月号

『まんがタイムきらら』2011年8月号、昨日の続きです。

『箱入りドロップス』は体育の授業、ということで、雫が陽一の庇護下からはずれる! その結果、とんでもないめちゃくちゃな嘘に右往左往させられる雫。騙したのは、澄田純。見た目には大人しそうな人。けど実際は、人をからかったりして楽しむ、とんでもない人。ちょっとした小ネタに驚く雫に味をしめ、ボールが爆発するなんていう嘘をつく。そんなのに騙される雫も雫ですが、見て同様に楽しんでる萌もたいがいだ。しかし、陽一だけはなんか落ち着かないようで、いい兄さんだと思います。陽一と雫、ふたりの頼りに思ったり、ほっとけなかったり、そんな様子が好きですよ。

『くれいじーラボラトリー』、ゲストです。学校の科学部もの? 人以外のものを擬人化してしまう薬が犬にかかってしまって、さあ大変。ええ、犬耳少女になっちゃって、柄は大きくなってるのに、いつもの調子で人に飛び付いて吹っ飛ばすとかね、なかなかこういうの面白かったです。こういう擬人化とか見てもわかるように、現実的な科学を扱うんじゃなくて、完全なコメディ、ギャグにふれているマッドサイエンティスト系漫画ですね。アンドロイドも出てくる。擬人化まっくすが遊ぼうとするんだけど、それを拒んで、けど気持ちは移ってという、こういうのベタなんですけど、嫌いじゃないですよ。絵柄は可愛く、わかりやすく、これもとてもよかったと思います。

『遮莫 — それならそれで、しかたがない』、このタイトルなんて読むんだと思ったら、さまらばれ、ないしは、さもあらばあれ、なのか。たしかに扉にサモアラバアレと書かれてますね。ゲストです。テンション高めの学園もの。School Guardian Circle、SGCに所属する娘さんたちがヒロイン? 下着泥の出没に、日本刀手に飛び出していくほの。そしてレッド。役にたつのかたたないのかわからない、そんな女の子たちで構成されるSGCと、SGC撲滅をもくろむ生徒会長。基本的にベタなんだけど、これはそういったよくある展開、設定をあえて選んで、それを外部から眺める、ベタな展開にベタとつっこみいれるようにして潰してみせる、などなど、ギミック強めの作風。これ、好きな人はきっとものすごく好きになる、そんな印象がありますね。

『だいすき♡』、扉がすごくキュート。シルクハット、燕尾服、レオタードの三つ揃い。ショーダンサー? 本来ならセクシーになりそうなこの格好で、可愛さが押し出されてくるのが実にいいと思うんです。すっきりとして、いやらしくない、そんなよさです。で、本編は家庭科でお裁縫。作業が遅れてるから、一緒にやろうという千夜と香乃子。千夜が香乃子をうちに招くのですが、最初はすごく不安、けど香乃子を見れば不安は消え去って、今度は兄貴が寂しそうとかね、これは面白いですよ。兄貴、いろいろ問題だよな。そして語られる香乃子の秘密。なぜ志津のことが好きなのか? ええと、前世か……。香乃子さん、すごく可愛いのに、そうか、前世か。志津も、香乃子のきていることに気付いて逃げるように帰るとか、いや、逃げたのか。ほんと、すごい強烈なキャラクターが登場してきたものだと、わくわくさせられますよ。でもこの人の痛い言動。それが痛いということを自分でも気付いている、それがいいなって。普段はそうしたところを見せないよう気をつかってるのに、千夜が受け入れてくれるとわかって、リミッターはずれてしまうなど、こういうの、すごく面白いと思います。

そして、My Private D☆V。こちらもリサリサであります。獣耳、パッツン前髪、ツリ目の美少女。こ、これは素晴しいな。なるほど、私は獣耳への嗜好はないのですが、前髪ツリ目とか、素晴しい。ほんと、なるほど、これはいいですね。なるほど、『PONG PONG PONG!』は、まさに作者の愛のほとばしりであったのだな。私、この人の絵も話のつくり方も大好きです。応援します。

  • 『まんがタイムきらら』第9巻第8号(2011年8月号)

2011年7月8日金曜日

『まんがタイムきらら』2011年8月号

『まんがタイムきらら』2011年8月号、発売されました。表紙は『あっちこっち』。白基調といっていいんでしょうか。背景が白地、そこに白衣の真宵、白ブラウスのつみき、姫が、どーんと画面前面を占めるから、やっぱり白の印象が強くて、けれどその印象が、中央にぎゅっと寄ってる三人をぐっと押し出すように思われるのですね。コントラスト高めに、女の子が押し出されてくる。また、姫の表情もキュートで、なんともいえぬ好感触表紙です。

けいおん!』、まいったな、面白いよ。今回はムギさん回で、扉の紬お嬢様、あれこれとバイトに思いをはせている、その様子から素晴しい。本編においてもハイテンション。バイト情報誌を集めてくる、しれっと嘘をつく。律にチョークスリーパーきめられて嬉しそう。と、ここまでが嬉しい紬。で、ここからはちょっと悲しい紬になって、あの不安そうな表情からうるうる目まで、もう最高だな。素直で純粋で、そして強力な一撃! 紬さんの魅力がこれでもかと表現されて、あとの魅力は高校編で間接的に描かれることを期待しよう。しかし、ムギさん、好きだわ。これまでのもろもろが彼女に与えた影響、それもしっかり見てとれる今回。実にいいエピソードであったと思います。

『チェリーブロッサム!』、今回は幼なじみの女の子、つばきメインのエピソードですね。走る、バテる、綱島先輩と出会う。いやあ、綱島先輩、すごくいいよ。アスレチックコースに誘うんだけど、ものすごい運動性能。前世は猿なんだ。そしてターザンロープで事故。あのすっとぶコマに溢れる勢い、ほれぼれするな。綱島先輩は、この勢い、ちょっと無茶なところに加えて朗らかで前向き、こうしたところが魅力であるな、そう思わされて、そしてつばきにもいい影響あたえて、これは今後面白くなりそう。つばき、本格的に大咲にアタックしていく? いずれにしても、関係の変化は生まれそうですよね。いいですよ、ドラマです。

『はるまきトラップ!』、ゲストです。作者はノブヨシ侍。これ、めちゃくちゃ面白いよ。思春期妖怪現る。いかがわしい本を少年少女に見せて、その様子を眺めるという妖怪、春撒き姫、って、よくそんなキャラクター考えついたものだ。で、狙われる女の子、襟元ナオ、この子もすごい。いやらしい本に興味がないわけではない。そして非常などじっこ。けど、それくらいなら普通だよなって思ってたら、なんかものすごい要素が飛び出してきて、なんだあの、ビリヌゲフェチって。ものすごい威力でもって迫ってきましたよ。テンポよく、これでもかこれでもかと立て続けに押し出されてくる笑いのポイント。見事でした。ほんと、この人の漫画、大好きです。

三者三葉』はお裁縫。葉子様のつくろい。ああ、昔は靴下にしてもなんにしても、つくろって使ったよね。それは社会全体が貧しかったからなのか、今具体的に貧しい葉子様を見て、そうした昔を思い出したんですね。しかし、貧しくとも心は錦だな。あの笑顔、見事じゃないか。清々しい。高貴でさえあるじゃないか。で、つくろいものできる程度の技術が、服作る役にたつわけないじゃないかっていう、この厳しい現実。荒井チェリーの漫画は、こうした高い技術要求されることに対して、全然舐めてないというか、非常にシビアな見方があるのが素敵です。そして、ネクタイ縫い付ける双葉。ああ、なんて可愛いの。葉子様針仕事に難色示す山Gの乱心、あれも実に見事でした。

  • 『まんがタイムきらら』第9巻第8号(2011年8月号)

2011年7月7日木曜日

『まんがタイム』2011年8月号

『まんがタイム』2011年8月号、発売されました。表紙、メインは『おとぼけ課長』であります。うなぎをつかんで奮闘している。なるほど、夏を乗り切る食べ物ってテーマでしょうか。『おっさんデイズ』では鰻丼らしきもの食べてますね。『タマさん』はというと、ええと、これはなんなのだ。いわゆる原始肉、マンガ肉というやつを運んでいる杏とタマさん。タマさんは恐竜、杏は原始人コスプレで、なるほどこれもひとつのスタミナ食であるのですね。そして『わかば先輩未満』。こちらは、ボクササイズ? 別テーマのカットです。

