『まんがホーム』2024年8月号、発売されました。表紙は『らいか・デイズ』。まとうは野球のユニフォーム。バットを手に、ヘルメットかぶっていざバッターに対峙しようというシチュエーションです。この他の面々は、グラウンドのらいかを応援するのですね。『天国のススメ!』太一がラッパを吹き鳴らし、『独りじゃない一人暮らし』からはチアリーダーが参戦です。そして『孔明のヨメ。』は学ラン姿の応援団。これからはじまる夏を思わせる、そんな表紙であります。
今月は新連載が1本、新規ゲストが1本です。
『かわいいユミくんとオドオド尾堂くん』
冒頭の妄想、てっきりクラスの女子に対するものかと思いましたよ。
ボーイッシュ女子が好みという尾堂。夢見るのは、ボーイッシュ美少女に言い寄られ迫られるシチュエーション。もちろんそんなシチュ、現実にあるはずもなく、と思ったら、そもそもの話として美少女にあてがあるわけでもないのか。
と思ったら、放課後の教室、居眠りしていた尾堂を起こしたのが、まさに夢に見たキミ。これは夢かと思いきや現実で、まさかここから尾堂に春がくるというのですか!?
とはならないんですね。尾堂の前にいるのは、弓野龍之介と名乗る美少年。けれどあくまでも女子だ、そうに違いないと決めつけている尾堂と弓野の噛みあわぬ会話。それどころか、無礼をはたらき、そのせいでぶたれて、でもそれで開眼しちゃうのか、尾堂氏!
ここからはじまるのか、弓野と尾堂のラブストーリー。もちろん弓野にその気はないわけだけれど、勘違い尾堂の勘違いラブが性別の壁も超えていくがいい。そう思わないではおられない導入でした。
『へなちょこお嬢さん世話焼きオネェさん』
まいったな、へなちょこお嬢さん、めちゃくちゃかわいいな。
都会に出てきたオネェのお兄さん、角田英樹。アパートに暮らす彼女のお隣りさんは、いろいろ抜けてて心配なお嬢さん、伊東うず、なのですが、このうずちゃんがかわいい。素敵な笑顔、でもその頭はものすごい寝癖で、袖はほつれてる。しかも角田という名前をなかなか覚えてくれなくて、スミノだスミヤマ、スミヨシだと、会うたび違う名前で呼ぶ。
普通だったら失礼な話ですよね。でも角田にはそれがむしろ心地よいという。過去、田舎に暮らした少年時代、そこでつねに感じた周囲の視線と、そして同性愛者に対する興味と嫌悪。そうした重苦しさを忘れさせてくれる、うずの呼び間違い。角田の心情を描くタッチが丁寧で軽やかで、それが素敵だと思われたのでした。
そしてうずの世話を焼かずにはおられない角田。彼女にうずが贈ったかたちになった、スミレという呼び間違い。それをキレイと気にいって、ああ、これから彼女はスミタではなくスミレとして暮らしていくことになるのですね。
これ、思い違いだったらアレなんですけど、スミタがミスターのアナグラムで、そこから抜け出してスミレになる、そうした流れだったらそれも素敵だなと思った第1話でした。
『孔明のヨメ。』
趙雲が桂陽を攻略。その活躍に続くは猛将張飛であります。
しかしあんまり凝った策はとれない張飛です。なので、戦いは勇ましく、戦い終われば優しく、その一点だけ覚えてもらうことにしたのですが、本人はそのつもりでもなかなか思うようにはいかないっていうのが面白かったです。
また戦にしても、まったくもって張飛の思うようにはいかない。怒号のような名乗りを受けて、一発で崩れる武陵の軍勢。泡を食って逃げ出し、張飛が追えばその目前で射ころされる太守! もうまったくの不完全燃焼からの、笑顔見せたら死ぬほど怖がられるというダブルパンチ。ほんと、張飛にとってはがっかりしどおしだったことでしょう。
次は関羽の出番ですよ。長沙に向けて出立するのですが、迎えるは曹操がその実力を買った男、黄忠。ああ、弓の名手として知られる! これは大きな動きがありそうですよ。期待が持てますね。
- 『まんがホーム』第38巻第8号(2024年8月号)
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