『まんがホーム』2020年11月号、発売されました。表紙は『らいか・デイズ』らいかをメインに、秋の味覚でしょうな! それも果物なのかな? 焼き芋を、いきなり果物っぽくないわけですが、半分にしてこちらにぐいっと勧めてくれている、その近しさ、親しみが実にいい表紙です。他に、リンゴに恋する『2年B組オネェ先生』、同じくリンゴにくちづけ『ぼくの上目遣い』。『孔明のヨメ。』はカゴいっぱいにアケビです。そして『ちっちゃい彼女先輩と同棲します。』、新連載告知のカットもございます。
『ちっちゃい彼女先輩と同棲します。』
帰ってきての新連載です。今度はコマ割りの漫画なんですね。以前の連載は職場で知り合ってつきあうにいたるまでを描いて、そしてWeb連載でつきあってからが描かれて、そして再び雑誌に戻って今度はふたりの同棲の様子を描こうというのですね。
とりあえず初回は、ふたりが同棲を決めていよいよこれから新居を入ろうという段。なるほど、なかなか進展しない、そんなふたりだったけれど、それなりにしっかり進んでいるのだなあ。そう思ってたらですよ、ですよ。ちゃうんか! いやもう、チーフもそう思ったよな。自分もそう思ったよ。けれど紗和がですな、なんらそれらしい進展がないっていってて、それ、結構な悩みっぽいよな。さてさて、この状況でいきなりの同棲。はたしてどうなりますやら。乞うご期待ですね。
『孔明のヨメ。』
関羽とともに江夏へと向かった月英。さっそく船を調達し、しかもその船、孔明の策を得て守られたものだという。この縁、感謝があってこそ、こうして協力もしてもらえるというのですね。これまでやってきたことのむくわれる時がきている。素直にそう考えていいのでしょうか。
ここからの展開、とてもよかった。関羽が月英に江陵攻略の策を求めるのですね。いきなりの大役に当惑する月英だけど、関羽のはげましもあり、遠くにある孔明のことを思いながら情報を集め、策を練る。まさか月英がこんなかたちで活躍する日がこようとは思わなかった。おそらく、この時代に女性が軍師のような役割を果たすことなど考えられないことだったでしょう。ですが月英は今その大役を担い、小さいとはいえ軍を率いる将軍に重用されている。その才を評価されている。いやもう、感動的といわずしてなんといいましょうか。素晴しかったです。
さて、一方孔明ですよ。劉備の本隊にて策を練ってはいるのですが、十万の民を守りながら曹操を迎え撃てるような策などあるわけがない。しかも曹操の電撃戦! 騎馬をとばして、劉備の軍の追撃に全力をもって臨もうというその気迫です。ほんと、こんな状況でいかに戦う、いかに動く。なにせ相手は曹操。劉備の動きを予測し、文遠の隊を劉備を押さえんがため差し向けようとするその手腕。
はたしてどう出るか、どう受けるか。この緊迫のなか次号へと続く。将軍それぞれが、やるべきことを成そうと動く、その鬼気迫る表情もまた読み手の気持ちを高揚させていこうというものです。
『天国のススメ!』
毎回登場するゲストのもののけたち。その意外性というの、本当に毎回見事に機能して、今回は見るからに怪しい橘君登場ですよ。ハロウィーンの日に、その気にあてられて迷い出たというのか。あからさまに普通でない。どう考えても異形。橘本人は家族とともに親戚の家にいっているという情報もあらば、偽物への接触は避けるべき……。と、そこで草間がハァハァいいながら迎え入れるのな! やったぜ、草間! やっぱ草間はそうでなくっちゃなあ。ほんと、太一がいなかったら怪異にとりつかれて命の危険があるんじゃないか、草間。
今回の異形も根は悪いやつじゃないというのがいいですよね。稀代の霊能力者、太一に自分の半分、対となる掛け軸、右近の橘を探して欲しいというのですね。さすが太一、話がはやい。こうして左近の桜が目覚めたからには右近の橘も目覚めているはずと探す、その流れ。その途中途中に差し挟まれる左近の桜と橘との縁のくだりとか、こういう人の情の描写にやっぱりやられてしまいます。こういうのが本当にうまいって思うんですね。
お話としてはシンプルでした。でもそれを単純なものと感じないのは、そこに感情の動きがあるからだと思います。今回も、面白みをまぶしながらしっかりした感情の動きを見せてくれて、ええ、充実があったと思います。
『ちくちく推して』
今回の話、面白いなあ。恋人から別れを切り出されてショックな妹、さくら。姉の部屋に飛び込んでみたら、そこには見るも麗しいイケメン男子が!? そのイケメン男子、見た目だけじゃなくいうことなすことかっこよくって、さくら、心打ち抜かれっぱなしじゃん! この人、姉、えりかの彼氏なのかい? いやいや、実は女性です。コスプレでした。えりかの友人、陽菜さん。面白がってか、さくらにぐいっと迫って、いい声でもって、さくらのことドキドキさせまくるの。
最高や……、最高やん。
今回、えりかがはじめて知った妹から自分がどう思われるかっていうの。そうか、憧れてましたか。でも、なんか腑に落ちてない感じがよかったですよね。姉の妹の恋愛事情についての評などもなかなかしっかりとしたもので、こういうのもよかった。と思ったら、妹ちゃん、聞いちゃってましたか。でも、本気で人を好きになったことがないっていうの、今日の出会いで違ってきちゃったりするのん?
ええ、なんだかさくらから目が離せなくなりそう。応援しますよ。ほんと、さくらよ、どんどんいくがいいですよ。
- 『まんがホーム』第34巻第11号(2020年11月号)
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