『まんがタイムジャンボ』2018年2月号、発売されました。表紙のテーマは、あれ? これ、月に代わっておしおき……? 『レーカン!』天海さんが美少女な戦士っぽい格好してますけど、ああ、なるほど、これ、フィギュアスケートのプログラムだ! なるほど、メドベージェワのアレなのか! 『モンスターだってうまい飯がたべたい!』葵もスケート、ですが、この子はフィギュアとかじゃなく普通にカジュアルに楽しんでる、そんな感じですね。『中の人に恋をしました。』紬は見事にしっかりフィギュアって感じでありますね。ええ、衣装もポーズも美しいですよ。
『人気マンガ家になるための15の法則』。弟が万能すぎて逆に笑えてきますね。喜多村に代原を頼まれた相沢。けどその期日が問題で、なんと3日後。3日で40ページやっつけないといけないという、どう考えても無茶な状況で、でも相沢、それを引き受けてしまうのか。これ、チャンスだからというよりも、喜多村が困ってる、こちらが本音でありますね。あの喜多村の無表情に見え隠れするほのかな感情。あれ、なんかよかったなあ。しかし豪華な漫画制作環境ですよ。看板作家の綺羅星がアシスタントしてくれるって。でも、背景とか描けないんだ。どうしたものか、そう思ったら、弟ですよ、背景、ばっちり描いちゃう。製図系の仕事を志望してるからっていうんですが、いやもう、すごいよ、この弟。姉ちゃん、弟を手放しちゃあ駄目だ。今回は、相沢がチャンスをものにした、それもひとつのテーマであるのでしょうが、むしろ喜多村の心情、そちらにこそ光が当たっていたと思うんですね。ええ、喜多村、よほど嬉しかったんじゃないでしょうか。
『おにいちゃんと呼ばないで』。心と悟、ふたりの出会い、あるいは縁はずっと以前からあったのですね。お菓子作りが好きだった悟。なのになぜ菓子職人ではなく、研究開発の道を選んだのか。そこに心との出会いがあったんですね。小さな心、ひとりで母親を待ってるこの子のこと放っておけなかった悟がお菓子をあげようと思ったら、駄目だっていうのね。アレルギーがあるからって。でも市販のお菓子、きらきらしたのに憧れていて、今はそれを我慢してる。その、当時は誰とも知れなかった子供の夢を叶えてあげたい、それが悟の最初のモチベーションになったんだ。普段、表情にあまり心情を表さない、そんな彼の優しさ伝えるいいエピソードだったと思います。そして特別編においてもその悟の優しさは健在で、会社の懇親会で当てた商品券。それで心になにか好きなものをと思ったのだけど、この子、いろいろ遠慮してしまうというか、自分の贅沢とか考えない子なんですね。この子の欲しがってたテディベア。でも高いからと遠慮してしまったのを、心の負担にならないやりかたで手に入れる。悟、強運だな! 嬉しそうな心がね、この年相応のもの感じさせて、よかったなって思える、そんなラストでしたよ。
『モンスターだってうまい飯がたべたい!』。今回はブギーマンが登場です。ブギーマン、名前だけは知ってましたけど、なるほど、特定の姿を持たないモンスターなんだ。そんなブギーマンの子の悩みがおかしくて、そうか、怖くないんだ。そうか、怖くないとちゃんとした職につけないんだ。モンスター界も大変なんだ……。このブギーマンの子を怖くするためにっていって、紬、店長、いろいろやるんですが、紬の策はあまり効果がないっぽいし、店長は私欲に走るしで、まったくもってよろしくない。けど、今回のご飯、チキンカレー、これを食べたら怖くなった!? いや、なってはいないのか……。このなんとも怖くないモンスターたちとの交流。今回のブギーマンがそうだったように、いかにもほのぼのであるのがいいですね。
『ペンタブと戦車』。拓也、生存! 里見拓也の曾祖父、鶴之助も父親になった。武田大尉も健在。うみねこ先輩も遠い空に下、独ソ戦に参加して、というんですが、これほんと大丈夫か。たとえ未来を知るもの、事態の推移を知るものがあったとしても、一個人が干渉できることには限界がある。でも、拓也は武田の命を救ったんだものなあ。限界、突破してるケースですよ。拓也の絵は軍部に受け入れられず、結果描いても描いても仕事にならず、そんな彼の不器用と幸運。ひょんなことから挿絵画家としての職を得たっていう、それがまた嬉しかった。この時代に根を下ろそうとしている、そうした拓也の意思をよくよく感じさせてくれると思うのですね。あの時代には帰れない、だからこの時代に生きようとする、それも消極的な、しかたがないからという理由ではなく、積極的にこの時代のものとなるべく頑張っている。この、自分の手の届くことに頑張るというのが、生きるということ、暮らしていくということなのかもなあ、そんな風に思わされたのでした。拓也の手は、たまたま大きなことに届いてしまったけれど、それはちょっとしたボーナスですよね。そしてそれは私にとっても嬉しいボーナスだった。けど、こうして一介の個人として生きる拓也、これもまたいいものであります。
- 『まんがタイムジャンボ』第24巻第2号(2018年2月号)
0 件のコメント:
コメントを投稿