2020年10月26日月曜日

『まんがタイムきららフォワード』2020年12月号

 『まんがタイムきららフォワード』2020年12月号、昨日の続きです。

『おにのこひとのこ』

鬼の子を自室に住まわせている人の子、小森優。今回はこの子のバックグラウンドが描かれたのですが、大学では友達もいない、高校の頃の思い出もどこか無気力で、覇気がない? 感情のベクトルが外側に向いていない、そんな様子なんですね。

その子が、鬼の子、九華帳夢咲の前ではありのままの自分でいられるところ。いや、本当にそうなのかな? 自分の部屋の扉を開こうという時に、頬をぺちっと軽く叩いて、自分自身に活を入れるじゃないですか。これ、もしかしたら夢咲の前での自分を演じる準備だったりするんじゃないかなって、だとしたらこの子のくつろげる場所や時間ってあるのだろうか。そんなこと思わされて、ちょっと心配になったんですね。

だものだから、今回のクライマックスですよね。夢咲と一緒の晩ご飯クッキング。ここで夢咲が披露してみせた自慢の一品、地獄名物のオニにぎり。ヤバいブツなんですけれどもさ、強い感情を増幅させるというこのオニにぎり、いや、なにか薬物的な、ドラッグ的な効用だったりしないか、それ? みたいな不安もほとばしる一品なんですけれどもさ、これをちょびっと口にした優がその気持ちを吐き出すじゃないですか。あれがね、ちょっと心配してたこと、夢咲の前でも演技したりしてるんじゃってこと、それの答になってくれていて、ああ、ちょっとは演技してましたね。大丈夫な自分を演じてたんですね。でも、夢咲の前で見せていた自分はこの子の本当だったんだろうなって思わせてくれたところ、ええ、安心させてくれました。

これ、オニにぎりセラピー? 毒出しみたいなん? なんて思いながらね、優のことそっと抱きしめて、だいじょうぶ、だいじょうぶって背を優しく叩いてくれている夢咲がですね、普段は頼りないやつだなあって思ってたのが、実はそうでもないんだなって頼もしくも思えたものでした。ええ、最後に目を覚ました優の言葉。それがなんだかさっぱりしていて、夢咲のこと気ぃ利くなって、そんな関係、いいじゃんかって思わせられて、いい話でした。大人になると本音ってなかなか出せないじゃん。そういうところもいい話で、気持ちが軽くなりました。

『観音寺睡蓮の苦悩』

バスで酔う椿、可愛い。いや、自分も酷く乗り物酔いする子供だったので、椿のつらさよくわかる。

さて、林間学校ものっけから佳境。自分たちで作る夕食のカレーライス。そしてキャンプファイヤーに入浴からの就寝前の枕投げ。そのどこでも、椿と紫陽花のイチャイチャが炸裂。翌日のオリエンテーションにおいても同様で、といいたいけれど、睡蓮たち一行を監視する謎の影。

いったい誰? 紫陽花、椿の作ったカレーに激辛スパイスを投入し、さらにはオリエンテーションの会場、森林を一周する順路の看板を掛け替えたりと、結構な殺意を感じさせる行動の数々。まあ、睡蓮は大丈夫だったんですけどね。椿、紫陽花のイチャイチャを前にすると料理の味とかもうどうでもよくなるし、森の中で迷ってもヘリに迎えにこさせるしで、いやもう、シャイニング早乙女なのか!

睡蓮たちにいろいろ工作していた女生徒が気になりますよね。前回のラストで、睡蓮たちの行動計画を目にして誰かに連絡いれていた子ですよね? その連絡した相手って誰なのだろう。林間学校運営委員会に介入してきた睡蓮の真意を気にしていた第1学年主任の東郷教員? いや違いましたよ。

前回、ほぼ明確な意思表示をしていなかった生徒会長、六本木四葉。この人が黒幕だったんですね。この子にとって睡蓮は邪魔な存在なんでしょうか。いきなりといっていいのか、不穏な要素をどかんとぶちこんできて、はたしてどうなる。

しかし、六本木四葉。可愛いのにな。この子、手下の二子玉川鈴とペアで、睡蓮ビジョンにからめとられてしまわないものでしょうか。そのへんも期待したいところです。

『ねことちよ』

ちよの不在時、ねこの世話頼まれたまきですよ。茶碗蒸し作ろうと提案して、あら、ねこは茶碗蒸しを知りませんか。茶碗についた虫じゃろかい? ともあれ、まずは作ってみようと台所に立つまきと、椎茸をがんとして拒否するねことの攻防とか、卵を割るのが大仕事? 最悪の展開予想してエプロン装備を求めるくだりとか、ただこれだけのことがこんなにもほほえましくて面白い。いい漫画ですよね。

とか思ってたら、まきさん、ふみさんと遭遇しちゃいましたよ。いつものようにあがってきて、ちよと思って話しかけたら知らない人だった! この、知らない相手同士が向かいあって瞬間固まる緊迫の時間、それが面白くって、でもって段々に知りあっていく? ほら、ふみのお腹とかね、食べる量とかね、そういうの、ねこがうまく仲介してくれたからスムーズにことが運んだみたいなところもまたよくて、なんだかほのぼのと、にやにやと? してしまいましたよ。

しかし、卵を割らせるくだり。あれ、ハラハラするな。まきさん、大変だ。

『あいらいく俳句』

嬉しそうにしている演劇部を見ると不思議と私も嬉しくなってくるんだ。

暇をもてあましているわびさび部に、演劇部が一緒に舞台見にいかないかって誘いにくるんですよ。ええと、羅夢な。ちゃんと友達認定されてるところ、親しく話せるようになったこと、本当によかったねえと、なんだか妙に親心。このちょっと不器用な羅夢のキャラクター、好きなんですよ。

さて、いきなりの観劇だけど、この子たち大丈夫なんかな? と思ったら、いきなりうさこがトラブル!? なんと、盗撮目的でぬいぐるみにカメラ隠したりのがいたりするんか。それで疑われたというんだけど、ショック受けてるというより、いいこと知ったみたいなうさこがやばいよ?

おにぎりはおにぎりで、すっかり映画館気分。ポップコーン買ってくるとかいってるけど、演劇は基本飲食禁止ですと羅夢から知らされて、あー、こっちはショック受けてますね。どっからどう見てもショック受けてます。

しかし今回、羅夢が大変でしたね。わびさび部、マナーもなにもあったもんじゃない! ああー、しゃべっちゃうんだ。それを注意したら、今度はおなかにくしゃみと、ほんと羅夢の心労よ! いやいやあかんって! そう思ったことを羅夢が全部代弁してくれる。その頼もしさというかなんというか。うん、羅夢さん、今回は大変でした。

中盤あたりまでは観劇初心者と取りまとめるのに苦労する羅夢みたいな感じだったのが、演劇も佳境に入ると気持ちがひとつになっちゃったっての、あれがよかったんですよね。ほんと、みんな純粋だ。でもって、この後の展開にも驚かされて、羅夢の兄貴さん、すっかり美人が板についちゃってるじゃん! しかも焼肉屋店長とデート!? やったあ! やるじゃん! と思ったら、兄貴さん失恋ですの!?

このふたり、私の一推しカップルなので、いつか紆余曲折の果てにでも一緒になれるといいですね。ぜひとも成就してもらいたい、そんな素敵カップルなのですよ。

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