2018年1月26日金曜日

『まんがタイムきららフォワード』2018年3月号

『まんがタイムきららフォワード』2018年3月号、昨日の続きです。

『にじいろフォトグラフ』。楽しい日々を記録しようとカメラを買った葵。それで皆で動物園にいこうという話になって、ええ、イベントを創出してきますね。クマ舎でサラの写真を撮ろうとした時の、遠くにいた時はコロコロして可愛い印象だったクマが、そばまできちゃうと相当な迫力出しちゃうとかね、いやそれにしたって、葵さん、驚きすぎじゃないっすか!? ふれあいコーナーや、ゴリラの着ぐるみとのコミュニケーションなど、大きな話じゃない、ささやかな日常のイベントが描かれて、でも、それがすごく生き生きとして愛おしい。そう感じさせてくれるのが、素直にこの漫画のよさであると思うんですね。最後に皆で噴水で遊ぶ、こうしたところもいい。ただ写真を撮るだけでなく、一緒に遊びの輪に加わって楽しんでる葵がね、本当に素晴しいと思った。こうやって楽しい思い出をアルバムにしていく。そのアルバムを作るところなども、一緒に過ごした時間を愛おしむように感じさせてくれて、とてもよいものでありました。

夢喰いメリー』。急を告げる、まさにそういう他ない状況になっていますね。頼まれていた紙芝居を完成させた柊。レンと一緒に届けにいこうというその途上、夢魔らしきものに遭遇したというのですが、これがどうも普通の夢魔とは様子が違っている……。しかもこれ、あちこちで出現しているようで、ケンや勇魚も襲われている。これ、まだ夢魔になる前の存在なのか。銘無し、エンプティと呼ばれるそれらは、名前も役割も持たない空っぽで、だから中身を埋めようとケンたちに迫り、さらには食おうとしている? これ、食われてしまったらどうなるんでしょう。銘無しが空っぽじゃなくなって、なにものかになる? ただの食われ損? しかし、状況は末期的、物語としては佳境でしょう。門が壊れ、この世界に留まることも苦しいメリーに、お互い正念場と声をかける夢路。本当、このふたりもいずれ別れる運命にあるのだろうと納得している、しようとしている、そんな状況においてメリーの人には見せようとしない心情が切なくてたまらんものありますね。

『ブレイキンガールズ!』。華、伊織、葵たち、マジェスティックスのフミカとソラに教えてもらうことになりました。フミカは伊織に、ソラは葵に、そして先生は華について教えることになるんですが、各自、目標を定めて、それに必要なものを身につけようと頑張っていく、その過程がちょっとずつ違っていて、面白かったり、そしてなにより伸びゆく予感をさせてくれて、よかったのですね。伊織はまずは倒立できるようフィジカルを鍛えることになって、バレエ経験者の葵は気持ちを切り替えるやり方を学んでいくことに。それぞれに違う個性、得意、苦手なところを、またそれぞれ違ったタイプの教師に導かれるという構図。距離感なんかも違ってね、その違いがまた面白かったと思います。そして、華。華の踊るソロパートを教えようとする先生から、手本の踊りを見せられて尻込みしてしまう華なのだけど、先生のいう華の克服すべき弱点、それってこの気弱なところなのかな? なんだか高いハードルを設定されてるようにも見えるのですが、これを華が超えていくのかと思うと、それは相当な見物。わくわくさせられますね。

『まんが家cherry!』。今回の話、すごくよかった。ギャグ漫画で賞に挑戦した春香。惜しくも結果は2位だったのだけど、1位をとった漫画家、とっとこぴょん太郎、略してとこぴょんから声をかけられて……、それからの会話が本当によかったのですよ。賞の結果としては上回ったものの、内容では負けていた。春香の漫画のおもしろさに笑って、そして自分のふがいなさに泣いたという、とこぴょんの、こうした自分に厳しく向き合おうという姿勢もよいと思ったのですが、なぜここで春香と話そうと思ったか。とこぴょんの根底にあった気持ちがまたよかったのですね。恋愛漫画を描いてきた春香のギャグ転向第1作に、ここまでやられてしまったということ。その焦りがさきにあった。そしてここで春香への問い掛けが、とこぴょん、春香の漫画の書き方、発想、組み立ての違いを明確にして、これ、素晴しかった。計算、論理でギャグを組み立てていくとこぴょんと、実体験から組み上げていった春香。漫画を描くと一口にいっても、全然違っているんだなあ。この違うということ、自分の持ってるものと相手のそれが違っているということを知らされて、それがとこぴょんのうちにあった焦り、不安を溶かしたのかもなあ。こうしたいろいろを違えたふたりがこうして出会って、話して、近しくなって、友人でそしてライバルだっていう関係にいたった。そのすとんと胸に落ちるように丁寧に描かれたプロセスが、とても魅力的であったのですよ。

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