『まんがタイムきららフォワード』2020年6月号、昨日の続きです。
『夢喰いメリー』
ついに最終決戦の幕が開くのでしょうか。
これまで、夢路を試すように挑発しては退けてを繰り返していた白儀。彼の目的が今回ついにはっきりとして、ああ、叩いても叩いても食い下がり続けた夢路のその精神、情熱、意思の力に期待していたのは、白儀、彼にしても同じだったというのですね。ずっと夢路を上回ってきた白儀の策略。戦いにおいてもなお凌駕し続けた白儀に追いついた夢路を前に、彼の語ったこと、それは切なささえ感じさせるもので、これもまた友情であるのでしょうか。ここにいる白儀は、幻界にいまだ留まるもうひとつの白儀とは違い、自身を倒しうる存在としての夢路に期待し、憎まれ役を演じながら、ひたすらその成長を望んでいたというのですね。
現界を食い尽くそうとするのは幻界の本能としてのキョウ。対し今夢路の前に倒れた白儀は理性として、本能に逆らい、いずれ本能にとってかわられる自分もろともに、夢路に倒されることを望んでいるという。その悲しさ。ここにこうして夢路に真意を語り、すなわち彼の敵ではないことを示しながらも、友として存えることは叶わず、いずれ自身の本能とともに夢路に討ち果たされるのがさだめとあらば、彼の覚悟もまた切実というほかないでしょう。果たして、夢路は白儀の本当を知って、なお彼を破ることができるのか。いや、夢路はやるのでしょう。でも、そこに幾許かの奇跡を願いたい気持ちもあるのです。
『ひまりのまわり』
漫画のタイトル、『ひまりのまわり』、その意味するところが明確になってきましたね。
ナノと一緒に歩いていた兄の姿に、胸中もやもやしたものを覚えたひまり。はたしてその気持ちの正体は? ケイは、ひまりの兄に対する恋心ではないか、嫉妬心が芽生えていたのではないか、その怖れにさいなまれ、いっそ自身のひまりに対する気持ちを打ち明けてしまおうか。ここにまた迷うというのですね。
けれど今回、ひまりのいう女子会の延長、そこでふたりで話したことで、自分の心配がまったくの杞憂と知ったケイ。自分のことばかり考えていると自分を責めながらも、人のしあわせを望むというひまりの気持ちに触れて、ひまりのまわりはみんなしあわせ、自分がそうだと告げることで、ああ、ケイ、ひまりをしあわせにしましたね。ひまりに、そして自分にも笑顔を与えて、ケイ、一山越えたのだと思います。これまで、どこかトゲトゲしたところ見せていたこの人の、屈託なく和らいだ表情。それはケイのひとつの成長で、心のどこかが自由になったということなんだろうと思われたのでした。
『桃ノ木家の四姉妹』
二番目、三番目のお姉ちゃん、本当にどうしようもない……。シキの自分たちに対する評価を知って、姉失格なのだろうかと悩むのはいいとして、実際、ちゃんとしていないのはそのとおり。シキに尊敬される姉になるといいながら、宿題はいいかげんだし、家事、料理も作るまでにいたらないしで、ほんと、なにやるにも不足感ただよって……。うん、残念なのだと思う。
今回、その残念が見事に発揮されるわけですよ。テレビでやってた情報商材詐欺。セールスなんて門前でおひきとりいただいたらいいのに、わざわざ招き入れるし、話もしっかり聞いちゃうし、さらにはあやうく売りつけられそうになって、いや、ミツ、ナイスアシストじゃん、ニノに詐欺じゃないかってアドバイスして、ようし、ここでふたりのお手柄ですか!? と思ったら、あかん! うかうかとミツも引き込まれそうになってるよ!
ふたりとも、まだ未成年だから、仮に売りつけられたとしても契約を解除できるだろうけど、それにしてもあやうい。ほんと、ふたりの失地回復か! と思わせて、全然そうじゃない、むしろさらに失地を広げたようなエピソード。シキの尊敬を勝ち取る日は、まだまだ先になりそうで、いやはや見事ながっかりっぷり見せてくれました。
『限界ゲーム飯』
これってゲーマーあるあるだと思うんですよ。やってるゲーム、熱中しているゲームに現実を侵食されるといったらいいのかな。FPSとかやってたら、向こうに見える建物からスナイパーが狙っている! みたいなことどうしても思ってしまうし、インク塗りまくるゲームやってたら、この壁にインク塗ったら昇れそうとか思ってしまう。いろんなモノをくっつけて塊にするゲームだと、わりと危険というか、乗り物乗ってる時にうかっと、道端のオブジェクトをくっつけられそう、みたいなこと思ってしまうんだそうですね。うん、ゲーマーあるあるなんだと思います。そして今回のテーマとなるゲーム、クラフト系のゲームにハマったら思うこと! そうですか、ビルを採掘しちゃいたくなっちゃいますか!
この漫画の主題はゲーム飯ですよ。ということで、クラフト系ゲームとマッチする食べ物、サンドイッチが登場です! 真四角に作ることのできる食べ物。いかにもブロックっぽい。ドットで再現しやすそうな見た目。それで実際にクラフト系サンドイッチ、名づけてサンドボックスサンドイッチを作るっていうんですよ。なにそれ、楽しそう。
サンドイッチ自体は普通なんだけど、見た目にバリエーションつけるために何種類もパンを買ってきたりするところね、凝り性だなあ! でも、この凝ってしまうところ、クラフト系にハマる素質だよなあ! ほんと、やたら凝って作って、やりとげた感出して、食べるところもすごく楽しそう! って思ってたのに、突然素に戻るんか! この唐突さ。いや、でも、これこそがやりとげたってことなんでしょうな。
- 『まんがタイムきららフォワード』第14巻第6号(2020年6月号)
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