『まんがタイムきららMAX』2024年12月号、一昨日の続きです。
『わからせろ!ナマイキツネ様』
わあ、コメントしづらい展開が! 壱与のもとに参拝に訪れたひとりの女性。毎日の願掛けが叶わなかったと恨み節。そこに正論ぶつけていく壱与なんですが、そうか、つらい状況にあるのですね。漫画が打ち切りにあった。もうすぐ無職になる。泣き言にもまた正論をぶるける壱与。ああ、桜子が優しくしても気休めに、壱与が正論いうと大ダメージに。どう声をかけていいかわからない、そんな状況になってしまっていますよ。
このメタな描写。どこまで本気にしたらいいのか! なんて思っちゃうけれど、この『ナマイキツネ様』に関しては、好きな漫画、面白く読んできた漫画だったので、最後に持ち直してのご挨拶、切なくも嬉しくうけとりました。壱与のがんばりとやらかし、その顛末が好きでした。
かわいいキャラクター、楽しいやりとり。ときにやりすぎる壱与に桜子。お気に入りでした。これからも、誌面に描かれることがなくとも、この子たちが同じく楽しくやっているといいなと思う、そんな最終回でありました。
『エイティエイトを2でわって』
美弦たちの学校にやってきた咲雪。訪れてすぐに奏渾身のお化け屋敷に通されるという不幸! でも奏が考えたと聞いて、ああそこまで反応が変わるのか! 現金です、咲雪さん! でもそんなとこもかわいいです。
咲雪が見てまわる美弦たちの文化祭。見知らぬ人になってる来夢とか笑いますよね。そりゃ咲雪じゃなくてもその反応になりますよ。そして多目的ホールで、本日の目的、ピアノ発表に臨みます。来夢とゆずの連弾を聞いて、その将来性を思うところなど、この人の懐の深さのようなもの感じて、いいですね、こういう好意的な評価できる人、大好きです。
そして本命といっていいのか、美弦の演奏です。自分の書いた曲が演奏される。しかもその曲は、憧れの奏をイメージした曲で、さあ美弦はどう表現しようというのか。
と、ここまでじっくり盛り上げて、それなんですか美弦さん! ニコニコ笑顔でズンドコドンドコ。曲調とかまるで斟酌せずに楽しく嬉しく弾いちゃって、奏も当惑してるじゃないですか。そして咲雪の点数は……、2点です!
参加賞とのこと、ああ、やさしいですね咲雪さん。なんなら減点だってありえたかもですよ。
『ななどなどなど』
いい話でした。
体育祭のあれこれ描いた今回。なんだかんだで学校行事もこなすようになっている小町ちゃん。騎馬戦の騎手になって喜んでる小町ちゃんと対照的に、あまりに重くて潰れそうになってるななど組の悲哀とか、もう見てるだけで面白い。ほかにもこうした小さく気の利いた描写の楽しい、そんな回かと思って読んでいたらですよ、バトンパスの失敗が一気に状況を変化させて、ああ小町ちゃん、この子の成長が、人の気持ちに触れようとするその思いが、しみじみと素晴しい。そう感じたのですね。
いつにないシリアスな表情を浮かべる小町。誰かの努力が無駄になることを許さない、その意思が、常には見せない本気の走りに繋がって、それは努力していた誰かのためで、そしてその事実を知っている自分のためで、皆のために走ろうと奮起するその姿は、立派で、なにより美しかったと思ったのです。
小町の思いの皆に伝わったこと。少なくとも、新井に星野、ふたりの気持ちが台無しにならなかったこと。皆にとってもいい思い出になったこと。調子にのってしまう小町こそはいつもどおりか、あるいはシリアスになりきらないためのストッパー役だからか、それにしたってこの子の心の成長が見られた、いいエピソードだったと思います。
小町ちゃんはたまにはちやほやされていい。そう思う私にとっても、願望の満たされた、いいお話でした。
- 『まんがタイムきららMAX』第21巻第12号(2024年12月号)
0 件のコメント:
コメントを投稿