2023年2月22日水曜日

『まんがタイムきららMAX』2023年4月号

 『まんがタイムきららMAX』2023年4月号、昨日の続きです。

『ニブンノハチジュウハチ』

奏、相当に愉快なお嬢さんですよ。ピアノの音を聞きつけてお隣さんがやってきた。そのうちのひとりが奏のことを知っていて……、というのですが、必死でしらばっくれようとする奏がもうおかしくておかしくて。だらだら冷や汗かきながら、知らぬ存ぜぬを貫こうとするのだけど、いやもう無理、絶対無理。ついには諦めて小林奏と白状するにいたりました。

この4人がメインとなるキャラクターなのでしょうか。リビングを共用する2部屋の住人。こちらはかつてピアノのコンクールで競いあった(?)ふたり。そして隣室はというと、ピアノをはじめ複数の楽器に熟達(?)する清花ゆずと、そしてピアノは未経験、松永来夢。

ゆずはお嬢様なのかな? ふわふわとした雰囲気の可愛い人。やわらかな物腰に、どこか世俗を超越したようにも感じさせるキャラクターなのだけれど、この人、えらい特徴持たされてしまってるんですね! 名前がすごい。ゆずは通称。本名は茜音凛蘭柚香蓮というのだそうで、なんだその寿限無みたいな名付け!

もう本当に個性のかたまりみたいな4人がぎっしり詰め込まれてきましたよ。

ひとりピアノを弾けない来夢。初心者のこの子に教えるところから含めて、皆で連弾の楽しみに触れていく、そんな物語になるのでしょうか。だとしたら絶対面白い。弾けるからこその悩みを抱えるものあれば、まるで弾けないからこそ楽しめるものもある。そうした多彩な音楽への向きあい方が描かれたら嬉しいなと思いました。

『ご注文はうさぎですか?』

リゼに呼び出されたフユ。なにごとかと思ったら、腹話術を教えてほしいとのこと。ああ、ティッピーがしゃべらなくなったこと、それを受けてのことだったのですね。

チノは、リゼにスランプだと説明していたんですね。これまでちょくちょく話していたティッピーがしゃべらなくなって、それを楽しみにしていたお客さんも寂しがっている。そうした状況をなんとかしたいと、腹話術得意のフユに教えを乞うたリゼ。そこには、どこかこれまでとは違うチノを元気づけたい、そうした気持ちもあるのかも知れませんね。

そしてチノですよ。おじいちゃんとの別れを受けて、きっとショックもあったろうこの子が、そうした気持ちを表に出さず気丈に振る舞っている。今回も、しゃべらなくなったティッピー問題を自分なりの腹話術で解決して、こうしてティッピーをとりまく変化を受け入れ変わっていこうとしているチノの心情、それはおじいちゃんとの別れを乗り越えて心身ともに成長していく様そのものなのだろうと思わされたのでした。

おじいちゃんとの別れに対する反応を直接に描くことなく、けれどチノがどのように受け止めていこうとしているのか、それが周辺状況からわかるように描かれているここ数回のエピソード。その細やかで丁寧な筆致に、むしろより一層にチノの気持ちも伝わってくるように感じています。

『瑠東さんには敵いません!』

夏休みが終わり、気になるのはやり残した宿題? いや、耳に飛び込んできた席替えというワードですよ。

席替えがあれば、瑠東と和村、ふたりは離れ離れになってしまう! 授業中のいけない秘密のやり取りももうできなくなってしまう!? 瑠東のそばにいられる時間が減ってしまうとショックを受ける和村がいれば、和村との距離が離れてしまうことを予測し水分補給をはかる瑠東。ちょっと瑠東は奇行まじりなんですが、いやね、アメリカンドッグを買ったからってどうもこうもならんでしょうよ! でもそれくらい瑠東にとってはショックが大きすぎて、混乱、情熱、またひとりだったんでしょうね。

でもなにがおかしかったって、ふたりで近くの席になれるよう小細工願掛けまじないに頼ろうとしてみたり、そして一緒にいられる時間を惜しむように、ふたりの秘密の遊び、絵しりとりに興じようとしてみたりと、このいじらしい関係よ! ああ、こんなにも思いあっているふたりが引き裂かれるなんて、この世はどれほどに残酷なの!?

と思わせてからの、席替えしない宣言、そしてキリン決着!

いやもう、見事にから騒ぎに終わって、虚脱に陥る和村、瑠東のその表情もまたすさまじい。ええ、最高に大空振りしたその様子、実に面白かったです。

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