2020年7月22日水曜日

『まんがタイムきららフォワード』2020年9月号

 『まんがタイムきららフォワード』2020年9月号、発売されました。表紙は『ちょっといっぱい!』。もみじと凪、ふたりが大きなひとつのグラスから飲み物をペアストローでもってシェアしています。青い飲み物は涼しげながら、添えられたオレンジに大輪のハイビスカスが夏の季節感をこれでもかと感じさせてくれて目にも鮮やか。そこに水着姿のふたりが、寄り添うようにして、見つめあって!? その様、仲良さそうで、もみじと凪のくったくない笑顔と隠しきれない気持ちの高揚の交錯する瞬間!? みたいなのがね、実にいい感じのしあがりであります。

今月は新規新連載が1本、新作ゲストが4本です。

『キミと家族になるまで』

ストレートな恋愛もの、きましたね。父の再婚。そして毎週金曜日に電車であえる憧れのお姉さん。それでこのタイトルときたら、もう予想のとおりですよ。まさしく王道といえる。最初はね、お隣の幼馴染み? とか思ったんですが、この子は普通につきあってる男子がいるというのだから、なるほどここに割って入るとかはない。と、いうところで、今回のギミック、しっかり受け取りましたよ。

主人公、稔は高校生。電車であうお姉さん、智里は大学生。受験のアドバイスなどもらって、そして稔は智里のことが好きでという。その思いを伝えられずにいるのかな? とか思ったら、おお、第1回目にしてしっかり伝えて、しかも好感触っぽい!? と、この状況から一緒に暮らすことになる。まあ、別にそれ自体は驚きだろうけど、お互い悪くないのではなくて!? とりあえず、暮らしてはじめてわかる相手のこと。それ知ってどう印象など変わっていくのか、そのあたりが序盤の見どころになりそうですね。

『大好きなこと』

変化球ぎみの恋愛もの、きましたね。同性ながら昔から好きだった瑞希から悩みを聞かされた楓。なんと、Hなことの経験云々っていうんですよ。どういうこと!? 混乱する楓に追い討ちが。なんと、瑞希、つきあってる人がいるらしい。誰? 寝耳に水。あまりのことにヘコんでしまっていたら、相手のこと教えてもらえたんだけど、なんと、女性、大園先輩、美人の人、なんだよ自分にもチャンスあったんじゃないの!? オンナノコじゃんの叫びからは、そんな心の声を感じとっちゃいましたよ。

しかしこれ、わりと際どいね!? 大園先輩が求めているプレイ。その内容を知って激怒する楓だけど、それで一線超えてなお大園、瑞希ペアに弄ばれている感が強いこの漫画。当初は瑞希が先輩から酷い命令されてると、そんな感じに思わせていたのに、実はグルでしたーっ! みたいなこの展開には、楓のみならず私も手玉にとられたようで、うん、この感じは面白かったですよ。

しかし、ほんと思いきった展開でした。

『3時のおやつは神様と!』

見た目が怖くて損をしている男子。不良でもないのにそんな先入観で見られるし、お菓子が好きなのにケーキ屋にも入りづらくなってと、そんなこんなでちょっと鬱屈しちゃってるみたいですね。そんな彼の、自分自身を肯定し、好きなものにまっすぐでいられるようになるまでの話。神様を自称するちびっことのコミュニケーションに、気負うことなく、自分らしさを表に出せるようになっていくくだりなどは大変よいものがあったと思います。

見た目がどうとか似合うとか、そういうのは本来好きの嫌いのに関わりないはずなのに、周囲の目が、決めつけが、自分の気持ちを押し殺させるというのは確かにある話なのだと思います。そのあたりを少々強めに押し出して、そして押し込められていた気持ちを爆発させる。スイーツが好きでなにが悪い! その思いのほとばしり。ただこれだけのことをいうのに、これだけの勇気が必要だったんですね。ええ、ここでの思いきり、そして彼の気持ちに応える神様。いいお話でした。

『神崎さんちのちっちゃい姉』

これ、いいですね。高校生の姉が一番ちんまり小さい三姉妹。背が低いだけじゃなく、子供っぽさも残していて、次女からは小さい子扱いされてるし、三女からは使い走り扱いされるしで、それが面白くない。でも、面白くないといっても、どうしても妹に勝てない。勉強だって三女小学生に教えてもらう始末。これ、姉がだらしないというよりも、高校数学がわかる三女がすごい感じしますね。

そんな姉の愛されぶりを描きながらも、いざという時には頼りになるお姉ちゃんなんだよというのを見せていくところ、これが大変よかったと思います。普段の妹から、そしてクラスメイトからも可愛がられている、愛玩されてるといってもいいくらい、そんなちんまり可愛い感じも魅力的なんですが、ここぞという時に見せた姉らしさ? 小さな妹の心細さを放っておかなかった、そんな姉の、ずっと前から見守ってくれていたことのわかる瞬間。ええ、いいお姉さんぶりでした。

『3丁目の英雄と河川敷の魔王様』

魔王の座を継承するための試練として、ひとり地球に送り込まれた魔王の娘、マオ・デミル。やるべきことは人類を制圧し、人の世界を支配下に置くこと。ただ問題があって、マオは王位継承に興味がない。けれどそれでは困るので、父王はマオを突き放すことにしました。

そんなマオの地球侵略。でももともとやる気があったわけでもないから全然はかどりそうになくて、というか最初に会った人間が悪かったな……。思い込みの強い子? 虹野雫。悪いことに、マオが参考にしたのが雫の漫画のキャラクター。自分の漫画のコスプレしてる子と出会って、えらいこと興奮した雫に締め落とされて、そこからもずっと雫のターン。まったくイニシアチブ取れず、住まいから食事まで雫の世話になることになってしまいました。

そんな雫の交換条件、ヌードモデルをやらされたりしてね、もうわりと尊厳の危機。それでも雫から主導権奪うことのできないマオなのですね。

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