『まんがタイムオリジナル』2017年5月号、一昨日の続きです。
『北斎のむすめ。』、遊女の恋について、一端の決着などついたのかな、そう思っていたら、まだまだ続きますよ。吉野には好きな人がいる。その男に足抜けをもちかけられて、ああ、あぶない。だって、一緒に逃げようって手紙をもらって、それを足抜けとすぐに気づけない子ですよ。世間知らず。生活力もない。はたして吉原を抜けてやっていけるのか。さらには逃亡失敗したら重罪。これ、ほんとだったら、とりわけ高尾、絶対やめるよういうところだったんだろうな。しかし前回の栄の絵、砧打ちがために考えも変わっているのか。はたしてこの足抜けどうなる。栄が女であることを知ったことも吉野の背を押すこととなって、え? でも失敗? え、どうなんの? ほんと、これ、なんかひやひやさせられる展開ですよ。酷いことになったらいやですよ。
『ゆとりの町長』、高校生をターゲットにしていく。とりあえずの方策が決まったわけですが、ゆとりの人となり知られてるところだと逆に不利とか、でもってクレープ屋台とかはじめちゃって、しかも本末転倒になりかかるっていうね。でも、こうした紆余曲折のはてに、高校生だった時の自分の気持ちにゆきあたった。下校中の高校生のグチを聞いて、そうだ、自分も感じていた不満をすくいあげていこう。これ、実際、大切だよなあ。とりわけ地方行政とかだと、こうした不満をすくいあげて、暮らしやすい町にしていくことが求められるわけで、まずは高校生から。続いてさらに上の世代へ、という風に持っていくのかな? でもここで問題が投票率。ああー、結構シビアな話でありますなあ。そうですよ、ほんと、リアルがここにあるなあ。
『ぎんぶら』は冒険ファンタジーっぽさ満載の星、という触れ込みで売ってる? デモフェイントが舞台。ひどい名前! そうか、フェイントなんだ。というわけで、のっけからドラゴンがフェイント。でも実力派。伝説の木の実と思わせて、道の駅で苗木を売ってる。しかもわりと安い。その上、これが木でなくてキノコ。いやもう、期待をはずしていきますよってスタンスが光ります。気象条件同じなのにあそこ一本きりなワケないでしょーが。正論も光ります。これ、こういう正論というか常識というかの枠組みをきちんと意識して、そのギリギリのところでくすぐるってやり方がうまいんだろうなあ。大きく広げて常識のタガで締めるパターンもあれば、常識にとらわれてる読者の意識を、実はそうじゃないんだよーって引っくり返してみたりと、その手法は変幻自在。ほんと、うまい作家だと思いますよ。
『歌詠みもみじ』はお花見です。お父さん場所取り、しかもなかなか合流できず、孤独にくじけそうになってるのがおかしい。このお父さん、いつもどおりのポジションだなあ、みたいにも思いますよね。そしてまりなも風物詩。酷い花粉症。ああ、ゴーグルしてもなおだらだらなのかあ。鼻もまっかじゃん。ほんと、大変だと思います。花よりもお弁当の話に夢中になったり、これは定番な感じ。そして花いかだ。その風流を父思えば、娘たちはコップ手にして拾いにいって、粋じゃないよーって、これ面白かったなあ。この空気感、とてもいい。でもってもみじ、この子のこういう風にはしゃぐ姿? なかなかに愛らしくてよかったです。お酒飲むとぱたんと寝てしまうママさん。千恵は厳しくなるって、未成年なのに飲んじゃった!? と思ったら、なるほど奈良漬けでも酔うたちでございます。落語の世界だ。ええ、今風な話あり、落語思わせるような展開もあり、その幅がいいんだなあ。片付けをさぼろうとするもみじもナイス。なんかまりあと父上、春の貧乏くじ組でしたね。
- 『まんがタイムオリジナル』第36巻第5号(2017年5月号)
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