2024年7月26日金曜日

『まんがタイムオリジナル』2024年9月号

 『まんがタイムオリジナル』2024年9月号、発売されました。表紙は『可愛い上司を困らせたい』。大団円の最終回、との惹句が背後に踊るイラストは、恵と青木、ふたりが密接、いちゃついている様子ですよ。これまで、なんと9年間の連載。紆余曲折ありのずっと秘密の関係を続けてきたふたり、それがこうして皆から祝福されてのラストに漕ぎつけることができたのですね。表紙を開いた巻頭には、同じくカラーでふたりからのお別れのごあいさつ。ええ、長い旅路でありましたね!

『ムクカノ:無垢で無口な職人彼女と、静かでにぎやかなふたり暮らし』

今回は椎奈と賢太、ふたりの出会いの頃が描かれて、その記憶を思い出させたのは賢太が自宅に導入したマッサージベッドでありました。凝った体をほぐしてくれる。その発端は、痛みのとまらない右腕。整体にいこうと思うも、どう説明したものか。事前に想定問答組み立てて臨んだ椎奈だったけれど、ひょっこり出てきた賢太に驚いてしまいしどろもどろに。

でも、そんな椎奈を受け入れて、どうしたら緊張なくやりとりできるか、工夫してくれた賢太のホスピタリティに感心する椎奈。ここからも丁寧に応対し、説明もわかりやすく、そして肝心の整体もソフトでやさしい。

こうしたことのすべてが、椎奈の気持ちもほぐしてくれて、つきあうまでに至ったというわけなんですね。

って、どっちからいったんだろ。職業としてお客に接する賢太からではないだろう。ということは椎奈から!? だとしたらちょっと意外な積極性。いや、賢太にしてもそういう積極性見せそうな感じではないから、このふたりの関係はちょっとした奇跡が関わってるような気がするんです。

『となりのフィギュア原型師』

アクリルフィギュア、はやってますよね。私もいくつか持ってますよ。持ってるだけで飾ってないのでありますが……。

さておこめ代表がいつになくシリアスです。アクリルフィギュアはフィギュアなのか。疑問を呈しましてね、というのも商売敵だからなのかな? いずれにしても、ここに半藤がうまいこと説明しようとしてくれて、あんまりうまいこと説明はできてない気もするんですが、推し活の入門を担うのがアクリルフィギュア、すなわちアクリルスタンドだっていうんですね。

なるほどー! って、アクスタはゲートウェイドラッグなんじゃん! 危険な世界にいざなう甘い罠なんだよ。ほら、半藤の説明にも、そこかしこに底無し沼が結構な広さで点在しておる!

後半に入ってからのはぐちゃん、その飛ばしっぷりがしびれますよね。わけのわからんフィギュアのアクリル封じ込めシリーズがどんどん出てくるのもわけわからんのだけど、そこから輪切りにしていくとか、ゴア表現だーっ! そうか、アクスタはゴアへのゲートウェイドラッグともなりうるのかーっ! って、ならんよね。こんなのはぐちゃんだけだ。

そしてラストにアクスタと融和してみせた代表。なんだかんだで遊んだら楽しい。楽しければそれでオーケー、みたいなこの人のわかりやすさ。実にすばらしかったです。

『かつては最強無敵の勇者様~姫には内緒のレベルダウン生活~』

勇者としてのチートパワーに溺れているジュローをわからせる系女子の出現ですか!?

いやね、ジュローはいま必死でしょう。レベルが下がってしまった後の生活をどうしよう。なんとしても自分の価値を示しつつ、レベルダウンの秘密を守って、自分の暮らしを守りたい。この保守的でかたくなな態度の根っこにある社会への不信感。ああ、ジュローのステラとともに歩む旅路は、心を開き自分のありのままをさらけだせるようになることをゴールとするのかもしれませんね。

実際、これまでステラがジュローを評価したのは、チートパワーに頼らずに、手ずから苦労してなにかをなしとげたときでした。けれど、ジュローはそのことにまだ気づけていない。このわかっていないジュローがわかる機会を与えてくれるのが、今回登場した素朴系女子、ミル=カルアーなのでしょうね。

しかしジュローはミルがなそうとしていることを理解できるのか。ステラの気持ちに近づくことができるのか。まだその旅ははじまったばかりではありますが、今のジュローには、スーパーチートパワーを持つ勇者としての驕りがある。その驕りを捨ててこそ、ミルにわからされてこそ、ジュローの最初の一歩が踏み出されることとなるのでしょうが、それまでどのような経験を経る必要があるのでしょうね。

0 件のコメント: