『まんがタイムオリジナル』2024年5月号、一昨日の続きです。
『ムクカノ:無垢で無口な職人彼女と、静かでにぎやかなふたり暮らし』
無垢で無口な職人彼女、椎奈の仕事が描かれます。職人というの、なにを作る人なんだろうと思ったら箒なんですね。突然はいった仕事の依頼に応じ、作業をはじめる椎奈。それを見つめる賢太の視線を読者が共有するという仕掛け。凛々しくかっこいいという賢太の感想にも共感する、そんな描写に、ああこの椎奈という人は本当に魅力的なんだなと感じさせられました。
で、この無口な椎奈がですね、結構雄弁なんですよ。言葉ではなくその表情や仕草に魅かれるものがある。それは言葉によらないメッセージが次々と発信されているからだと思う。台詞やキャプションに寄るのではない、そんな描写の連続が細やかに伝える情感。そこに魅かれる人には強く訴えるものがある、そんな漫画だと思います。
そしてここぞというところで大きく発される内心の声! そのメリハリなのだろうなあ。ええ今回は椎奈の、そして賢太の仕事の一端が描かれて、その仕事に向かうふたりの表情の凛々しさ。その魅力にやられる、そんなエピソードでありました。
『おだまき君の道草ごはん』
会長の引退に際し悲嘆に暮れる人たちを見て、自分の身にまつわる別れを思う小麦。その相手とは苧環。ずっと一緒にといってしまった言葉。重いのでは、そもそも自分と苧環のつながりとは!? 思い悩んでしまうのは、心中複雑な思いを抱えているからなのでしょうね。
しかし苧環の言葉が小麦の気持ちをやわらげる。冬になったら野草も生えないのでは、となると自分と苧環のつながりは!? という疑問に対して、冬にも野草は生えるんだよと伝える苧環。そしてさらに深く心中に抱えた思いを、小麦に伝えるすんでで逃亡!?
いや、待って! 苧環、そんなあからさまに感情を露呈させてしまうだなんて!
いやもう驚きの展開。ええ、これもう告白ですよ。よかったですね、小麦さん! ええ、ふたりの前途は洋々ですよ!
『アイドルはお忍びCHU♡』
今回はちょっと短めですね。富山へ帰る新幹線の車中。シンカンセンスゴクカタイアイスに惑いを見せる扉の芙蓉がかわいい。で、この芙蓉さん、本気で新幹線と競えるか考え中。本当の本当に、時速200キロを超えて走ろうとお思いか!? 実際その速度で走れたら、マラソンで記録作れてしまいますよ!
さて、無事帰宅を果たしたら次に気になるのはお土産の羊羹ですよ。憧れの菓子。目にしたことはあれど、口にしたことのない羊羹! 頭の中が羊羹でいっぱいになって、なにをやっても気もそぞろな芙蓉がかわいい。そして間近に見る羊羹。紅潮するその頬に、よほどの意気込みやらなんやらが感じられます。
しかしこうして羊羹を味わって、しかもその羊羹を何日も賞味できるというしあわせ!
ところでですよ、羊羹といえば福井の水羊羹! 富山の隣り! これを芙蓉に味わっていただきたい! ええ、あの水羊羹、好きなんですよ。芙蓉さんにも一枚まるごといっていただきたい!
- 『まんがタイムオリジナル』第43巻第5号(2024年5月号)
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