『まんがタイムきららフォワード』2021年1月号、昨日の続きです。
『球詠』
終わりゆく夏の余韻をともに、秋大会を目前とする新越谷の様子が描かれるシーン。詩情のようなもの感じさせて、いい雰囲気でした。とか思ってたら、希がまだ不調だったり、尻に送球くらった白菊の、ヘッドスライディングなのかすっころんだだけなのかよくわからない得点シーンがやたら面白かったりと、実に油断なりません。
と、油断ならないこの漫画。どこかアンニュイな雰囲気ただよわせて、いったいなにごとか。これから起こる不穏な展開を予感させるものなのか。不祥事によって一旦活動できなくなっていた野球部の、元チームメイトがいる学校と対戦することとなったりと、いわば過去のわだかまりを超えなければならない局面に向き合うこととなるのか。そして出番のない希……。
いや、ショックを受けた希を、意図してかどうか不明だけど、即座にフォローしたヨミ、これはナイスプレイでしたね。と思ったら、そのすぐそばで思いつめた表情している光先輩。やっぱり不穏な空気感じさせるんですね。
『スローループ』
小春のクッキング教室。これ面白いなあ。ロシア料理、ウハーを作るよ! っていうんで、うはー! って思ったら、まんま二葉と藍子が同じことやってて、いや違うか。これ、疑問を口にしとるだけだ。
なれないながらも頑張って調理してる姿が素晴しいよね。なんかこぢんまりしてこんまくて、楽しくほのぼとのした一時。完成したウハーもおいしそう。そりゃあ、一花が天国かなんかいっちゃうのもわかろうというもので、ほんと、いい時間を過ごしておりますね。
前回からちょっと思い悩んでいる恋。この子の胸中に残る記憶。失敗したかなって、悪いことしたかなって、苦い記憶となっているそれを、このキャンプでもってそそぐことができたの、本当によかったなって思ったんですよ。恋にとっては苦い思い出となっていたことが、やまひー、ひよりの中では今に繋がる最初の一歩を踏み出すためのきっかけになってくれていたんだって、思いもかけず知らされて、ああ、ひよりにとっての自分、そのあり方をこうして肯定してもらえたこと、どこか自信を持てずにいた恋にとって、どれほどに救われることになったろう。憂い感じさせていたこの子から、もうすっかりそんな影もなくなって、いたずらっぽく笑ってみせたりね、どこかリラックスしたように見えますね。重荷をおろせた、そんな感じがするんです。
『観音寺睡蓮の苦悩』
また変な人が!
いや、林間学校前から出てたんですけど、生徒会長の六本木四葉。権力闘争の一環として睡蓮を陥れようとしていたのかと思ったら、なんか違う……。睡蓮が邪魔なの、権力云々じゃなくて、自分より目立つのが気に食わないからなんか。まあ、わかりやすいといえばわかりやすい。ちやほやされたい、褒め称えられたい、注目を集めたい。これはわりとわかりやすい欲求で、だからこそか、睡蓮の屈折をついに理解することができなかった……。
そういう意味では普通の人かも、ですね。ただ睡蓮を追い込むために手下の二子玉川鈴に工作させたりと、基本ブレーキのついていない人っぽくはある。睡蓮への攻撃も、紫陽花椿を引き離せというあたり、いいとこ突いてはいたんだけど、なんせ睡蓮の欲望を理解できていないから、ベクトルがわずかにズレていた! ああー、もうちょっとだったんですけどね。むしろ塩送る結果になってしまうというこの展開。四葉のリサーチ不足で、睡蓮の動因を自分のそれと同様に考えてしまったがゆえの失敗ではあるんですが、まあ、睡蓮、普通じゃないもんな。
二子玉川鈴の姉、蘭、いいですね! とてもいいです。そして四葉、この人、今後も睡蓮には悩まされそう。というか、これからは睡蓮からぐいぐいきそうだな。理解できない思想言動でもって、がっつんがっつんきそうだな。はたして四葉はいかほどに振り回されるというのか。睡蓮よりもむしろ四葉の苦悩が深くなりそうな展開に期待させられます。
『ねことちよ』
すっごいほのぼの。最高だと思う。
茶碗蒸しを作るくだり。ねこが卵ちゃんと割れたの、これ快挙だ。そして蒸し器を説明するところ、湯気のこといろいろ説明しようとするんだけど、まるで通じてないの、こういうところもいいんですよね。
おいしかった茶碗蒸し。というか、山盛りごはんを喜ぶふみがいいよなあ。そして、不在でありながらも褒められるちよ。ちよが褒められて嬉しいねこ。
すっごいほのぼの。最高だと思う。
- 『まんがタイムきららフォワード』第15巻第1号(2021年1月号)
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