『まんがタイムきららフォワード』2026年9月号、発売されました。表紙は『君が一等星にひかるまで』。アトリとライカ、ふたりの舞台、スポットライトに照らされるその姿は仲むつまじく、信頼と愛情に結ばれる思いがあふれるかのようであります。静かに、ただ静かにアトリを背後から抱くように腕をまわすライカに、心のうちから湧いてくる言葉を語らずにはいられないアトリの気持ちのリズム。子が親に、今日あったことを生き生きと話す、そんな高ぶりが感じられるというのですね。それは舞台の上の虚構、演技であるのか、あるいはそこにこそふたりの心はあるのか。そのいずれか、触れてみねばわからない、そう思わせるような温度があるのです。
今月は新規ゲストが2本です。
『魔王城食堂に彩りを!』
魔王城にいけば、おいしい食べ物にありつける。人間たちの文化、料理というものを味わえる。
ただその食への一心でもって魔王軍に入隊したというのに、当の料理長はすっかり料理への情熱を失ってしまっていた? 食堂にて供されるは、料理というにはあまりにお粗末なもの。腹持ち、栄養こそはよいのかもしれないけれど、見た目、食感、味は度外視。これはいったいどういうことなのだろう。
なるほど、すべては魔王様がお決めになったことなのですね。魔族たるもの、人の文化に触れてはならぬとの仰せ。しかし、その決定の向こうには、魔王様の悲しい思いがあったというのです。
新人フラフはあきらめが悪く、何度料理長ウルミから拒絶されようとも、料理への興味情熱を失わない。たとえ脅されようと、たとえ叱られようと、それでも必死に食い下がる。すべてはおいしい食事のため。勝手にウルミの弟子を名乗っては、ついてまわって、必要のない手伝いをし、そしてついには、食材について、そして料理について、学ぶことがかなったのです。
ウルミ、決して料理への気持ちを失っていたわけではなかったのですね。隠していた気持ちが、フラフによって引き出され、そしてついには食堂も大繁盛。復活した料理はまたたく間に評判となり、それはついには魔王のもとにまで届いてしまい、ふたたび料理禁止!?
いや、しかし、ここでもまたフラフのあきらめの悪さ。さらには、感化されたウルミに、城の皆も加わっての大作戦。頑なだった魔王の心に、そっと触れて癒す、そんな一品が魔王を悲しみやつらさ、孤独から救うというのですね。
かくして、ふたたび魔王城はおいしい料理の花盛り。魔王様も山盛りで食べてらっしゃいますな! この顛末、一息ついてほっとさせる、そんなあたたかみあって、なるほど納得、おいしくいただきました、そんな思いのしたのです。
『羊かぞえアンサンブル』
今日も眠れぬ夜に悩みもつのるゆず。まさか、羊を数えてみたその三匹目に、あんなににぎやかな羊バンドが登場しようとは!
羊とはいうけれど、羊感は少ないね! ほぼ人の姿。元気にギターとドラムでもって、羊かぞえ歌を歌ってくれる。でも、その歌はゆずにはまるで届かず、眠気よりもツッコミを誘う始末。その角は、その耳はなんだ! そもそもこんな時間になにやってんだ!
疑問ばかりがよぎるものの、求められるままにゆず、歌って聞かせてみれば、歌のうまさに大絶賛。なぞのふたり、羊だから二匹? モコにアーモンドからボーカルとして抜擢されるのであります。
この子、ゆずさん、バンドでベースやってらっしゃるのね。友人と一緒にバンドやってる。緊張のあまり声が出なかった。それが心残りとなって、ずっと鬱屈している。眠れなくなったのもそのため。次のライブももうすぐだというのに、このままじゃまた歌えない。バンドをやめようと思うも、言い出せないままここまできてしまい、しかし歌える気もしない。
この状況を、モコからきっちり駄目出しされるんですね。君は羊だ! 臆病ですぐ逃げる! 羊と同じ。超ダサい! でも、このキビしさ、ただキビしいだけじゃなく、なんなら続けてみなさいよ、向こうに見える九月末に眠れぬ夜を数える人の群、なんなら彼らを我々の羊かぞえ歌で眠らせてやろうぜ!
この勢い、有無をいわせぬものがあり、むしろ気持ちいいな。雪崩れ込むようにして、ボーカルとして引き込まれるゆず。ベースを手にして、一心不乱に歌って聞かせる羊かぞえ歌。その思いや見事に届いて、眠れぬ人たちは眠りの境地へ。そしてゆずも、ここしばらく感じていなかった快眠でもって、翌朝を迎えるというのです。
しかしうらやましいな。羊かぞえ歌。たとえ急遽歌わされることになるのだとしても、快眠が得られるとなれば、むしろこちらからお願いしたい。
さて、モコ、アモの二匹とともに毎夜ライブを重ねたゆずは、しっかり度胸もついて、いや、ついてねえな。学祭のステージ、満場の観客に飲まれてしまってますやんか。と、その最前に見慣れた二匹、モコとアモ! 驚きの出会いに、緊張も吹き飛びましたか? 思いきりとともに弾いて歌ってみせるその姿。ええ、すっかり克服しましたね!
と、それはいいんですが、そんなにしっかり眠れるというのなら、羊かぞえアンサンブル、うちの夢にも出てきてくれないものでしょうか。わりと本気でお願いします。
- 『まんがタイムきららフォワード』第20巻第9号(2026年9月号)

0 件のコメント:
コメントを投稿