2020年11月22日日曜日

『まんがタイムきららMAX』2021年1月号

 『まんがタイムきららMAX』2021年1月号、昨日の続きです。

『のむラリアット!』

前回、結構感動したのだけど、星のピンチに助太刀するべく立ち上がった桃ですよ。やる時はやる! そう思ってたのに、ああー、またリングにあがる段階でボコボコにされてるよ! しかも、星もろともにつぶされて、桃、ヒーローになりそこねたなあ。ほんと、静かに登ったらバレなかったんじゃなかったのかな。駆け引きというか、なんというか、そのへんがまだ下手なんですなあ。

その分見せ場をしっかり作ってきたのが翼で、相手校、美門を相手に見事な攻防見せるのですね。やっぱりこういうアクション、すごくうまく見せますよ。コマを徐々に大きく、カメラワークもどんどん寄っていって、決めゴマに迫力を集中させる。相手を返してからコーナーに登りボディプレスに入るくだりも、小さなコマに何段階にも分けた動きを無理なく収めて、そしてやっぱり決めゴマに大きなアクセントをつけていく。こうした動きを無理なく描くの、人間ふたりの組みあう様子をわかりやすく伝えるの、相当難しいと思うんですが、それを無理なく丁寧に成立させているの、毎回ですがものすごいことだと思っています。

そしてみるくの動き。翼でさえ、一コマに2段だったのが3段入ってる! 攻撃をかわして脇から背後に回るその動き、うわ、これは取った! そう思ったら、相手のさらに上手であったこと、実に鮮やか!

この漫画、試合の運びがきれいに描かれて、それがわかりやすくすとんと入ってくるものだから、ともない試合後に描かれる選手たちの気持ちのいろいろ、それがよくよく伝わってくるんですね。悔しさにいきどおる美門。負けてもいい経験だったと素晴しい笑顔見せる桃。そしてフォールされたことに責任感じて涙をこぼすみるく。それぞれの思うところ、充実を感じさせて見事でした。いい試合でした。

『エンとゆかり』

魔術師修行をするアメ。この子にとってどれだけゆかりが大切か、ゆかりの存在がアメの心の大部分を占めているか、それが全力で描かれた、そんな回だったと思います。

魔術を使うにあたり、様々な方法がある。魔術の師匠にどんな気持ちを込めているかと問われたアメの内面が描かれるところなど、本当、この子、ゆかりが大好きだな! 独り占めしたいね? でもできない。ゆかりはいろんな人を認めて、関係の輪を広げて、ともない世界も広がって、と、それで寂しさや妬ましさを感じる、その鬱屈こそがこの子の魔術の源泉か!

しかしそれで壁をぶちぬくとかね。この子はこの子で有望なんだろうなあ。ややこしい子ではあるけども。

ギルドでの修行を終えてからのこと。ゆかり、エンと出会って、やべえヒーラーとも出会って、それでゆかり、エンの住まいにてお泊まり回。ここにいたるまでのアメの思ってること、それがしみました。これまでゆかりだけでよかった、ゆかりだけがよかった、そんな子だったのが、ゆかりもいて、エンもいて、チリもいて、そんな関係の広がり、興味の広がりがこの子のうちにもあったこと。それが示されたことがとてもいいと思える描写でありました。

『150の恋事情』

蓮との関係を問い詰めてきた女子。蓮のこと狙ってる女の子なのーっ!? と思ったら、全然違うんじゃん! びっくりしましたよ。すわ修羅場なのか。案の定誤解をまねくこといいだす依恋に、火種だ、引火だ、爆発だ、と思ったのに、違うじゃん。むしろこの子は興味津々、面白がって首つっこみたがってただけじゃないか。

この子、江戸川柊子。蓮の幼馴染みで恋愛強者である模様。恋のキューピッドなるふたつ名を欲しいままにする柊子。本物のキューピッド相手にいい度胸だ! といいたいけれど、実際、本物の依恋よりも成績よさそうだものなあ。依恋よ、頑張れ。

とりあえずこれで主要人物が全員揃ったって感じなんでしょうか。依恋とおつじのやりとり、おつじの苦労が身に沁みる。柊子に関しては、身バレの危険さえ感じるということで距離置きたい依恋だけれど、これ、きっと、いずれ踏み込まれるだろうなあって予感がする。

それはともかくも、依恋のおつじへの信頼、親愛、そういうのが表されたところ、それを受けたおつじの表情。とても素敵でした。ふたりの関係こそがこの漫画のメインであると思わないではおられない、そんな名シーンだったと思うんですよ。

『しょうこセンセイ!』

翔子、奈央、小夜の3人で祝うクリスマス。プレゼント交換をするっていうんですが、おませな小夜と実用一辺倒? 色気もなんもあったもんじゃないそこらのダンボールそのまんま使う翔子との対比やすさまじく、いや、翔子、それはそれで面白いと思うよ。わりとそういうの嫌いじゃないよ。まあ、プレゼントには素っ気なさすぎるとは思うけどさ!

よくできた女子である小夜。翔子の覚えめでたく、そこに奈央は嫉妬してるのに、翔子、まったく気づけてないのな! これは翔子の幼なさとかそういうのではないと思う! だってさ、奈央も小夜も翔子より下だっていうんだもんな。ある意味いい子すぎて人情の機微に疎いとでもいった方がそれらしい。そんな翔子のしくじりと、でも結果オーライなところ。よかった、奈央も小夜もいい子たちだった。

奈央は奈央でキッズコスメとか、充分におませですよね。小夜ともよく話があって、と思ったら、翔子がついていけてないじゃん! ほんと、翔子、ちょっとズレてるところがチャームポイント。プレゼントも奈央にダメージ与えて……、と思ったら、よかった、副賞で結果オーライでした。

なんか翔子まわり、結果オーライが多いな。

サンタクロースの実在云々の話題があって、ちびっ子ふたりのためにサンタの夢を守ろうと頑張る翔子。そして、そんな翔子の夢を守ってくれる誰かの存在、これがよかったですよ。そういや、確かに、冒頭に日本にいくっていってましたね! あれ、冗談かと思って流してしまってましたよ。皆がそれぞれに、大切に思ってる誰かから夢を守ってもらって迎えた翌朝。素直にその気持ち、優しさを受け取って、疑わず喜んでいるのを嬉しく思いました。こうして夢を守られてきた翔子が、大切にされているがゆえに知らず夢の守り手としての任を受け継いで、次の世代、ったってひとつ下ですが、の夢を守ろうと思うにいたったのかも、ですね。

0 件のコメント: