2020年12月9日水曜日

『まんがタイムきらら』2021年1月号

 『まんがタイムきらら』2021年1月号、発売されました。表紙は『一畳間まんきつ暮らし!』。芽衣子と万里花、ふたりが冬の装いで登場です。ヘッジホッグを飛び出して、ふたり、手のりサイズの雪だるま作っていたんですか? それぞれに梨絵と音緒モチーフのミニ雪だるまを手に乗せていましてね、その雪だるま、手にしている小物がまた可愛いときているんですね。寒さよりも、こうアクティブな感じが伝わってくる表紙。元気になれる、そんな感じがします。

今月は新作ゲストが1本です。

『星に願いを』

これ、すごいな。学校に降る星のかけら、これを100個集めたら願い事がかなうというロマンティックな伝説、と思わせて、これ血で血を洗う争奪戦じゃん! 星を拾って、そっと胸に押し抱くヒロインの、その望みに思いを馳せんがごとき清らかさ。と思ったら、いきなり脳天を金槌で強打されて星奪われるってんだから、バイオレンス! あっちでもこっちでも、ルール無用なの!? 星の奪いあいしてるっていうんだから、いやもう時はまさに世紀末です。

ヒロイン喜多島まほの願いは、最愛のお兄ちゃんと結婚したいというもの。中学生にもなっておかしいと、自嘲するような素振りも見せるんですが、基本自重はしない。あらゆる手段で星を集めるところは、他の連中とおんなじか! いやもう、この学校、危険すぎるよ!

この漫画、キャラクターは可愛い、結構好みの絵柄で好感高く、意外性? 友達の矢城文絵の行動とかね、まさかまさかで、油断ならない展開に翻弄される感覚、悪くなかったです。しかもまだ序盤も序盤、まださらなる展開が待ってるっぽいでしょう? 1話の感触だと、続きも期待しちゃいます。

『星屑テレパス』

ユウと海果の友情。本当にそれが軸であるのだなと思わせられた今回。引っ込み思案で、自分の思っていることを主張できずにいた海果が、ユウと出会って変わっていった。その変化の過程になおある海果の挑戦。合理的で確実さを尊ぶ瞬に対し、自分たちの活動としてのあり方、それを主張できずにいた海果が、ユウに力づけられ、自分の思い、感じていることを実現すべく動き出すまでのくだりなど、素晴しかったと思う。

この漫画の強さといっていいんでしょうか、ユウと海果の関係、その対話の情景に実によくあらわされていて、ユウと海果共同でゲットしたクレーンゲームの賞品、そのともに力をあわせるということも素晴しければ、続き描かれた、海果が自分にはどう見えているか、それを伝えようと言葉を尽すユウも素晴しい。自分のこと卑下しがちな海果のこと、全然そんなことないと、自分を導いてくれるともしびなんだって、その言葉にしたたか打たれる思いがしました。

ほんと、こんなの見せられたら、海果のこと、頑張れとしかいえない。どれだけ自分の気持ちを押し出せるものか、どのようなやりかたで伝えるのか、それこそはまだ不明のままだけれど、この子のこれからを見守りたい、そんな気持ちでいっぱいになりますよ。

『そらコミュニケーション』

天音家に加わった同居人、テンペスタが思いっきりソラに翻弄されていますよ。

さて、今回はソラが学校にいくまでの話ですよ。ソラもテンペスタも王族だから、学校には通わない、専属の家庭教師がついていたっていうのですが、地球にきて庶民の暮らしに触れて、学校というものにも興味が沸いてきたみたいなんですね。というか、運動会、遠足、給食、さらにポワルリンのランドセル、ちょっと方向性がズレてませんか、ソラさん!? そのへん、博士からも指摘されて、でも、ソラの母からの依頼、ソラに色々な体験をさせたい、ついては小学校に通わせてもらえないかというのを受けて、学校に通わせることになるんですね。

でもぎりぎりまで博士、逡巡するんですよ。ロボットであることがバレるのを怖れている。自分の作品に傷がついたりするのを嫌ってる。全然乗り気でなかったのに、それでもソラの入学を認めたの、ソラの希望のポワルリンランドセルまで用意してくれたの、アトリアの言葉があったからなんでしょうね。

これまで友達がいなくて孤独を感じてきたソラに同年代の友達を作る機会を与えたい。そうした真摯な思いに触れて、自分を曲げてソラの願いをかなえる。ちょっとした親心でしょうか。なんだかんだいって素直じゃない博士。本当はソラのことも心配して、見守る、そんな気持ちもあろうというのにね。

しかし今回のエピソード、素直じゃないテンペスタにはじまり素直じゃない博士で終わる。ふたりはこの漫画における素直じゃない両巨塔ですね。それだけに素直な気持ちが垣間見えた時、ぐっとくるものあるんですね。

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