『まんがタイムジャンボ』2017年4月号、発売されました。表紙は『レーカン!』天海さんが、おおう、これはなんだ、情熱がテーマ? 口に黒バラを一本加えて、妖艶なるフラメンコ!? いつもと違う魅力押し出してきていますね。『けいさつのおにーさん』、手塚さんと穂苅くんはマタドール。赤、青、絢爛華麗なその衣装が素晴しいです。『きつねとパンケーキ』紺乃も赤いドレスで華麗にダンス、といいたいけれど、この子の場合はちょっと背伸び感がありまして、それもまたよしであります。『大正みつば歌劇団』は娘三人、自分の演じたい役柄、それをやっておいでなのかな。ドレスのお嬢さん、凛々しい女衛士に花籠持った素朴で可憐な娘さん。それぞれに魅力的な装いであります。
『おにいちゃんと呼ばないで、桐原小鳥の新作です。朝、突然荷物をまとめるよう母からいわれた心。いよいよ夜逃げか!? そう思って覚悟していたら、行き先は大きなタワーマンション。飴ノ森悟なる会社員の家に預けられることになったというんですね。母親は考古学者? エジプトにいくんだそうです。なので心を悟に預けるという。なるほど、このふたりは兄妹なのね。互いにその存在を知らずにいたけれど、鑑定の結果はほぼ間違いなく血縁にあると示されて、かくしてふたりの暮らしがはじまることとなりました。悟はずっとひとりで過ごしてきて、そんな思いを心にはさせたくないと思ったみたいですね。今はまだ交流ともいえない交流。このふたりの距離、関係の変化、どうなるのか楽しみですね。
『けいさつのおにーさん』は穂苅くんの若い頃の話。警察学校にて鑑識の仕事について学んでいて、これ、こういう研修でもって適性など判断したりするのかな? 指紋をとる。足跡もとる。うまいことできもんだから、自分は才能あるんじゃないか、ついついそう思ってしまった穂苅くんだけど、後ろから足跡踏んで台無しにしたのは誰だっていわれてて、ほんと、上げてから落とすまでがはやいはやい。今回は鑑識のこと、指紋の種類とか採取の方法とか、いろいろ紹介されてるそれがただただ面白かったです。鑑識を学ぶのに模擬の一軒家があるとかも面白い。若かりし日の穂苅たちが、将来どういう部署にいきたいか、そうしたことを話し合っている様子、これはもう青春を感じさせますね。そして穂苅の鑑識について勉強する意味、それをしみじみ語るところとかね、ああ、そうか、そうだよね。これはやられました。
今回は二本立て。一本目が穂苅くんの若き日の夢だとしたら、二本目は手塚さんにもスポットライトがあたって、若き日のころ、夢見た仲間がいたというのは穂苅くんに同じであります。今回は卒業式の話。なるほど卒業とともに行き先が決まる。卒業配置、略して卒配。その様子描かれて、ああ、こうして警察官としての第一歩がはじまるんですね。手塚さんのひとりしんみりと思い出す卒業式の時の情景。そばには女性があって、はたしてその人はいかなる人なのか。ええ、切ない思い出なのでしょうなあ。これまでも手塚さんの昔のエピソードにそっと添えられてきた印象、それがまたここで静かに響いた、そんな気がします。
『あの日の海と16歳の夏休み』、新作です。スタイリストの仕事をしているお嬢さん。夏に吹く風に昔のことを思い出して、それは海辺の町の少女の頃。干物の直売所がおしゃれなお店になってると見にいってみれば、それが美容室。声をかけられても今はお財布がない。ならカットモデルになりませんか? 誘われるままに店に入ったこの子の、ずっと抱えてきた悩み。おしゃれは好きだけど、どうしたらいいかわからない。そんな彼女に優しく語りかける言葉と、そして髪に触れその表情さえも、気持ちさえも一変させたその手の技。美容室の最初のお客になったこの子、出会いと新しい髪形が後押ししたのでしょう、前向きになりましてね、この出会いと変化のエピソード。静かながらも丁寧に描かれたそこに、人の心のダイナミズムが感じられて、素敵な話と思いました。
- 『まんがタイムジャンボ』第23巻第4号(2017年4月号)
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