2020年10月19日月曜日

『まんがタイムきららMAX』2020年12月号

 『まんがタイムきららMAX』2020年12月号、昨日の続きです。

『いのち短し善せよ乙女』

今回は体育祭ですよ。この舞台はどこなんでしょう。赤組とかじゃなくて赤団っていうんですね。ちょっと新鮮な響きでした。

さて、今回の一日一善アイテムはというとジェットブーツ! ブラックスライム2体倒したら出てくるやつだ……。というのはいいとして、この漫画では韋駄天ブーツといわれてますね。とてつもない速さで走れるようになるのだけど、体育祭でズルをするのはよろしくない。ということは、これ、どの局面で活用するんですかね?

今回の体育祭、なんというか、怨嗟に似た感情がにじみ出てはいませんか? 今回ゲストのサブヒロイン、亀野歩美さん。気弱で運動苦手。もちろん体育祭なんて関わらずにいられるものならそうしたいというタイプで、そんな彼女のネガティブ思考。できるだけ目立たない、勝敗に関係しなさそうな借り物競争に出ることになってた彼女に襲い掛かる理不尽な配点3倍の恐怖! そこで亀野に投げつけられる酷い言葉!

なんだろうこれ、心が痛いよ? なんだろう、体育祭というか運動得意野郎どもへの不信みたいなのがにじんでないですか!? あー、つらい。ほんと、乙女よ、亀野さんをこの苦境から救い出しておくれ!

なんて思わずにおられなかっただけに、今回の善行、これは光ってましたね。ええ、乙女はサブヒロイン亀野とともに過去に苦しむ私をも救ってくれたのです! おお、乙女、そなたこそまことの勇者。というのはいいとして、理不尽な扱いされてた子が報われたの、本当にほっとさせられる顛末でした。

『150の恋事情』

これ、めちゃくちゃ面白いな。コマ割りもめちゃくちゃ自由。コマ割り漫画っぽくはじまったかと思ったら、無事四コマのフォーマットにて進行していくんですが、その途中で巻き込まれた男子、蓮華が自分でページをめくったりするのな。こういうメタい表現、うまく使うの結構難しいと思うんだけど、この漫画のテンション、ノリ、勢いが見事にこれを受け入れさせて、いやあ、面白かった。

というか、依恋がいいよな。なんだかんだと酷いの。基本沸点低いよね。でもって言動にデリカシーが欠けている。一緒にいるつつじなんかは、ちらっとときめきポイント見せたりするのにな、依恋にはそれがまるでない。ゲームや漫画の定番展開やってみようってときも、どう考えてもやりすぎ演技がオーバーキル。冷静沈着なつつじも取り乱してますがな。最高や、最高でした。

またラストがすごかった。つつじの警戒する定番展開が発生したのまではいいんだけど、蓮くんとどういう関係? その問に、蓮くんって誰だろう…? ふたりとも、ほんと酷い! 依恋は自分のことしか興味ないし、つつじも依恋しか眼中にないっぽいもんなあ! いや、でも、しかし、こういう奔放なキャラクターはかなり好きなので、もう最高でした。

『ホレンテ島の魔法使い』

あむの語るホレンテ島の島起こしプラン。おお、なかなかにシリアス、真面目な感じじゃん? と思ったら、いきなりメッキがはがれたよ!?

公会堂のイベントで、島の伝承をもとにした創作舞台をやりたいという。うん、これ自体はわりかしちゃんとしたプランなんじゃないかな。この島の歴史や伝承をもとにアレンジした、わかりやすい物語でアピールしていきましょう。いわば新たな伝統の創出といった感じなんですが、こうなると当然反対も出るわけで、ユシャがいうんですね、きっとジさまが許してくれねぇ。

これ、てっきりユシャの祖父が墨守派なのだろうと思ったら、違うのか。あむの作った物語、それが核心に迫っちゃってるのか。魔法使いの伝承で島を売り出しながら、魔法が本当に存在することは隠さないといけない。あむの提案は、前者にとってはよいけれど、後者には抵触しちまうんだな。こういう、表向きには明らかにしない裏事情が見え隠れするホレンテ島の不穏さ。いい味出していますよね。

舞台の用意するところなんかは部活っぽくって、あるいは普通に文化祭ノリで面白い、楽しいと、とてもポジティブ。そう思っていたら、その裏側で魔法の力をめぐる不穏なやりとりが見られたりと、これ、無事に大団円迎えられるのかい!? そんな不安含みの展開。表向きは平穏そのものなのにな! なかなかに穏やかでないその状況に引き込まれるんですよ。

『のむラリアット!』

もうめちゃくちゃ面白いよ、これ。いきなり味方同士の場外乱闘で負けそうになってる桃からスタート。で、無防備に戻るとボコボコにやられます。って、星さん、わかってるんならくるみにではなく桃にアドバイスしてあげてーっ!

でも、ほんと、よく動きますよね。逆エビからのロープエスケープの流れ。桃のポテンシャルを引き出すくるみの秘策が光ったと思えば、その後のやる気のない逆水平チョップ。なんだこのメリハリ! いや、メリハリって表現でいいのか? 相手選手が戸惑ってるやんか。もうめっちゃくちゃに面白いですよ。

みるくが出てからの応酬、これもすごい。ほんと、基本、四コマのフォーマットを守りながら、コマの割り方の工夫が光る。コマ割りの配分を変えてみたり、さらに細かく割ってみたりと、キャラクターの動きや反応をクイックに、そして決めゴマはダイナミックに、魅せる、映える、そんな誌面から受ける印象、鮮烈そのものでありました。

チームワークに優れる対戦相手に比べ、こちらはどうも分断されがち、試合運びのイニシアチブをとれずに苦戦している。そんな場面で見せた星の一連の動き。どうすべきか躊躇した星が指示一発で一気に迷いを吹っ切って飛び出していくその切り替わりの鮮やかさから、あわや2対1と苦境に立った星に加勢すべくリングによじのぼってくる桃の頼もしさ!

いやもう、感動しちゃいましたよ。桃ってどこかコメディリリーフ的な役どころが多かったですけど、やる時にはやる、魅せる時には魅せますねえ! このふたり、はたしてどのように立ち回る? もう続きが待ち切れませんって、これ。

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