『まんがタイムきららMAX』2020年12月号、昨日の続きです。
『みわくの魔かぞく』
ああ、扉のまいが実に可愛い。しかしなぜ眼鏡なの? 今回のお話は年度当初の一大イベント、クラス替え。わりとポジティブなミラと違い、もう死にそうに落ち込んでるまいのその様子、ものすごい落差を見せています。
結局、クラス替えはなんの心配もなく、というか代わり映えもなく、これまでどおり。なんとまあ、ミラの父、魔王と沙夜香の介入あってのことなんだ。いったいなにをどうなさったというのだろう。謎です。
初日日直のまいと、裏門でまいのこと待ってるというミラ。このちょっと特別感ある待ち合わせ。まいなんかはちょっと嬉しくなっちゃってるの、可愛いよねえ。そしてちょっとしたすれ違い。でも、待たせて、待ってのその様子。ぎこちないながらも、どこか気持ちの通いあってる、そんな風もあって、悪くないなあって思ったんですね。
今では携帯電話で簡単に連絡も取りあえてなんて時代ですが、まいがスマートフォンを忘れていたり、ミラのかばんにそっと置いたメモが風に吹かれてなくなってしまったりと、こうしたすれ違いのもどかしさ。こういうちょっとスローなやりとり、便利すぎないままならなさも、物語にはスパイスになるのだと再確認する思いでありました。
『ぼっち・ざ・ろっく!』
雑なブッキングでまったくのアウェーのステージに立つことになったぼっちたち。はたして受け入れられるのか、パフォーマンスはうまくいくのか。心配したけど、実際に音を出してみたらなんとかなりそうですよね、これ! と思ったら、ぼっち! 途中までよかったのに、なんでちょっとやりすぎちゃうのん!? でも、それでこそぼっちって気もしますよね。
そんなぼっちたち、結束バンドのステージを見守る佐藤愛子(23)と店長星歌の存在がよかったです。客観的な評価をくだす定点観測する目としても、そして発展途上の彼女らを案ずる近しい年長者としても、重要なポジション、役割を担っていたと思ったんですね。
だものだから、愛子が評価した虹夏のドラム、この子の音楽のルーツに焦点の当たったラストは感動的でもあったと思ったんですね。ええ、いい姉妹ではないですか。ステージの盛り上がりをしっかり描いたからこそ、対照的に穏やかな場面も引き立つ。ええ、そのどちらもが光ったエピソードだったと思います。
『旅する海とアトリエ』
海とりえの再会。これまでの旅を少し振り返ったりしながらも、主題はあの旅を通じてりえが出した答、りえの出した画集であったのですね。そのタイトルが『旅する海とアトリエ』。海と安藤りえ、あとりえ、ふたりの旅を一冊の本とした、その本に海が自分のあり方を確かなものと感じたのがよかった。
旅から帰って以来、悩みを抱いていた海。自分のなにも手にしていなかったこと、その実感に苦しんだ海。けれど、りえの画集は、そんなことはなかったのだと、確かに海はあの時、あの風景とともにあって、見て、聞いて、知って、感じたこと、それらは間違いなく海のなかにあったのだと、それをりえが知っているということもあわせて気づかされたのかも知れませんね。
前回、自分の夢中になれるものを探そうと思いはじめた海、それがなにになるかはまだわからないものの、再びはじまるりえとの旅、そこで出会うだろう人、こと、そこになにをか見出していくのだろうか。あるいはこの旅そのものに見出されるものもあろうというのでしょうか。ええ、変わっていく、広がっていく、そんな晴れ晴れとした明るさを感じさせる終わりに、なにか希望のようなもの感じたのです。
- 『まんがタイムきららMAX』第17巻第12号(2020年12月号)
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