2021年12月20日月曜日

『まんがタイムきららMAX』2022年2月号

 『まんがタイムきららMAX』2022年2月号、昨日の続きです。

『妖こそ怪異戸籍課へ』

今回、えらいこと妖艶なお姉さまがご登場なさって、睦子には気取られぬよう、そういって帝華を呼び出すその者は、毛倡妓の毛束潤。人を嫌っている? 帝華をつけてやってきた睦子とバチバチ火花を散らすその様子。さぞや人が苦手なのか、と思いきや、人の社会に溶け込んで美容院を営んでるんだ。しかも人気の店らしい。ただ闇雲に人を嫌っているとかではなく、それなりに折りあいをつけながら生活している。さらには帝華の母である人間の麗華とはいい関係を築けていたようで、でもそんなわりと柔軟に見える潤が、こと睦子となるとちくちく言葉の応酬がはじまってしまう。なんか相性悪いっぽいな。なにが合わないんだろうなあ。

人間や人の社会との微妙な距離感を保ちながら暮らしている妖怪の存在。これまで描かれてきた、人の社会に溶け込むことを選んだ者たちと、完全に人の世に背を向けている妖怪たち、その狭間に生きている、そんな感じでありますね。でも逆にいえばしたたかで、人の社会から得られるメリットは充分に享受して、けれど妖怪としてのプライドか、取り巻かれることは避けたい。自分にとってのいいとこどりを図っているのかも知れませんね。

今回はそんな潤と睦子の対立? でも決定的な決裂とまではいかず、どちらかというと双方帝華の保護者を自称しあう対決みたいなのやっちゃう。反りはあわないけれど憎しみあうようなところまではいかない感じ。で、この保護者対決が帝華にはちょっと嬉しかったりしてね、ああ、人の社会での保護者、妖怪の世界での保護者、ふたつの領域それぞれで帝華を見守るふたりなのかも知れませんね。

『瑠東さんには敵いません!』

今回、和村たちが置かれたシチュエーション。わかる、わかるわ。プール授業のあとは猛烈に眠い! いや、プール授業なんて小学校卒業以来縁がないのですけど、共感するのは、とにかく眠いってやつですよ。必死で起きよう、そう思ってるのに、ふと気づいたら目が閉じている! やべえ。クラスメイトが次々眠りに落ちていく教室。和村も、瑠東も、他人事ではない! その感覚、ほんと、わかる、わかるわ。これ、抗いがたいよね。

しかしあの瑠東の眠りに落ちる瞬間。プリントを和村に渡そうと振り返って、そのまま寝てしまうんだ! そこからの瑠東、和村ふたりの協定。寝てしまいそうになったら、先生の目をくらませよう。いや、ちゃんと起こしあうんですけどね。でもなかなか目が醒めないその感じ。ああ、まどろみの快楽があるよなあ。あの瑠東の表情、どんな夢を見ていたのか。和村とのロマンチックな夢なのか。夢見ごこちで、背をなぞる和村の指の感覚やいかなるものと響いたか。そうしたことごともまた魅力となって迫ってくるエピソードでした。

そしてありがとう蜂! この瑠東の機転、というかナイスタイミングで迷い込んできた蜂の有効活用とか、なんかコミカルで面白い。あの天井あたりを飛ぶ蜂を指差す瑠東とか、なんかちんまりデフォルメされてて可愛かったよねえ。今回はそういう可愛い描写も多かった。注意されて恥じる和村、優等生像が崩れて涙目の瑠東、まあふたつとも想像なんですけど、そのコミカルな描写。いやもう素晴しかったです。

『ななどなどなど』

ななどの小町ちゃんに向けるまなざし。たまらないものありますね。

文化祭での催し、歌を歌うというの、なぜそれをななどが提案したのか、その理由が実によかった。ななどには歌の楽しさがわからない。でも、それでも歌おうとしたの、ひとえに小町のためというのがね、なんていじらしいんだろう、ななどさん! 以前のカラオケ回で見せた小町の楽しむ姿。その小町の気持ちに共感できないことを寂しく思うななどが切ない。けれどそれがあるからこそ、小町が楽しんでいること、それが自分の喜びというななどの言葉が沁みるし、ななどに応えようとする小町の一念発起、それもまた胸に響いたのだと思うのですね。

昔の小町を知るこのみから見ても、小町の変化は顕著で、ななどとの出会いからはじまったこと。クラスに友達もできたこと。それらが小町に働きかけてきたこと。そのひとつの到達点ともいえる今回。ああ、小町ちゃん、ななどに向ける情愛、とても素晴しい。明確に言葉にこそはしないけれど、ななどのこと、大切に思っていることがわかる、そうしたところとてもいいと思っているのですよ。

しかし次回に描かれるだろう文化祭編。茶々来訪! うおお、波乱の予感しかしねえ。茶々様、お手柔らかにお願いしますよ。

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