『まんがタイムきらら』2022年1月号、昨日の続きです。
『スロウスタート』
移動教室で山を登っている一年生たち。それはいいんだけど、花名がもう限界ですよ……。この子、一年のネガティブ期間がたたって体力激落ちしてましたよね。それ、まだ回復してないんだ。実際、もともと体力に自信ありって感じの子でもなさそうだものなあ。
かくして宿舎にて寝込んでいる花名。なんだろう、うつぶせ花名さん、不思議とスタイルがよく見えます。つきそっているのはたまてさん。でもってこの子が、一番に散策とかに飛び出していきそうなこの子が、こうして宿舎に残ったのは、花名と話したかったからなのですか。
果実と花名の関係にヤキモチを焼いていた。そう告白するたまて。ああ、この子、やっぱりちょっと寂しかったんだな。自分たちより同い年の友達のほうがいいのかなって、モヤモヤ抱えていたんだな。そしてここからのふたりの会話がまたよくて、花名にとってずっと変わらず接してくれているたまてたちがどれほどに嬉しく思えたか、しみじみとした語り口に、この子の気持ちが沁みてくる。ほんと、ふたりのやりとり、とてもよかった。それだけに、あの大人なやりとりのくだりがおかしくって、たまてさん、その間はいったいなんですか!?
ふたり並んで眠る様子、あの表情、安堵が感じられるの、それもまた素敵でした。
『ほぐして癒衣さん。』
夏鈴の着ているセーター。これがあまりにくたくた、あまりにボロボロだって、朝霞から指摘が入りました。最初のうちは遠回しな言い方だったのが、だんだんダイレクトになっていくの、面白かったなあ。それくらい、癒衣と夏鈴の関係に気持ち掻き乱されちゃってたんですな。でも、それで夏鈴のこと可愛いんだからとかいっちゃって、なるほど、朝霞さん、悪い人じゃないってのは間違いないって感じであります。
それで週末、ふたりで服を見にいきます。夏鈴の服を選びながら、癒衣とお似合いになったらどうしようとか葛藤してる朝霞がちょっとおかしい。でもって朝霞から夏鈴への頼み事。なるほど、夏鈴とのハグを試してみたい。いったい癒衣がなにを求めているのか、それを知ろうとしてのことだったのだけど、ああ、朝霞の体温が高いの、癒衣が朝霞を選ばない理由を適当にでっちあげたとかじゃないんだ。ほんとに熱いのね! 真っ赤になってる夏鈴がおかしかったです。
で、翌日の会社でのこと。癒衣から新しい服に気づいてもらえてる夏鈴とまるで気にしてももらえていない朝霞、その差よ! いやほんと、朝霞さん、むくわれないですねえ。
『星屑テレパス』
瞬とのロケット対決。瞬より高く飛ばせたら話を聞いてくれる、そうあらためて確認する海果。ああ、海果、しっかりしてきていますね。絶対勝つというその眼差しの確かさ、そこにこの子の揺がない気持ちが溢れていて、ああ、これは勝てるのでは、勝てないなんてことはないだろう。
そう思っていたら、そう簡単には話が動かない。勝てた、勝てました。でもなにかおかしい。海果たちのロケットは76m、対し瞬は31m。不自然なほど飛んでいない瞬のロケット。なぜか? ああ、瞬、あえて出力の低いエンジンを使って、わざと負けたんだ。なんのために? 海果たちロケット同好会に自分の力など必要ないだろう、そういいたいがため負けたのか。
ここからの皆のやりとり。なぜ瞬はこんなことをしたのか。瞬の抱えている気持ちとは。その問への答をずっと海果たちは探して、そしてついにここに導き出すことに成功したんですね。瞬に強さを感じてきた海果。自分は駄目なんだと思ってきた海果。でもそうじゃなかったんだ。自分がそうだったように、皆が居場所を求めていた。皆が作ってくれた自分もいてもいいと思える場所。今度は、瞬がいてもいいと思える、そんな理由に自分がなるといった、その言葉にはしたたかに打たれて、ああ、本当に海果は強くなりましたね。
これまでの紆余曲折、これを経てようやくはじめて彼女らの挑戦ははじまるのかも知れませんね。ここが本当のスタートライン。長かった、時に険しく、はらはらもやきもきもさせられた、でもそれだけにこの地点に立てたこと、それがこんなにも嬉しい。悩んで、迷って、泣いて、乗り越えた、その過程があればこそ、彼女らの結束はより確かなものになったのですね。
- 『まんがタイムきらら』第20巻第1号(2021年1月号)
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