2024年5月25日土曜日

『まんがタイムきららフォワード』2024年7月号

 『まんがタイムきららフォワード』2024年7月号、昨日の続きです。

『しゅがー・みーつ・がーる!』

委員長、美都と一緒にコラボカフェにいったカンナ。このカンナの名前がですね、読み切りの時は甘奈と漢字で書かれていたのに、連載になった際にカタカナにあらためられて、これ、甘いという字が入ったらあまりにわかりやすいから? なんて思っていたのですが、そうか、この展開のために甘那の文字を伏せられていたのですね。

抽選制のコラボカフェ、本人と身元確認するために学生証を提示しました。それを目にした美都がですね、気づいたんです、カンナの字、甘那と書くって。甘那という字、とりわけ甘いをちょっと変だろと、あえてカタカナで通してきたカンナです。似合わないって思ってるんですよね。でも、素敵じゃないですか甘那さんと、耳元で名を呼ぶ美都ですよ!

さらには自分のことも、委員長ではなく名前で呼んでいただきたい。互いで名前を呼びあう、そんなシチュエーションに踏み込もうとする今回。まさに関係の深まりを感じさせてくれて、ぐっとくるものあったのでした。

と、これが今回の感想。続くこれから先の予兆、姉の変化に気づいた美都の妹。なにかしらの干渉があるのかな!? あるいは食事の仲間が増える!? いずれにしても、皆にとって喜ばしい、そんな決着が待っていたらいいなあと今は願うばかりです。

『球詠』

ヨミの攻略に力を発揮する珠姫です。やっぱり、ヨミを一番理解しているのは珠姫なのだなあ、とそれはいいのだけど、ヨミの投球、その変化のタイミングを把握しヤマを張っていく、さらには自分以外の捕手に対して、最高の球を投げられないヨミの強直球を打ち取っていく。

この時の、複雑に織り込まれる心境と、しかしそれではいけないと、ヨミにハッパをかけていく行動と、そこに珠姫のヨミに対する気持ち。ヨミを思い、ヨミの自分に向ける信頼を喜びながらも、特別な自分というポジションを失ったとしてもヨミの成長を望む、そうした覚悟に似た気持ち感じさせてくれて、ああこれはとても素晴しいものだったと思います。

この漫画は、野球漫画として、勝負の行方、息詰まる攻防のスリルに面白さの軸を置きながら、それと同じくらい重要なものとして選手ひとりひとりの思いに光を当ててくる。今回もキャプテン岡田の思惑が描かれたりしていましたが、クライマックスには珠姫のそれがぐっと盛り上がりに貢献して、ああこのヨミとの勝負どうなる。これまでのヨミとともに歩み成長してきた珠姫を思えば、万感胸に迫るものがある。ええ、珠姫の思いにヨミの応えてくれること、それを望ませる瞬間でありました。

『スローループ』

恋先生、風邪を召されたか! 学校でも調子を悪そうにしていた恋。翌朝、本格的に発熱してしまって、さあ大変。普段きっちりしている恋なのに、髪もぼさぼさ。そうか、身のまわり整えられないとこんな感じになるのですね。でもラフな恋先生は、いつもより少し大人っぽく見えました。

姉の不調を心底心配する弟たち。もうすっかり落ち込んじゃって、そんな弟たちが姉のためになにかしたいとがんばる様子。お手紙書いたらと父にいわれて、弟たち、手紙じゃなくフライを巻こうとするんですね。シイラ釣りを控えてフライを巻く予定でいたことを知っていたのかな? あるいは姉というと釣り、釣りといえばフライ。フライを作れば姉も喜ぶ、そうした思いにいたったか。

いずれにしても、優しくしっかりした姉のこと、弟たちは大好きで、そんな弟たちのがんばりに気持ちを和らげた恋のなんと素敵な笑顔! ええ、恋もまた弟たちのこと大好きなんだなって思わせてくれる1シーンだったのでした。

しかし恋先生、シイラ釣りまでには風邪を治してほしいですよね。もしシイラ釣りにいけたらば、弟たちのフライを使うのでしょうか。あるいは宝物みたく手元に大事に残しておくのかも知れませんね。

『花唄メモワール』

藤野を見守る芸妓の菊野。この人が心待ちにしている手紙。遠い故郷に残してきた病床の妹からのものだという。その妹と姉菊野の顛末が描かれた今回。ああ、まさかの報せに涙に暮れる姉、そしてともに涙をこぼす梅であります。

思えば時は大正時代。これが現在令和の世であれば、妹の病気もさほどの労なく恢復したのかも知れない。しかし常に医療には限界があるもので、太刀打ちかなわず費用もかさむ。けれどそれでも負けじと立ち向かい、思いかなわず打ちひしがれる。いつの世も、こうした悲劇はあって、そのたびに悲しみに押し潰されそうになりながらも、毅然と前を向いて生をつないできたのが、私たち人であるのかも知れないと思わされたエピソードでした。

しかし悲しい。悲しいながらも、湯の瀧の鳥居。そこでの顛末見るに、ここから藤野が身を投げることはないのではないかと思わせてくれたりもした今回。藤野の身におこる不幸をはらうことには成功しているのではないかと、わずかながらも安心したところに舞い込む藤野の見請け話。ああ、どうする、どうなる、これが藤野の身における転換点となるのかどうか。

わからぬからこそ、気持ちは落ち着きを失うのでありました。

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