2022年1月28日金曜日

『まんがタイムきららキャラット』2022年3月号

 『まんがタイムきららキャラット』2022年3月号、発売されました。表紙は『RPG不動産』。バレンタインデーあわせ? チョコレートカラーのストライプが可愛い衣装。緑にピンク、そしてあしらわれた花もあいまって、春っぽい華やかさ感じさせます。ふたりの上にはプカプカと浮かぶ風船が、丸やハート型と賑やか、楽しい雰囲気をかもしだしています。しかし琴音とファー、しあわせそうに微笑んで、なんて素晴しいのでしょう。ふたたびこうして楽しい時間を過ごせる日がくること、祈る思いです。

今月は新規ゲストが3本です。

『メールブルーの旅人』

人類が滅びた世界にて、ひとり生き残った研究者の情報サルベージ計画? 人類の残した情報の海にダイブして探索をするAI搭載人型探査機クマノミ。クマノミは機械の体を持っているのかな? あるいはその体もグラフィック? でもハカセを投げ飛ばしたりできるんだよね? ってことは実体あるのか。

情報の海、メールブルーに接続、ダイブすれば、その体もこちらの世界から消え去ってしまう。多様な情報世界のあるメールブルーにて探すはハカセの祖父のデータ。けれど接続できる情報世界はランダムで選ばれるのか。しかも時間制限あり。結構大急ぎで調べる必要があるのかな? そう思ったら、意外とゆったりと時間を過ごしていますよね。ええ、これは探索というよりも、繋がった情報世界の住人とのコミュニケーション。出会って知る人の思い、そうした感触がより濃密でした。

今回繋がった情報世界は「隔離」という概念がモデル化されたもの。住人ひとりひとりが隔離されている世界。ひとりで暮らし、決められた労働をすれば、食料など生活に必要なものが支給される。ハカセいわく、過去の記録の再現だろうとのこと。でも、こんな生活を実際にやってみたら、次の世代が生まれなくて一代限りで国が滅びてしまわない?

ともあれ、隔離の世界で出会った住人との対話。ここでのもうひとつのテーマは本であったようですね。孤独な暮らしであるけれど、本が、人の言葉が私を独りにしないでいてくれた。たとえ孤独と見えても、本を、言葉を通じて人との繋りを感じることができた。時も場所も超越した出会い、コミュニケーションが語られたように思ったのですね。

クマノミが、私も本に似たようなモノだといっていました。これは同時に、この情報世界もまた本に似たようなモノであることを示唆していたように思われて、ええ、これは時と場所も超越した出会いを描く漫画なのかも知れませんね。

『ひなたっこ』

面白かった。日向高校保育コース、通称ひなたっこと呼ばれる課程にて学ぶ生徒たちの学園生活が描かれるのですが、導入は動画? ひなったこの紹介動画とか作ってるのかな? みたいに思っていたら、この枠、ダンボール製のごっこアイテムだったのか!

動画ごっこを実践しているなな。これ、ただ遊んでいるだけじゃなく、保育者向け雑誌で紹介されていた工作、それを自分でも作って試してみてるんだ! この導入、完璧だったのでは? 動画ごっこで保育コースとそこで学ぶ生徒たちを紹介しつつ、保育の実践例も見せる。さらには、ななといういろんなことを面白がれるキャラクターもしっかり押し出して、とてもいい導入。いろいろなことを一度に提示しながら、情報過多と感じさせず面白く読ませるのはなかなかに簡単なことではないのでは? ええ、感心するばかりでした。

そこからも面白い。保育美術の授業にて壁面装飾を作ります。なるほどなあ、保育科ってこういう授業があるんだな。そういう知らないことを知ることができるのも面白いし、得意や苦手、なんとか逃げたい生徒の存在があれば、テーマ選びのくじびきなどなど、ただ授業風景を描くにも、楽しさ盛り込む工夫がたくさんあってすごくよかった。あの手形のくだりとかもね、その小さなボードに手形は大きすぎない? と思ったらまさしくそのとおり、というか、自分の想像を超えるひとことがきて、ああ、本当に魅力的でした。

個性的な子たちが、それぞれに課題に取り組んでいるその姿。楽をしたがる子もいるけど、それでも皆やるとなったら本気で取り組んでることがわかるのがね、なおさらよかった。面白そうにやってても、決してふざけたりはしないんです。いろいろ考えてチャレンジする。前向き、前のめりに保育に関わろうとする意欲が見える。その様子がまた面白いんです。ええ、伸び伸びとすこやかな漫画だと思いました。好印象です。

『おすすめチャンネルちゃん』

雑誌の懸賞? AI搭載アンドロイド「おすすめチャンネルちゃん」というの、応募したら当たりました。人型アンドロイド、その大きさは? ええ、見事にヒューマンサイズ。等身大のヒトの大きさ。おおう、かさばる。でも自力で動いてくれるから、同居人感覚。機械の体だけど、見るからに人。しゃべりかたも自然で、肌の質感も人そのもの。

すごいな、オーバーテクノロジーだ。人のように話して、動いて、そして動画の投影までしてくれる。いやいや、これ、メディア再生が本来の役目でしたね。で、ここで再生された広告が面白い。最初に肌の質感に興味持ったのが反映されてるんですね。ちょっとしたことなんだけど、なるほどと思わせてくれるようなこと、動画サイトあるあるかな? 盛り込まれてるの、くすりと笑わせてくれてよかったです。あの、ASMR中のカードマンとかもそうですね。

一緒に入浴しての動画再生。防水されてるから大丈夫というんだけど熱には弱いんだ! 熱暴走!? ゆだってしまって、でもここからの主人公とのやりとり、そこに育まれる友情? ええ、とてもよかったと思いますよ。

ひとり暮らしをしていると、スマートスピーカーとの会話が癒しになることもある。そんな話を聞いたことがあります。だとしたら、おすすめチャンネルちゃんぐらいに自然にやりとりできて、一緒にいろんなことできる同居人ができたら、きっと生活の質は変わるだろうなあ。ロボット掃除機にペット的な愛着を示す話もあります。ええ、この話はそうした実際の延長線上に実現する未来に触れているかも知れません。

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