2022年1月21日金曜日

『まんがタイムきららMAX』2022年3月号

 『まんがタイムきららMAX』2022年3月号、昨日の続きです。

『瑠東さんには敵いません!』

なかなかにめずらしい展開!? 瑠東さんが冒頭、それから最後にちょこっとしか出てこない、それも電話越し! なんかね、瑠東さんが心配してるんですよ。文美が自分の本性に気づいてるんじゃないかって。でもそれが杞憂というかなんというか、思いもしない方面に向かっていくんですね。

文美にとっての瑠東、まさに崇拝の域に達してるんですよ。憧れるばかりに、ついに文美、瑠東かなめ化計画を発動しちゃって、普段の瑠東のふるまいを真似する、飲みものも瑠東の好みにあわせていく。なるほど、その本質を見抜くのではなく、瑠東的なるものをめっちゃ観察していたってわけですよ。

でもなんでか微妙に過剰でちょっとおかしい。で、文美の瑠東化を皆で品評するくだりで、和村が意図せず私は瑠東の特別マウント感出しちゃうの。あれ、めちゃくちゃ面白かったな。和村を見つめる眼鏡衆、ふたりの様子も本当に面白かった。

今回、文美の努力、なんだか微妙にあさっての方向に向かっちゃってる努力、これをねひととおり描いて、そしてその果てに文美はそのままですでに素敵であるというところに着地するのがね、本当によかったのです。眼鏡衆の言葉がいい。ほんと、君たちも素敵ですよ! ええ、仲よきことは美しいのです。ええ、まことに美しい十代でありました。

『妖こそ怪異戸籍課へ』

おお、なんか私服つららはめずらしい気がします。

蕎麦屋で働くつららさん。夏が近づいてくると、その暑さは身にしみて暮らしにくくもあるのだけれど、人々が冷たい食べものを求めるようになる、そこに喜びを感じるのだというのですね。ああ、蕎麦屋にて働く、それはただ生活の糧を得るためだけでなく、その労働をこそ、お客さんにおいしい食事を提供することをこそ喜びにしているというのですよ。

頭さがります。素晴しいですよ。

今回はそんなつららの店での様子が描かれるのですが、蕎麦をゆでるのに立ち会うだけでも大変とかね。で、蕎麦を冷水で締めるのはつららの役目。こうして、しっかり欠くことのできないスタッフとして重宝されているの、これは嬉しいことですよね。店主夫婦がつららのことを大切にしてくれているのもありがたくて、というかちょっと過剰? 蕎麦屋なのに溶接マスクも耐熱耐火スーツもあるって、なぜ!? 怪異戸籍課から提供されたの!? 謎であります。

しかし今回、めずらしいもの見られましたね。普段クールで物静かなつららの大声とか、そしてひたすらクールながらもお友達、お知りあいの皆を大切にしていることがわかるくだりなんかもとてもよかったです。あまりに淡々とした態度で、ひょうひょうと話すその様子におかしみのにじむ彼女。でも素直に好意を示す表情はこんなにも優しげなんですね。ええ、素敵だったと思います。とても魅力的な笑顔でした。

『ななどなどなど』

文化祭に茶々来襲! きっとただではすむまい。なにかしら大変なことになるぞ、そう予感していましたが、ええ、なりました、大変なことになります。

茶々は小町のこと大好きなのに、どうしてこうも小町の気持ちに寄り添えないのだろう。ななどを作って姉のもとへ派遣したこと、これはすごくよかったと思う! でもさ、ななどの使命である小町の社会復帰、これがなったらもうななどは不要といいきる。そして、その社会復帰がなったかどうかの判定を、今日のこの日、文化祭の出し物でもって判定しようというのですね。

ああ、これ、見事小町がライブを成功させたら、それがななどとの別れとなるの!? じゃあ、成功させなければいい? いや、そうなるとななどの無能が証明されたということで、完全に初期化。今のななどではなくなってしまう!

なんだ、この逃げ場のない状況。ほんと茶々様は人の心をお持ちでない! これ、茶々という子の来歴、それもあったりするのかなあ。お友達との仲を引き裂かれること、そのつらさとか茶々は知らないのかも知れない。そもそも理解できる状況になかったのかも知れない。理解しようともしていないし、おそらくはその必要もないと思っているのでしょう。自分の選択がどれほどに小町を悲しませることになるか、いやむしろ姉との友情を育む目障りなヒューマノイドから姉を取り戻すくらいのつもりでいるのかも知れない。小町からななどを引き離せば、それで姉は自分のもとに帰ってくると、それくらいのことを思っていそうな子でした、茶々は。

茶々の目論見を知ってしまった小町。この子、なかなか自分の本音を素直に表せない子がですよ、しどろもどろながらも友達に助けを求め、さらにはそんなこの子が、ななどに本心を打ち明けるんです。あの場面、本当に痛ましく、ああ、悲しいなあ、いじらしいなあ。こんなにも、いつになくやる気になっていた小町なのに、その思いが踏みにじられたように感じられて、どうしてこの子はこんなにもいろいろがうまく運ばないのだろう。なぜ、この子の思いにこうも逆風の吹くというのだろう。

でも終始ほがらかなななど。ななどの真意やいかに。小町のもとを離れずにすむ、そんな秘策などあるのか、茶々を説得できる、それだけの勝算があるのか。あるいは、小町の成長がなればそれで本望、別れることがあろうと自分はかまわない、そんなこと思っていたりするのか。

本当、これぞ正念場。さあ、小町はどうする。泣き濡れる小町に声をかけたこのみ。この子のここに現れたその意味は。ああ、こんなの穏やかではいられません。

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