『まんがタイムきららキャラット』2018年3月号、一昨日の続きです。
『NEW GAME!』、2本立てです。一挙2話掲載といった感じですね。1本目では、皆に内緒でゲーム制作していたことがついに上司にバレてしまう。そして2本目では、そのゲームを商品化への軌道に乗せるべく会議にて奮闘するといった具合なんですが、最初仲間うちではじめたことが、叱られながらもうみこ、りんを味方につけて、そしてその気持ちを出資者にまで届かせる。やっぱり努力の報われる話というのは見ていて気持ちがいいな、そうしたよさがまずあったところに、さらに加えて、その時々に例えばりんの過去の思い出がリフレインする、あるいはしずくとクリスティーナの情感が染みてくる。こういうのもまたよかったなって、重さ、確かさを感じたように思ったのですね。説教や交渉といった、わりと地味めになりそうな描写の合間に、別チームによる試遊の様子なども描写されて、話に動きができるところもいいし、皆の作ったゲームがどういうものなのか、それが明確に示されることで、その目指す方向性を同じく共有するような気持ちも得られて、こうした構成もよかったと思います。でもやっぱり、一番の見せ場は、主人公たちと、彼女らをとりまく様々な立場の人、皆の気持ち、思い、屈折も悔しさもね、ちゃんと描こうとしているところ、それだったなって思います。
『すわっぷ⇔すわっぷ』。大変なことになった。入れ替わりを堪能した春子、夏子がもとに戻ろうとしていたところ、ばっちりそれを目撃されてしまったというのですね。見ていた人、千夏先生、なんだけど中身は入れ替わったパートナー、金田一美春さん。千夏先生よりもしっかりして、ちょっと厳格、そんな印象のあった人ですが、実際にその身体と出会ってみると、って、微妙な表現だな! ともあれ、その身体と出会ってみると、中身がふわふわの千夏先生だからでしょうけど、ずいぶん予想と違って、いやあ意外でした。先生、人の体で酒飲んでるんですね。それを無理矢理入れ替わって、一瞬で素面になる先生、反対に一気に酩酊状態になる美春。これ、なかなか体験できないことだよなあ。このふたりの登場、そして春子、夏子たちとの交流の描かれたのは、若いふたりに彼女たちの関係のモデルケースを提示するためだったのかな? そんな風に思いました。これまでは自分たちの便利のために入れ替わってきた春子、夏子。けれどこれからはまた違った可能性もあるよというのが、この先輩ふたりの関係によって匂わされた。そんな感じ。ええ、期待がふくらむってやつですね?
『まちカドまぞく』。豪華2本立てであります。こちらはお話を2話分一挙に見せますよというより、趣旨の異なる2本をそれぞれ楽しませようといった風でありますね。1本目はへたってる桃の回復を図ろうという話なんですが、小倉さん……、あなた、あやしすぎやしませんか? 天井裏に潜んでいる。でもって、千代田桜の手記をもとに、霊泉のありかを桃、シャミ子に教えてくれる。便利なんだけど、すごく助かるんだけど、この人、まともじゃないよなあ! 霊泉があるの、山は山だけどちゃんと桜の私有地なのか。踏み込んでも問題ないというのはいいですね! と思ったら、罠がしかけられてるとか。しかも、桃ばかりかかるとか、ほんと、桃、調子崩してるんだな。ここで、シャミ子が小さくとも達成感を得るとかね、それは実にいい感じ。でもって桃の回復も果たして、ああ、なかなかにめでたしめでたしじゃないですか、そう思ったら、小倉さんがまたなんか暴走気味で、ああ、シャミ子、勝利の記念物が砕かれちゃった! ほんと、さすがに気の毒な表情でした。
そして2本目は、1本目ではほぼ出番のなかったミカンの出番ですね。荒れた部屋に虫が出現。そうか、ミカンは虫が苦手なんだ。それでシャミ子に頼ってみれば、ああ、シャミ子、さすがに苦労人。虫程度では動じない。見た目云々じゃなく、実際の危険度で脅威判定してるシャミ子、あれ、いいですね。たくましいわ。頼もしいわ。途中で加わってきた桃です。この子も虫は苦手なんだ、そう思ったら、ああ最近できた心の傷が……。虫避けの策、これが魔法少女ならではで面白かったですね。そうか、直に退治するとかじゃなく、結界でもって虫を近寄らせないんだ。で、この結界の魔方陣作りがおかしくって、まんま漫画家の作業って感じになってまして、ゴムかけとかベタ塗りとか、およそ魔法云々って感じがしなくって、ほんとこの感触、面白い。そしてシャミ子が魔力を吹き込むんだけど、その効力、よくもって半日いかないのか……。ここからの、シャミ子のさながら締め切りに追われる漫画家然とした様子。これがまたおかしかったです。魔法なんていう不可思議に関わってるように見えないってのがいいですよね。
『花降り宿のやどかり乙女』。またも蔵の話!? いや、そこまでじゃなかった。夏になって、学校の制服も衣替え。そういえば九条屋の制服には夏服ってなかったな。そこから、制服の衣替えを模索しようという話になるんですね。カラーページを活かして、洋装扉絵のイメージみたいなの示されてたの、面白かった。完全に別のお店じゃない!! ってつっこみ入ってますが、漫画としてはこの方向性でもいけそうでありますなあ。そして本編。月子さん、物置きにいろんな服があるから探してみたら。そうおっしゃるの聞いて、あれか? あの蔵か!? と思ったら、今回はそこまでの渾沌はありませんでした。仮装パーティ用の衣装だったんですね。それはいいとして、西洋、日本の甲冑完備って、仮装にしても本式すぎない!? そこからの衣装も、くノ一あり、チャイナさんあり、さらにはナース、教師に警察官まで、多彩な衣装がまさしく見せ場になっていました。でもって雪、六花の大正女学生風装い。あ、これはいいんじゃない? これ、いけてるんじゃない? そう思ったけど、チョイスはされなかったかあ。で、結局およそ採択されないだろう方向にいっちゃって、めでたく衣替え計画は頓挫するんですけど、その影で虫干しも頓挫していたというのが、ほんと、これ、迷走の果てといった感じでした。虫干しどころか洗濯が必要になっちゃいましたね。
- 『まんがタイムきららキャラット』第14巻第3号(2018年3月号)
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