『まんがタイムきららMAX』2020年9月号、昨日の続きです。
『こみっくがーるず』
人の心の本当のところは外からはうかがいにくいものであるということ。それが今回しっかり描かれて、くりすですよ。美姫からすれば、なんでもできて、自信たっぷりで、それゆえに悩みがちな自分の気持ちなんでわからない、わかるはずがない。そう決めつけて拒絶して、だからわかりあうなんてできなくて、というんだけど、美姫さん、この子も困ったちゃんでありますなあ。さすがにくりすがかわいそう。
そう思ったところで、ああ、かおすがくりすに助け船を出しましたね。隠している本当の自分のありのままで気持ちを伝えてほしい。怯えるくりすに力を与えたのが、かおすも同じだというその言葉だったんでしょうね。くりすのために頑張ったかおすもまたよくて、そして怖れる気持ちを克服して、真摯な手紙をしたためたくりすの気持ちが伝わるくだり。それが本当にしみわたるように感じられて、本当にいい場面でした。
しかしそれにしても、美姫さん、不器用な子ですね。お友達とかいますか? なんかいろいろと心配になってくる子たちですが、美姫もまさにそんな子で、だからこそこのくりすとの関係改善が、くりすにとっても、美姫にとっても、変わって、育って、伸びていく、そんなきっかけになってくれるとよいなあって思ったんですね。
『しょうこセンセイ!』
しょうこの髪を切ります! しょうこはいつもは母に切ってもらっていたんですね。でも今は母とは離れて暮らしている。ということで、自分でいっちゃいますか!? って、それ、酷い目にあうこと請け合いじゃないですか。ローゼスも変なことけしかけちゃあ駄目ですよ。
佐久間に髪を切ってもらいます。でも、カットは苦手なんですね。お客さん前にすると緊張してしまう。その苦手克服も兼ねてしょうこの髪をカットすることになったんですけど、途中で背中がかゆくなるしょうこ! いや、最初の時点で背中がかゆいってちゃんといおう? というか、佐久間も緊張してるんでしょうけど、コミュニケーションが壊滅的になってる! いやあ、なるほど、前髪ばっさりいっちゃうのはまさしくさだめであったというわけですなあ。
でも、前髪ぱっつん、可愛いですよね。前髪揃えて仕上がったしょうこ、ほんと、めちゃくちゃ可愛いじゃないですか。しょうこもめちゃくちゃ喜んでるし、と、それはいいんだけど、解体作業? なんか、評価の基準が謎すぎるよ? ほんと面白かったです。
そして、落ちのリベット。あれ? リベットには似合ってない……。そうか、あの髪形、やっぱり人を選ぶのですね。これ、リベットの表情次第では可愛くなったりせんのかな。次回にはいつもの髪形になってるかもだけど、前髪ばっさりリベットの可愛さの可能性も見てみたいものです。
『ホレンテ島の魔法使い』
ホレンテ島に伝わる伝説。丘の上から奇跡の歌を届けたカトリネルエという少女の物語。これだけだといかにも西洋の物語のようだけど、彼女を祀って建立されたのがお地蔵様で、その名は香取観音。なんともいえないチグハグさがあるのね、ほんと、これどういうことなんだろう。ホレンテ島の昔話の本を読んでるあむも、このチグハグさを気にしてますけど、なんとなく納得しようといろいろ考えてるの。魔法使い伝説の真相も陰陽師っぽいのだったんじゃないかとか、そのイメージの変遷みたいなの、なるほどあむの解釈もあながちおかしくはないのかも知れませんね。
ユシャの手回しオルガンとともに、パペット装備のあむが歌って聞かせるカトリネルエの伝説。こういう見せ場、華やかで実にいいですね。創作を交えるのもいいのではないか、そんなあむの思惑を見透かす詠ならぬユシャ。このくだり、テンポもいい、きっちり締めて次の話題へスムーズに流すブリッジとなってるの、うまかったです。
この漫画の現実味ある要素。上級ガイドに要求されるスキルとかね、ほんと、魔法使いに必要なそれじゃないよね! 魔法使いを探してるあむにとっては、次から次に夢がぶちこわされるばっかりで、そんああむとかるてのラーメン屋台での語り合いなんかも、なんかまた現実味? おかしいんですね。このバランスの崩れそうで、けれどちゃんともってる感。それがいい味になってると思います。
というか、かるてさん、この島の残念さ、まだまだまだまだあるんですか? そっち側への期待もまた高まりますなあ。
- 『まんがタイムきららMAX』第17巻第9号(2020年9月号)
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