『極小刑事ミニさん』、ゲストです。今回はミニさんの同期、椹木ってのが出てきて、最初はいけすかないおっさんなのかなって思ってたら、なんのなんのなかなかいいキャラクターで、かつての活躍っぷり。すごく息はあってるんだけど、なんか微妙におかしくて、この昔のふたりをクローズアップしても面白そうだなあと思わせるものでした。しかし、ミニさん、昔は普通のサイズだったんだ。なんだかちょっと意外でした。

『にこかみ』、なんと最終回。ゲスト掲載の最後ってことですか。一人前の幸福神になるため、あかりのもとにやってきたニコ。幸せのスタンプで星集めするというの。その光景がすごくほのぼのとしていて、結構好きだったんですね。そして最終回。ひとときの休息に、心休めたあかり。ついに星みっつが出てという、いえね、この時点での最終回なので、さすがにはやいと思わないでもなかったのですけど、でもこうした、もう出ちゃうんだ! という感覚、それはこの漫画らしかったと思います。神様として成長したニコ、なおさら可愛いなあ。続いたらよかったのになあ。そう思います。

『まだまだ浅野さん』、『Fever!! — 貧乏レイジの同居人』を描いてた城戸みつるの新作ですね。小学校の先生をやってる浅野さんが主人公。なんかちょっと陰気で、なんかちょっとおかしな行動が目立つお嬢さん。全体にローテンションで、じわじわくるんだけど、面白さに引き込む力はちと弱いかも、そんな感じです。けど、『Fever!!』なんかもそうだったんですけど、この人の漫画はある程度読むことで面白さが浸透する、そんなところがあるから、もうしばらく読んでみたいところです。しかし今回のでは、デッドボールセンター、あれはすごかった。絵面も強烈で、これは高インパクト。最高でしたね。

教師諸君!!』、おっとまさかのゲスト掲載。扉の西名先生、エレガントだなあ。今回の話は、すごくバランスよかった、そう思うんですね。ええと、教科的にもといったものか、笛田先生に誘われてハス見学。花の魅力あり、意匠の歴史、地理的広がりについての説明あり、そして栽培あり。ふたりの多面多様な興味の現れるところ、すごくいい。ものごとを知り、深め、またその範囲を広げていこうというようなところ。生涯学習の面白さとでもいいましょうか、そういった知と実践の楽しみを描いていると思うのですね。で、教頭先生。この人も、立場があるから交わらないだけで、本質は西名笛田組にそう違わない人だと思わされました。そして、二階堂先生。結局没収されたのか。けれどもその後、皆で仲良くバーベキューしてる。この和気あいあいとした感じ、こういうのもやっぱりこの漫画の魅力と思うのですね。

  • 『まんがタイム』第31巻第8号(2011年8月号)

2011年7月6日水曜日

ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D

 ニンテンドー3DSは『ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D』のために買った、みたいな風にいっていましたが、本体購入より前に『閃乱カグラ』の予約が完了していたというのは、また別のお話。さて『時のオカリナ』はもともとNINTENDO 64用のゲームで、オリジナルは1998年発売、10年以上前のタイトルですね。しかし、その10年以上前のゲームに対し、これが最高峰、これを超えるゲームに出会ってない、それくらいに評価する人がいたのです。とにかく面白いからとすすめられて、ああ、じゃあ一度プレイしみるか。サントラも貰えるっていうし。そんな具合にして買ったゲームだったのですね。

これめちゃくちゃ面白いですね。まだプレイ途中なんですが、8割ほど進んでるのかな? 迷宮をギミック作動させながら探索し、ボスを倒してクリア。その繰り返しなんですが、迷宮それぞれに個性があって、攻略の鍵となるギミックが違ってるから飽きないんですね。最初の方はシンプルで、ひとつ攻略するごとにできることが増えていく感じ。だから、後半になるにしたがって、クリアに必要とされるアクションは増えていく、つまりより複雑になるのですが、理不尽な難しさや、やたらいじわるな仕掛けはないから、たとえ途中でつっかえても、これかと理解したら容易に先に進めるようになる。逆にいえば、アクションの技術を駆使して、ぎりぎりを擦り抜けるようなゲームではないんですね。アクションは、簡単ではないけれど、難しくもないという感じ。仕掛けにしても、またボスも含む敵にしても、ちゃんとヒントが示される。あるいは、ナビィというお供の妖精が教えてくれる。極力行き詰まらないように作ってある、そんな親切設計です。

