2021年12月28日火曜日

『まんがタイムきららフォワード』2022年2月号

 『まんがタイムきららフォワード』2022年2月号、先日の続きです。

『スローループ』

小春についての心配が先立つつっちー。ひよりの前での小春の振る舞いに、無理をしているのではないか。小春のこと、あなたはどれだけ理解できてるのか、ひよりに迫るんですが、そこににこやかに割って入る恋もまたひよりを守ろうとしてくれてるんだな。この友達を大切に思って、それぞれのやりかたで動くふたりが描かれてるの、実にいいなと思います。ストレートに動くつっちーと、それとなくやんわりいく恋の対照もいい。うん、恋、すごいな。怖いとつっちーが評するの聞いてむっとするひより、そこからの反論も、ええ、やっぱり友達を大切に思っている、そんな描写が続いているんですよ。

でもって当事者たる小春ですよ。ついに釣れたよ! って、でもリールがないからどうしたらいいかわからない! って、喜んでるんだけど固まっちゃっててね、えらいこと面白い。ちょっと緊迫して自省の様子も見られた、そんな緊張の局面が一気に弛緩に持っていかれて、この小春の転換力よ!

ああ、それにしてもですよ、この一連の流れでさ、小春が今どんな感じなのか、無理してるとかどうだとか、言葉にしなくとも、説明なんてなくとも、すっとわかるの、すごいよね。読者にも通じるじゃん? つっちーも、ああわかってる! ってわかるじゃん? ええ、言葉にしなくてもいい、ちゃんと伝わるのはそれだけ登場人物の心情に迫ってるからだと思う。そっと、やさしげに、皆の気持ちがふわっと広がって、しっかりとそこに息づいて確かさをもって残る。

その感覚は、読者にしてもそう、登場人物たちにしてもおそらくはそうなんでしょう。つっちーの、多少険もあった様子が和らいで、小春との別れのくだりも、そして帰り道、妹あやと話してる時も、ああ安心したんだとわかる。よかったね、そう思えるところにこの子たちの読者からの距離感もまたわかるように思うんですね。

『球詠』

芳乃ちゃんがめっちゃ怒ってる! ヨミ復調するものの、投手としてはここで降板。芳乃の提案だっていうんですが、まあ、ですよね、あんだけ無理して投げてたんだもの。休ませないことにはいろいろマズいよね。

ちょっとバツの悪いヨミの様子と、どえらい怒ってる芳乃の様子、その対比がまた面白く、というか、怖いよ芳乃ちゃん! 6回裏、攻撃に入る時のヨミの不用意な発言にみんなが地味に怒ってるのもまた面白くって、いやもう、ヨミさん、ちょいと針のむしろっぽくなってません? いや、自分のせいなんですけどさ!

でも、ヨミの行動、岡田には響いていた。部の問題に当事者として立ちあったものとしては、自分の代わりに怒ってくれたこと、それは本当にありがたかったのでしょうね。そして光の投球。勝てずとも最後に一矢報いようと食い下がる松井を、あえて打たせてとる。その白菊に委ねる姿勢、仲間への信頼を描いたこの場面は、一連のヨミの行動、自分ひとりで完結させようとした試合と、その状況を抜けて再びチームの一員に戻ったことを、あらためて明確にしようとする、そんな駄目押しになっていたと感じました。

ヨミもいつもどおりに戻って、肩の故障などもなさそうと、まずはめでたしめでたしといえる終わりを見ましたが、ヨミの憤りのとばっちりを受けるかたちになった松井はじめ咲桜の選手たちについては、ちょっとお気の毒なエピソードでした。

『ちょっといっぱい!』

鬼気迫る様相で宿題に取り組むエリカ。ああ、宿題溜め込んで最終日に必死になってやっつけてるんだね? と思ったら違うのか! まだ夏休みに入ったところ! 序盤で一気にやっつけて、夏休みを満喫する計画なんだ。ごめん、エリカさん、てっきりサボった結果がこれだと思い込んでた。偏見の目で見てました。ほんと、申し訳ありません。

ここでますみんの過去の狼藉が明らかにされるんですが、怒られるだけで1ヶ月分がチャラ! 踏み倒しまくってたよ、と見事な反面教師ぶりを発揮なさっていて、いや、まあ、自分も夏休みの宿題を冬休み明けに提出してたりした口なので、あんまりますみんのこと悪くいえない。自分もますみんタイプ、残念、参考にしてはいかん反面教師のひとりでした。

今回は夏休みに向けて期待高まるばかりのエリカが本当にまぶしくて、どんだけ楽しみにしていたんでしょうね。でも夏のイメージがことごとく凪で占められていて、この子、どんだけ凪推しなのか。そうした感情のほとばしりもまた今回の面白さでありました。

今回は番外編とのことですが、ますみん提案の皆で出掛ける話とか、もみじの帰省とか、そういうの今後本編にて描かれたりするんでしょうか。なんか期待させられちゃいますよね、エリカじゃないけど、ちょっと楽しみです。

0 件のコメント: