『まんがタイムオリジナル』2024年12月号、発売されました。表紙は『ラディカル・ホスピタル』。山下さんと牧村さんが、白衣の上に上着はおって、少し温かくしているイラストです。本当だったらもう涼しくなっているくらいの季節ですよね。温かい飲み物もありがたい、そんなはずだった時期を飾るふたりの姿。愛らしくて素敵です。他に『元アイドルのハロー!ワーク』、『はらぺこ母娘と元カレ家主』、そして新連載の『うちこもり妻はコスプレ配信者』、『クールな氷上さんに迫りたい』のカットもございます。
今月は新連載が2本です。
『うちこもり妻はコスプレ配信者』
コスプレ好きの妻とのふたり暮らし。妻はコスプレ趣味が高じて、ネット配信なんかもやっているのですね。フォロワーは30万人。人気コスプレイヤーというのですが、そのコスプレのクオリティに加え本人のキャラクターもまた人気のもとである模様。そんな妻いぶきと夫駿の天然な日常。ほのぼのとして愛らしいふたりの関係が描かれる連載でありますね。
しかし妻いぶき。こののんびり具合。ぐーたら自堕落といった風ではなく、なんだかエネルギーが足りない系? ゆったりマイペースに消費少なめにして暮らしてる風なのが魅力的。これ、趣味の衣装製作にかかるカロリーを捻出しないといけない、無駄には使えないぞってことなのか、いやそういう打算がないからこそのほのぼのさというか、ええわざとらしさ、あざとさのないチャーミングさがあると思ったんですね。
うっかりやらかしてしまうその失敗も愛らしい。コスプレのまま外に出てしまいそうになってしまったり、夫のリモート会議にうっかり写り込んでしまったり、そうしたうっかり。気づかってみたら空振りという、がんばってる姿とむくわれない結果のギャップ。いい人だな、かわいい人だな。そう思うからこそ、夫の人にはもっとがんばって、かわいいかわいいとベタ褒めしていただきたい。ええ、言葉少なではいけませんよ。もっと、もっと、褒めるのです。
『クールな氷上さんに迫りたい』
少女漫画を読むのが好きな栗園拓哉。38歳にして独身、勤務先では課長を勤めている。そんな彼が、部下の氷上結衣、27歳とつきあうことになるまでの顛末が描かれた今回導入編。つきあうといっても恋愛的なものではなく、恋愛お試し、練習としてのおつきあい? いやいやそう思ってるのは課長の理性部分だけ? もしかしてという期待どおりに、氷上さんのなかでは有り寄りの有りのおつきあいだったりするの!? という、ちょっと本心がわかりかねるところに面白みのある関係性が魅力となっていきそうな予感であります。
本心がわかりかねる。クールにしてドライ。そんな氷上はその美貌からも社内で大人気。若手の山田からも気持ち寄せられていて、けれど山田と氷上の線はなさそうだな。というのは置いておいても、この氷上が少女漫画に興味を持ったというのです。恋愛の機微にうといから漫画で学ぼう、ひいてはいつかは肉食女子に! というのですが、それはちょっと無茶な目標ではない? でも、間違ったチョイスを経て課長の選書に辿り着いたのは上々。あとは研鑽と実践でありますね。
『となりのフィギュア原型師』
はぐちゃんに春到来!? 同じアパートの住人に声をかけられて、いっそ退居をとまで思っていたのが、同好の士と知って一気に気持ちが近くなる。その描写、マイペースながらものびのびとしたはぐの気持ちの動きが見てとれて、面白かった。それにちょっとほほえましいとも思えたのでした。
お相手は畷浩平。二十歳の新人会社員。夜、早朝に出会うお姉さん、はぐちゃんにちょっとした興味を持っていて、挨拶したりするのだけど、それがはぐから敬遠される理由になっているとは露ほども思っていないのでありました。
はぐのこと、模型関係とは思ってないのがいいですよね。その見た目からバンドマンと予測をつけて、けれど楽器を持ってるところ見たことないからボーカルかな? とか仕事中に妄想している。
そんな畷とはぐを近づけるきっかけとなったのが、畷の趣味であるソフビフィギュア。気づいたはぐ、食いついてくるはぐ、その表情が強いな! そこからのやりとり、ころころと表情をかえるはぐが本当に魅力的で、ああ、ついにはぐちゃんにも恋の予感か!
と思わせて、そう思ってるのは畷と周囲のみ。はぐちゃんはまったく露ほどもそうしか感情持ってないのがらしいですよね。ええ、畷の恋心は実るのでしょうか。それ以前にはぐに恋心など芽生えるのでしょうか。なかなかに苦難の恋となりそうですよ。
- 『まんがタイムオリジナル』第43巻第12号(2024年12月号)
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