とはいえ、行き詰まったんですけどね。先週末くらいからかな、数日ほどなにをやったらいいかわからなくなってしまっていて、ナビィはどこそこにいけって教えてくれるんだけど、そこでなにをしたらいいかわからなくて、えらい困った。そういう場合は、シーカーストーンってやつにヒント映像見せてもらえばいいんですが、けど自力で解かないことには気がすまない。なので、ぐるぐるぐるぐる、あっちいったりこっちいったりして、大体はわかってるんだけどなー、悩んだけれど、気付けばすぐだった。大体こんな感じですね。迷宮の中でも、大体はわかってるんです。ただ、キーとなるなにかが欠けている。それは必要となるアイテムをまだ見付けられてないとか、あるいは鍵となるアクションに気付けていないとか、そんな具合なんですね。だからキーにこそ気付けばその先は驚くほどスムーズに進める。ああ、いいバランスだなって思うのでした。

『時のオカリナ』は3DS用にリメイクされて、画面が3Dになったというのもあるのですが、ジャイロセンサーに対応したのも大きな変更みたいですね。矢やパチンコなど、本体を動かすことでこれらの照準を定めるのですが、これはすごく便利、すごくやりやすいんですね。微調整するのは簡単ではないけれど、素早く大まかに狙いをつけたい場合は、パッド使うよりもはやく、確実です。これはいいわ。よくできてる。ほんと、そう思わさせる出来でした。

謎解きのバランスがよくて、時の経過とともに変わっていくもの、そんな世界の様子がちょっと切なくて、そして操作系がよくできてる。直接の攻略には関わらない遊びの要素もいろいろあって、なかなかしっかり楽しめそう。ほんと、これはプレイしてよかったゲームであると思いました。

2011年7月5日火曜日

『まんがタウン』2011年8月号

『まんがタウン』2011年8月号、発売されました。『新クレヨンしんちゃん』メインの表紙。水着で海、でありますね。他には『少年アシベ』、『はいぱー少女ウッキー!』があって、そして『鎌倉ものがたり』のカットもございます。

『ケイくんとアヤメさんがルームシェア』、ボマーンの新連載です。12歳の少年ケイと29歳アヤメ、ふたりが同居する話です。といっても、恋愛ざたとかあるわけでなく、ちょっとだらしないお姉さんと、しっかりもの少年の、でこぼこルームシェア、なかなかに面白い。いい感じの第1回でした。この、ちょっとぐーたら、気さくでフレンドリーなお姉さんの造形、それが素晴しいと思います。で、ケイくん、可愛いよなあ。思春期だったり、で、お姉さんがちゃんとそういうことわかってるっぽいのもいいなって思います。

光の大社員』、コンバッ太の訴え、これはなんかちょっとわかります。思ってもいなかったのに、そうだと決め付けられるのは心外。けど、結構あることと思います。で、面白かったのが「受け身ストヤワラ太郎」ですよ。伊達もえッと絶句する。そんなアプリなんですが、間を置いて描かれる、受け身でピンチを回避する様子、最初のもそうだけどさらに有り得ないと思わせるシチュエーションで、これは面白い。こんなアプリあったら、入手してしまいそうでまずいです。で、プールですずなさん。ああ、この人はやっぱりなんのかんのいって可愛いなあ。かっこよく沈んでいく、あのコマ、実にナイスでした。

『かしこみっく』、実にいい感じ。おいなり神社のふたり、ちとせとその父がうまいことかしこみ神社にとけこんでいってるようで、扉のちとせの表情とかね、すごくいいと思うんです。ヒミコに対し、いい感じのお姉さんとして振る舞ってる。この人の気さくな感じ。これはすごく魅力的と思います。あとプライドとか、可愛いお嬢さんだなって思います。そしてもちろん他のネタも面白く、地デジカ、あれも妙におかしかった。この人は本当、うまいなって思います。

『かりあげクン』は、昔ながらの、時代を選ばない、流行に左右されない、そんなネタが基本なんだけど、アヒルぐちみたいな、思いがけない最近流行のネタ、去年あたりのブームですかね、そういうのも取り上げるんだからすごいな。そう思わされます。で、それをきっちりからかう、そんなところが『かりあげクン』の魅力だよなって。ただからかってるっていうよりも、これで可愛く思われようという、そういう心理を見透すみたいなところがうまいと思わせるところなのでしょう。

