『まんがタイムきららMAX』2022年3月号、昨日の続きです。
『ぬるめた』
今回は雪合戦ですよ! 主役はくるみ? いや、くるみと一緒に遊んだ子供たち? 近所の小学生に大人気なんですね、くるみ。一緒に遊ぼうと誘われて、それで雪合戦用大砲を披露。これ、頭に砲を載せる意味は!? いや、首がまわせるから、砲塔みたく使えるのか。でもキャタピラ装備して戦車フォルムにまでなるのはいいんだけど、機動性に劣るせいで取り囲まれて見事狙い撃ち。それ、障害物に隠れたまま額の砲だけ出して戦うものなんじゃないの? 囲まれたらそりゃ駄目よ!
今回、さきなのしたわれ具合が見事でしたよね。子供たちからおねえちゃんおねえちゃんとしたわれて、しかも男の子のみならず女の子までが好きっていってるんだ! と思ったらちあきのことが好きな子もいるのね。うん、わかるわ、小学生くらいだと年上の素敵お姉さんのこと大好きになっちゃったりするよね。
今回はそうした年の差コミュニケーション描かれて、なんかちょっと甘酸っぱい? そんな加減が異色で、けれど妙味かもしていました。
ところでくるみの機動力特化戦車形態。それ、やわらかいアレでは!? 結構ギリギリなフォルムに、えらいのきたと笑っちまいましたよ。
『こみっくがーるず』
おおう、扉のヤング編沢さん、素敵。
今回は、かおすの躍進に期待させる、そんなエピソードでした。コミカライズやパロディやらせると抜群の面白さ叩き出してくるかおす。その出来のよさは編沢のお墨付き。編沢どころか編集部にても一番好評と告げられて、これでプレッシャーに潰されそうになっちゃうのがかおすなんですね。
そこからのあばばば状況。会話もおぼつかないほどにあばあばしていて、でもそこからね、自分がやりたいこと、見出していこうという流れ。小夢や翼の元担当編集者との関係に、いつかくる編沢との別れを夢に見て、そして思うのがオリジナルをやりたい。編沢が担当であるうちにオリジナルをやりたい。そうしなければいつか後悔する日がきそうな気がする……。
この思いを口にするかおすの様子。その思いを受け止める編沢の表情もまた情感溢れて、素晴しかったと思う。なかなか芽が出ない、なかなか結果を出せない。それでも諦めようとしないかおすの姿に不屈に通ずるものを見て、ああこの子もここまできたんだなあ。胸が熱くなるもの感じました。
これからもまだいろいろ迷ったり落ち込んだりあばあばしたりするのでしょうけれど、それでも前へ前へ、少しずつでも進んでいければいい。かおすと編沢、ふたりのこれから、目が離せぬ思いでいます。
『お姉様のVな事情』
中身はおっさんだと思われているVチューバー神酒シズク。本当の中身は才色兼備、けどいろいろ駄目なお姉様、苦楽園ミユキなのだけれど、それは今は逆瀬川マリナとミユキふたりだけの秘密。でもそれで、本当のミユキさんは私だけのものとか、危ういこと考えてるマリナよ。この子もいろいろこじらせてるよね。
とか思ってたら、もっとこじらせてる人が! 花屋敷カンナ。神酒シズクガチ勢はいいとして、中身がおっさんだとしてもかまわんのか。想像上のおっさん、見事に駄目そうなおっさんなんだけど、それでも恋する気持ちはノンストップなのか。やべえ、やべえな。こじらせ通り越したヤバさを感じさせるな。
でもその心の底にあるもの、自分には持てない自由さへの憧れが語られるくだり。ああ、この人もミユキと似た境遇にあるんだ。完璧人間であるゆえに見通しのたたない状況に身を投じようとするミユキ。対し、財閥の跡取り娘としての不自由な生き方に息苦しさを感じているカンナ。自身のありようと心が求めてやまないもの、その発するところこそは違うけれど、どこか共感できる素地を双方持ちあわせているんですね。
本来の自分を仮想の身体でもって体現するミユキと、そのミユキに知らず憧れを感じありたい自分の姿を投影するカンナ。能動性と受動性、そうしたコントラストを持ちながらもどこか重なるふたりの関係の深まりに期待しないではおられません。
- 『まんがタイムきららMAX』第19巻第3号(2022年3月号)
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