2020年10月3日土曜日

『まんがホーム』2020年11月号

 『まんがホーム』2020年11月号、昨日の続きです。

『恋はリベンジのあとで』

花が花屋の店頭に並ぶまでには、苗の段階から幾度もの選別を経て、寄りに寄られているのだということが冒頭にて語られて、花卉市場の競りの情景、売れるのかどうか、見届けるのもこわいと先に帰る泉です。このくだりに、選別されるということも漫画のテーマのひとつなのかも知れないなあ、なんて感じさせられたりしたのです。ええ、泉は選ばれなかったものの代表として描かれている。本当に? それはわからないけれど、なにかそういうこと思わせられるような印象を強く受けたんですね。

さて、市場の競りに出なかった花も廃棄されるのではなく、直売所に並ぶなど、まだ活躍できる可能性が残されたりもしています。直売所に出していた花が平日なのに完売との報をうけ、補充に向かう泉たち。この完売の理由が石田の上司の専務っていうの、ほんと嬉しそうないい笑顔見せて石田に報告してる様子もおかしかったんですが、こうした描写もまたテーマに通じるのかな? 選ばれしものにはなれなくとも、こうして見つけてくれる誰かはいますよという。

だとしたら、選ばれなかった人代表の泉? この人もいずれ誰かが見出してくれるのだろう。そうした暗示も感じて、ちょっと安心したりするのでした。

『座敷童子あんこ』

今回は父上と一緒だというのに、めずらしくあんこが大変じゃない。むしろ大変なのは父上で、いきなり額にペン突き刺して登場ですよ。これ、母上が刺したのか。母上との記念日を忘れて、趣味の妖怪探しに出かけようとした、それが逆鱗に触れたというのですが、母上、母上、この父上でなかったらあなた大事件よ!?

今回、なんの記念日か思い出そうとするくだりもおかしかったんですが、泣いて苦しむ結婚記念日とか、およそ発想が普通ではない。でもそれ以上に、父上の本音というか、価値観の序列というか、どれほど家庭内でゴタゴタしたとしても、興味の最上位は妖怪、タイのガスーだというのがね、ほんと困った男ですよ。で、見事にそれを母上に露呈させてしまうっていうんだから、どうしようもないよなあ。二度目のペンアタックを受けた父に、あれは父さんが悪いと冷静にいってる幸太とか、本当におかしかったです。

『歌詠みもみじ』

秋の夜長で寝不足でというの、まりなは寝不足どころか不眠症でありますか。酷い顔で登校してきて、それでもみじが一句詠む。それでドタバタするところ、ふたりの互いに気を許してる感があっていいというか、容赦のなさがすごいというか。なんかかんだでまりなも元気ですよね。

今回の話、これ、すごいなというか、はっと我がことのように感じられたポイントといいましょうか、あれですよ、ブロロロ。新聞配達のバイクの音を聞いたらもう駄目ってやつ、ほんとすごくよくわかります。不眠ではないけれど、だらだらと夜を過ごして、明け方、まだ暗いうちに聞こえてくるバイクのエンジン音。はっ、もうこんな時間!? そのやってしまった感をリアルに思い出して、まさしく実感をともなう共感でありました。

布団に入っても眠れない、これがまりなの不眠で、でもだらだらと夜を過ごしてなかなか眠らないっていうのも睡眠障害の一カテゴリーではあるんですよね。それだけに、今回のまりなのエピソードは共感を覚える人も多かったりするのでは? なんて思ったりもしましたよ。でもそれだけに、あの斬新な解決方法! ほんと、そんなのでいけるんか! いやもう、この発想が素晴しかったです。

『うちの秘書さま』

今回は身近な災害、火災がテーマ。はじめがやかんを焦がしちゃって、火災報知器が発報。ベルが鳴れば即座にはじめの部屋になだれ込んで、ファイヤーマンズキャリーにてはじめを連れ出す七瀬でありますよ。

すごい。

それだけはじめのことが大切なんだね!? というか、仕事に忠実な人だな! というか。うん、どうも後者の割合が大きいような気もするのですが、それでも頼もしい秘書であることには違いありませんよね。

はじめのおこしたボヤ騷ぎを受けての避難訓練、これがもうどうにもおかしくて、はじめに見立てたクマのぬいぐるみ、この子の負傷度合いが酷い! いったいどんな状況を想定なさってるの!? と思ったら、火災が原因じゃなくて七瀬のスローが原因じゃんか! 窓から逃がすというよりも、投げ落とす、それも相当な勢いで! という乱暴さが実に見事で、それははじめが我が身を案じ戦慄するほど!

真面目、忠実はいいけど加減がない、これも七瀬なのでありますなあ。

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