  • 『まんがタウン』第12巻第8号(2011年8月号)

2011年7月4日月曜日

少女公団アパートメント

 素晴しいな、『少女公団アパートメント』。ほんと、他にどういいあらわしたものか。『少女公団アパートメント』、素晴しいです。都会の学校に通うことになったので、田舎から出てきた女の子ちさ。おばさんの家にお世話になるのですが、それが団地。お隣さんに同い年の女の子ろかがいて、そして上の階にはなつみ、さくらの姉妹がいる。この4人が集まって楽しそうにしている風景、それがもう本当に魅力的で、ひとりひとりの個性、それが生き生きとして、見てる、それだけで充足するのですね。

思えば、第1話の扉絵、カラーがすごくきれいで、よさそうだなあ、そう思っていたところに、第2話のバランス釜がとどめをさしたんでしたっけ。ああいう給湯器があるというのは知っていた。けど、シャワー使うなら湯を張りなさい、そうじゃないとというのがね、わあ、そうなんだ、けどそれって構造的欠陥ってやつじゃないの!? と驚いて、こうした団地についてのレクチャーや、登場人物の個性が見えていく展開が、ああ読み進めれば、きっともっと好きになるって思わせたのでした。そして、この予感は間違ってなかったのですね。

なつみが面白いですよね。お姉ちゃんの服を勝手に借りて、お姫さまみたい! って、どんなに可愛いの! で、汚しちゃって、やぶいちゃって、それをなんとかしようと奮闘する3人。ちさ、ろか、なつみの努力と失敗が光ってましたよ。なつみのすぐ泣いちゃうところとかね、しかも、ぎゃーんっとか、最高だと思う。で、いつも被害にあうお父さんのとっておきとか、こういうの、もう本当に面白くて、繰り返されるネタにもしっかり気持ちがいきとどいてるから、まだ見ぬ神代家父と娘との関係、どうなんだろうとかね、すごく想像しちゃって、ええ、描かれてることだけじゃないんです。描かれてることのはしばしに、描かれてないことへの入り口が開いている。ほとんど、4人の女の子だけで完結しているお話が、彼女らを取り巻く家族、学校、地域をこんなにも感じさせて、こんなにも豊か。彼女ら皆の暮らす世界の確かに存在しているという息衝きが、たまらないのですね。

と、世界を感じるのもいいのですが、やっぱりここはちさ、ろか、なつみ、さくら、彼女らの一緒にあって、楽しそうで、ちょっとさくらが暴走気味で、そんな様子を眺めていたいのです。華やかなお嬢さんたち。ひとりひとりにいいところがあって、ちょっと駄目なところがあって、けどちょっとの欠点も魅力ですよね。本当、すごくキュートで、読んでいて飽きるところがありません。彼女らの心の動きの描かれようも素晴しく、本当に大切な一冊です。

残念なところがあるとしたら、連載時にカラーだったページが白黒収録されてしまってるところでしょうか。これ、カラーで収録されるなら、価格があがってもかまわない、ではなく、コスト分支払うからカラーページも収録してください。そう思ってしまうくらいカラーがきれいなんですね。当然表紙もすごくきれい。本当に最高です。

2011年7月3日日曜日

ニンテンドー3DS

 先日のこと、ニンテンドー3DSを買いまして、ええ、つまり、これ買おうかなあどうしようかなあ、と迷っていた気持ちに区切りをつけたというわけです。しかし、なぜこの時期に決断がなされたのか。それはですね、3DSはいずれ買うだろうという予感があったこと、まずそうした前提があったのが重要で、そしてぜひとも今買っておきたいソフトがあった、ええ、このソフトが背を押したのですね。『ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D』ですよ。これ、できがすごくいいっていうじゃありませんか。それに7月末までに買うと、サントラがもれなく貰えるっていうじゃありませんか。もう、買うしかない! って思いましたね。

で、買うとなったら色を決めないといけません。3DSは好みの色がなかったんですよ。白とか、それに近い色が欲しかった。けどブルーとブラックしかなかった。買うなら黒かなあ。そう思っていたところに、よし新色がきた! 白あるかな? って思ったら、赤しかなかったっていうね。あー、もう、こりゃ黒だなあ。と思って、けど実際に買ったのはアクアブルーでした。いえね、実機を見ましたら、黒はちょっと重厚すぎるなあ。そう思ったもので、また青も悪くないなって思ったのですね。

