2020年12月25日金曜日

『まんがタイムきららフォワード』2021年2月号

 『まんがタイムきららフォワード』2021年2月号、昨日の続きです。

『スローループ』

今回、すごくバランスいいよなあ。いや、今回もといった方がいいのかな。釣りの要素と小春やひよりたちの交流、それらがうまくバランスとって共存しているのがすごくこの漫画のらしさと感じさせられて、釣りの要素、ワンフライトーナメントのくだりも充実、すごく面白くて濃密で、かといって後半の小春の誕生日の様子、こちらも全然負けてない。全段の釣りがちゃんと後半につながってくるでしょう? いい構成だよなあって思ったんです。

後半、小春がけっこうお姉さんっぽく感じられたのは年少の子たち、二葉と藍子がいたからなのかな? いや、それだけではないようにも思われて、と思ったら、最後にちょっとスネちゃった! ちょっと鈍感? いや、ちょっと自信がないのかな? ひよりからのプレゼントなら小春は絶対喜ぶのにな、それを気後れしちゃってひよりったら出しそびれちゃって、でもって恋がそのへんしっかり見抜いてるのがなあ、素晴しいと思う。

ひよりは幼いとかそんなんじゃなくて、そういうコミュニケーションのいろいろ、機微ってやつに疎いんだろうな。でも、こうして小春とともに過ごすことで、いろいろ得るところありそうね。小春なら喜んでくれるってとことかね、こういう贈り物する時はこうした方がいいんだよとかね、そういう小春の気持ちに触れ、ともに喜びや楽しみをわかちあうことで、だんだん気持ちの根っこの方がしっかりしていきそうなひより。それもまた魅力的と映りました。

そうそう、釣りコンテストの賞品、巨大ぬいぐるみ抱き枕が嬉しくてたまらないひより、最高でした。

『球詠』

かつて部内でおこった暴力がもとで活動停止となった新越谷野球部。それで部を離れた生徒がいれば、残り続けた部員もあって、それぞれの判断で分かれた道のその交わるところ。姫宮と新越谷のキャプテンふたり、そこに見える思いの揺らぎ。自分は裏切ったのか。なにか悪いことをしていたんじゃないか。そうした自分のうちのわだかまりを、試合を通じて、仲間とそして今まさに対戦しているかつての仲間との関わりをもって、押し流していくという展開に、気持ちのすっきりと洗われるような思いをしたのでした。

しかし、新越谷を出て姫宮へと転校していったふたり。とりわけ金子小陽の思いを軸に、あたかも彼女らを主人公のように描くものだから、すっかり感情移入してしまって、そうなんですよね、ただ新越谷が勝てばいいって思えなくなってしまう。この漫画はいつもそうですが、今回は、ふたつの立場、ふたつのあり方が対比され、そしてついには交錯していくというその描きようが見事だったから、なおさら気持ちを大きく持っていかれて、ほんとそれだけに最後のページ、岡田と金子ふたりの様子にはたまらないものありました。

『ちょっといっぱい!』

うひーっ、迷惑な客だなあ! 花園さん、こはる屋でなかったら出禁になってますよ、あなた!

花園がこはる屋に持ち込んだもの、なにかといえば実家から送られてきたタケノコだというんですね。持ち込むのはいいとして、泣きながら大騒ぎしてっていうのは! しかもあなた! 常連でもあるけど同業他社の人間なのよ!? ほんと、困ったお客だなあと思うわけですけど、こんな花園をも受け入れるこはる屋の懐の深さよ……。翌日のタケノコ試作回にも招いてくれるとかね、ほんと、どれだけ懐が深いのか。

花園、タケノコもそうだけど、新人エリカを見にきたってのも目的のひとつだったんですね。今日は休みをとっている。それ聞いて不真面目とか根性が足りてないとかくだ巻いちゃって、迷惑客だなあ! さらには翌日もエリカの接客テストだなんだいって理不尽な駄目出ししまくちゃって、困った人だなあ!

でもそれでもまるでひるまないエリカよ。むしろ花園を振り回すくらいに元気いっぱいで、ほんと強い! しまいにはすっかり花園もほだされてしまってるし……。というか、なんで花園さんがようこそこはる屋へとかいっちゃってるんですか!

ほんと、困った人でおかしな人で、なんだろうなあ、面白いです。

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