『まんがタイムきらら』2020年5月号、昨日の続きです。
『スロウスタート』
のっけから全力疾走する花名ですよ。ただいま逃走中。ということは、前回ラストに現れた一之瀬花名を知る生徒、あの子の関係か? いやいや、そう思わせて全然違う話だったりするんじゃないの? と思いきや、ああー、やっぱりあの子がらみか。そうか、一之瀬花名と名乗っている、それを聞いて声をかけてきたんだ。中学三年の時、同じクラスだった。花名は覚えていない模様。転校してきた、花名とは一度しか話したことがなかった。そこからのやりとり、それは本当に神経を磨り減らすもので、だって皆はその子のこと、自分たちと同い年、同じ学年と思っている。でも違う、その子は2年生で、このままにしていると、いずれはその学年が違うということ、皆に知られてしまう。
どうしよう、どうしよう。この花名の焦り。どうしたらいいかわからない、そんな思いが痛いほど伝わってきて、ああ、自分もそんな悪夢を未だに見ることがある。今はもうなんでもないことなのに、昔の記憶が、怖れが、今も夢に立ち現れて、しなくていい焦りに、不安にさいなまれるように目覚めることがある。
その感覚を知っていればこそなのか、いや、こんなの誰にだってあるだろうよ。それだけに、花名のこのいたたまれなさ、ひしひしと胸に迫って、つらい、苦しい。ああ、花名、なにをどうにもできなくて、その場から逃げ出すしかなかったのか。
でも、きっと大丈夫だろう。それは信じているんです。逃げる花名に追いついた冠、たまて。そして遅れて花名を追うのだろう栄依子と花名を知る子、億さん。皆が花名に追いついた時、どのようなことになるのだろう。どのような会話がなされるのだろう。それが怖くもあり、でも長く花名を苦しめてきた重荷が取り除かれることにもなるのかも知れない。
不安と期待がいりまじっているのですね。
『星屑テレパス』
宿泊体験学習! 研修施設にて宿泊、そして班にわかれてのワークショップですよ。ああ、遥乃と瞬は別の班なのか。でも海果とユウ、同じ班でちょっと安心です。
海果の班、班長さんが元気でなんか可愛いですね。鏡さん! いい子や! けれどその勢いに押されちゃったか、海果、身動きとれなくなって……、と思ったら、ああ、ユウがそっと手を握ってくれて、不安な気持ちもおさまって……。これ、ほんと、素晴しいなと思った。海果を見るユウの表情もこれまた素敵じゃないですか。隣の班から海果を見守ってた遥乃、瞬も本当にいい友達です。
不安だった班活動もどうにかこなせたし、仲のいい友達もいるしで、この宿泊、海果にとっても楽しいものとなって、本当によかったです。そしてより一層に深まる海果とユウの関係ですよ。
夜、森の中、空を見上げているユウのその表情。憂いがあって、いつものこの子とは違っていて、でも海果を見たら表情ぱっと明るくなるんですね。満天の星に故郷を思うユウ。そして、ユウの願いを叶えると、その手をとって伝える海果。そのふたりの様子、実に美しくって、細やかで、素晴しかった。というか、おでこぱしーに繋がるくだり、あれドキドキするよな。そら、瞬も狼狽するわ。
ずっとどこかおどおどしていた海果が、友達のためならこんなにも強くなれる。それが本当に心に沁みてたまりませんでした。本当、この思いのやりとり、言葉を超えて伝わるもの、確かにあったと思うのですよ。
『むすんで、つないで。』
びっくりした。ほんと、心底びっくりした。
つなぐですよ。どっかぽやんとして、地に足がついてなくて、なにをやっても粗忽でポンコツで、小学4年生の幼馴染み、花ノ子のこと大好きで、しっかりものの花ノ子に比べて自分は駄目だなって、なんかそんなことばかり思っている引っ込み思案な女の子。それがつなぐ! と思っていた! 今日まで! 今まで! それが違った! って、マジかーっ!
高校でのつなぐが描かれたんですよ。体育の時間ですよ。合図の笛にだっと駆け出すその姿。凛々しくも美しいその姿に、あれ? 新登場人物? そう思って、いや、でも、これがつなぐ? ほんとに? 皆が噂してるね? え? 憧れの的? つなぐは皆の熱視線に気づかないどころか、まるっきりその意図を誤解しちゃってるわけですが、ほんと、これが、これがつなぐ!
びびりたおしました。これまでつなぐがあかんたれに描かれてきたの、この日の、この瞬間のためだったかーっ! すっかりばっちりしてやられて、うわー、えらいことになった。つなぐさん、めちゃくちゃかっこいいやん。運動だけじゃない、勉強だってしっかりこなして、完全無欠? 完璧キャラだなんて同級生にいわれてるけど、つなぐがいってやってること、自分の範囲内で頑張るということ、それができないんだって! すごいよ、つなぐさん! かっこいいよ! 凛々しいよ! 一気に見る目が変わってしまった。
これまで見せてきたつなぐの緩んでいた姿。それは学校でフルパワー出しきったゆえの弛緩タイムだったわけかあ。めりはりある人生送ってるな! ほんと、今回はつなぐの魅力、どしどしばりばり浴びせかけられるように堪能させられました。もっともっときてほしい。
- 『まんがタイムきらら』第18巻第5号(2020年5月号)
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