立体視は個人差があるので、人によっては頭痛や疲労が酷かったり、あるいは立体に見えないというようなこともあると聞いていました。けど、私はちゃんと確認していまして、これはたまたまなんですけど、先日日本橋にいく用事があった時に、3DSの試遊をしてたんですね。この時はまだ買うつもりではなかったんですけど、問題なく立体視できるということがわかっていた、これも購入に踏み切らせる要素のひとつでありました。

さて、立体視でのゲーム、これはやっぱりなかなかに新鮮で、けど3Dボリュームを最大にするとかなりしんどい。中間くらいが私にはいいみたいです。でも、これでも長時間プレイしてると目がくらくらしてきて、筋肉が疲れてくるのでしょうか、画像が分離してきて、すごくしんどくなるんですよ。なので、そうなったら3Dボリュームを最小、つまり3Dをオフにして遊んで、ここぞというところだけ3Dをオンにする。そんな具合で遊んでいます。

こんな様子からもわかるように、目への負担はかなり大きいです。すごく疲れる。それどころか、最初のうちは、3Dでない画面、コンピュータやなんかですね、を見る時に、なぜか像が分離する現象がおこって、いやあ困りましたね。ゲームは一日一時間ではないですが、長時間立体視でゲームしちゃいかんなと思ったんですが、いえいえ、まあ慣れました。ちゃんと切り替えできるようになったみたいで、また目の疲れも多少ましになったみたいで、けど疲れないわけではないから、やっぱりほどほどにしないといけない、そんな感じです。

3DSは、本体だけでも遊べる、使えるというところがよくできていると思います。3Dカメラになる。カメラで取り込んだ顔を敵にして戦うシューティングとかが最初からはいってる。3Dで遊ぶということ、またジャイロセンサーで遊ぶということ、新インターフェースを本体だけで充分に体感できるようになっているのは、すごくうまいと思うんですね。そして、先日のアップデートでWebブラウザも使えるようになりまして、これ、結構便利で、これまでコンピュータ使わず手元でwebを見たい時にはPSP使ってたんですけど、すっかり3DSに置き換えられてしまいました。文字入力がタッチパネル使うなど、手元見ずに文章書いたりなどはできませんけど、まあそれで充分です。予測変換も結構いいできでしたし、twitterするくらいならこれで充分ですよ。ほんと、ゲーム以外にも使える、そんな印象なんですね。

スリープ時の挙動、これもよくできてます。スリープ時には歩数計になります。すげえ! とはいうけど、私、これは持ち歩いてないからあまり意味ないんですね。そしてもうひとつ、スリープ中にコンテンツの配信をうけることができるんです。任天堂からのお知らせや、ダウンロードできるソフト『いつの間にテレビ』の番組などが、スリープ中に配信されているんです。なるほど、これよくできている。ガラパゴスなんかで、朝になったら新聞や雑誌が配信されています、っていうのが売りになっていましたが、その感触、実感することができまして、いや実際これは便利だな。そう思わされたのですね。

3DSは、まだそこそこにしか売れてない? みたいに聞いてますけど、今後、これというゲームが出たらどっと売れたりするのでしょうか。異常な売れかたはしないでいいから、売れてくれたらいいなって思います。やっぱり、一緒に遊べる人が多いと嬉しいですから。

2011年7月2日土曜日

『まんがホーム』2011年8月号

『まんがホーム』2011年8月号、発売されました。表紙、テーマは水着みたいですね。南国っぽい柄の水着きたらいかをメインに、妙に子供っぽく見える『夫婦な生活』みえこさん。そして、椿さんなんですが。わあ、ナイスバディ! って、なんだこの適当コラージュは。こうしたときにあえて見せない。そうしたところに椿さんのらしさが感じられて、いいですね。

『まりかちゃん乙』は期末試験の話。一日目が終わって、最初は余裕を見せてたまりかが、答あわせの進むにつれてだんだんに追い詰められていくところとかね、いやあ、面白い。面白いんだけど、なんか昔を思い出して切ない。ええ、私は彼女にそう違わないタイプであります。今回は、できてないっていってできてるゆなに軽くつっこんでみた後に、せいらをとことんバカにするっていう。この怒ったせいらが可愛いなあ。全裸にして校門に吊るすぞ!! とか、しびれる文句であります。しかし、まりかちゃんは駄目な子だな。嫌なことは先送り。でも、これは私も同様でありまして、つまり私はこの漫画の主人公に、自分の姿を見ているのかも知れません。今度、単行本が出ますね。まとめて読んだら面白そうだな。今から楽しみにしています。ああ、これがKRコミックスならカラーの描き下ろしが期待できるところなのに。最近はタイムコミックスでもそう思う漫画が増えてきています。

そして特別企画。『まりかちゃん乙』発売記念とあって、なんで? と思ったら、なるほどお題が『私のトンデモ友達』。まりかちゃんがトンデモな友達ってことか。執筆者はユキヲ、安堂友子、木村和昭、辻灯子、櫁屋涼、以上5名。で、安堂友子の友人って、あの天子様のモデルになったという人か。カレシができたらオマエなんかポイといいきる、そんな人。この怖ろしいほどの割り切りは、ほんと見事だと思います。っていうか、牛乳が嫌いだからといって酷いこという。この気を使わないのは、よっぽど仲がいいからか? ともあれ、理解しあえなくとも友人になれるという結論は大変よかったと思います。でもって辻さんの友人Y子さんもいい味出してる。こんなこといったら偏見なんですが、漫画家という仕事を選んでしまった人のまわりには、やっぱり面白い人が多いように思います。面白く描いている、そういうこともあるのかも知れませんけど、あえて一般的な道を選ばなかった人の友人。類友ではないけれど、なにかそういう引合せがあったんじゃないかなって思ったりするんですね。

『東京!』が夏休み、小金井公園に3人でいきました、という話。で、小金井公園ってどのあたり? 調べたら、なるほど武蔵小金井駅が最寄り。なるほど、彼女らの地元なんですね。で、桜の名所にあえて春をはずすムサコ。で、いきついた先は江戸東京たてもの園、なんか楽しそう。江戸時代から昭和初期まで、なのか。高橋是清邸とかも面白そう。こういう、ちょっと知らない名所を教えてくれるのっていいなあ。で、ずっとぶるぶるしてるたまが可愛すぎ。ムサコが蕎麦食べてるの見てると、蕎麦、食べたくなりますね。

『ももかアンコール♪』は、ももかの休日ですね。友達と一緒にお出かけ。アイドルものであるんですけど、あんまりアイドルっぽくない、普通の女の子っぽいところが好きだったりして、いや、普通の女の子よりもずっと素朴で、ちょっとこんなお嬢さんいないよね、っていうくらいいい子。で、発想が面白い。あの本日休業とか。そしてお風呂のエピソードも、お母さん、娘が溺れてるって思ったんだろうなあ。ちょっとしたエピソードが面白い、ちょっとキュートっていってもいいのかな、そんな感じがして好きなんですね。あの最後のパーマとれちゃったっていうのも、え、それいいのんか? みたいなの、いいですよね。

  • 『まんがホーム』第25巻第8号(2011年8月号)

引用

  • ユキヲ「まりかちゃん乙」,『まんがホーム』第25巻第8号(2011年8月号),76頁。

2011年7月1日金曜日

「自殺社会」から「生き心地の良い社会」へ

 先日、twitterで自殺についての考察、といっていいのかな? そういうのがちょっと流れてきましてね、それで私もいろいろ思うこと書いてたら、おすすめの本があるよと教えてもらったのです。その本というのは『「自殺社会」から「生き心地の良い社会」へ』。NHKで自殺に関する番組を作っていた人が、有効性のある自殺対策とはなにかと考えた末、退職。自殺対策に取り組むNPOライフリンクを起こした。清水康之氏ですね。この人と文化人類学者上田紀行氏による対談本であります。

この本は、タイトルにもあるように、年間3万人を超える自殺者数が問題となって久しい日本の状況、人を自死へと追いやる、そんな社会から、生きていて心地の良い、そんな社会に転換していくにはどうしたらいいか、そうしたテーマを扱っています。また内容も、データがばりばり出てくる、数字や表、グラフが山ほど出てくる、といったようなことはなく、対談という形式もあって、ものすごく読みやすくなっています。

序盤は自死遺児についてのエピソードからはじまるのですが、これは意外でした。なにせ自殺の本ですから、自殺をする、自殺をしそうな人、当人とその人を取り巻く環境の問題がメインと思っていたからなんですね。けれど、それが自死遺児から入っていくというのは、著者である清水康之氏の自殺問題に関わっていった、そのプロセスをなぞっているのでしょう。なぜ氏が自殺問題に興味を持ったのか。そのきっかけは自死遺児の問題だった。親が自殺したといえない、いってはならないという社会風潮の中で苦しんでいることや、また自分はなぜ親の自殺をとめられなかったのだろう。あるいは自分は見捨てられてしまったのか、などなど。このあたりは、本当に読んでいてつらかったです。涙なくしては読めない、そんな痛ましさに満ちていて、けれど読まずにはいられない。そして対談は、追い詰められ、自殺にまで追いやられていく当人の問題にうつっていって、そしてこれもまた悲しい話であるのですね。

この本のいわんとすることは、自殺はともすれば個人の問題ととらえられがちだけれど、そうではないんだということです。自殺は、自殺者を取り巻く社会の問題であり、ひいてはその社会を構成する私たちひとりひとりの問題であるということ。人を自殺に追いこまない社会、それはどういうものであるか、いろいろな文化や取り組みの事例を紹介しながら、それは生きづらくない社会だ、生き心地の良い社会だと説くのです。日本社会の意識や構造について、失敗すること、立ち止まることについて異様にネガティブなとらえ方のされることが、ドロップアウトに対する強烈な恐怖を感じさせるにいたり、限界まで頑張るよう追い込んでしまう。はたして、それは正しいことなのか、それはいい社会なのか? 人生の途上で立ち止まり、自身を振り返れるような、そんな時間を持つことも許されない社会。それは仮に経済的に成功したとしても、しあわせと感じる、そうした価値観からしたら決して成功とはいえないのではないか。これまで日本は、経済的成長や金儲けといった刹那的な幸福感情ばかり求めてきたけれど、そうではない、持続的に感じられるしあわせについて考える社会に変わっていくべきじゃないか。

こうしたことが語られているのですね。

私は以前から、この国の再チャレンジのしにくい社会構造について不満で、それこそ日本に必要なのは人生ゲームにある開拓地、一発逆転も可能というチャンスがあるということなんじゃないか、などと思ってきました。また、年中無休、24時間営業も珍しくなくなった、そんな社会に対しても、それこそ自分の子供時分がそうだったように、正月になると店がぜんぶ休みだった。盆もそうだった。夜なんて、どんな店も早々に閉めてしまってた。それは不便だったかも知れないけど、それでも皆それを普通として暮らしてた。しかし、今はなんでそう思えないんだろう。疑問に思ってきて、ネットで買い物すれば翌日翌々日には届く、そんな社会の便利を当然のようにうけながらも、もっとスローでいいのに。もっと穏やかな社会でいいのに。そう思っていました。

だものだから、この本は私には共感をともに読み進めることのできるものでありました。苛烈さよりも穏やかさ。仕事や生活に追われるばかりでなく、家族や友人など、大切な人とともにあれる時間を大切にできたり、またひとりゆったりと休める、そんな社会に憧れる人間にこそ、読んでしっくりとくる本であったと思います。そして、そういう穏やかな社会は、自殺者も生みにくいかも知れない。それはつまりは、自殺するまでもなく普通に暮らす人たちにとっても、暮らしよい社会なんじゃないか。自殺者について考え、その対策を練るということは、自分たちの社会をよくするということに他ならないのではないか、そう思わせられるのですね。

自殺というと、人によっては自分には縁のないものと思うかも知れないけれど、そうじゃないんだ。彼ら彼女らの死を思い、続く被害者を生まないよう取り組むことは、自分自身の生活を豊かにするということであり、また、いつか自殺に追いこまれるかも知れない自分自身や身近な誰かを支え助けるということなのだ。そうした意識を強く実感しました。

最後に清水康之氏のNPO、自殺対策支援センターライフリンクと、その活動のひとつであるいのちと暮らしの相談ナビ、これらを紹介しておこうと思います。特に後者は、自殺しないにせよ、失職したり病気になったり、人生に起こりうる大変な状況、それらに直面してしまった時の助けになってくれるサイトであると思います。今は大丈夫、そう思ってる私も、いつか頼るかも知れない。それは、やはり自殺問題は他人事ではなく、自分の問題であるということなのだろうな。そう思わされるのですね。