『まんがタイムきららフォワード』2022年3月号、昨日の続きです。
『追風のジン』
この世界にはびこる忍者。それがどういう存在であるか、人々から怖れられている理由などなど、ひととおりをざっと概観させる導入部が終わったといっていいでしょうか。というわけで今回はわりと平和なお話。ジンとココロ、それとべこ丸、この3者の関係が整理されて、いうならばひとつのチームとしての役割わりふりなど行われました。
忍者としての修行を経て、悪いやつらをとっちめる! そんな感じでめちゃ強いジンが、いざ戦いを離れると15歳、年相応の少年ってのが描かれて、肉大好き、野菜嫌い、料理苦手、肉はただ焼いて食うだけ。そういったワイルドライフにココロのメスが入って、手持ちの材料でしっかりおいしい料理を作る。野菜嫌いのジンもうまいと太鼓判の野菜添えの魚料理。日常生活ではこんなにも頼もしいココロの姿ですよ。チームとしての主導権もほぼココロが握っていた。ええ、ただ運ばれるだけのお荷物ではないんですよという描写。これには大満足でした。
そして彼らの向かうユザワ村。そこにも忍者の魔の手が! と思ったら、ちゃんと忍者を取締る人がいるんですか。東雲幕府火付忍者改方「侍」の雨谷マサムネ。スマートなその仕事ぶりがざっと描かれ、続いて村で開かれる催し、オークションの情報が! ああ、ここでスパナさん、なにかを狙ってらっしゃるのね? でもってここにジンたちも加わるのね? いったいなにが起こるのか。そして侍マサムネはいかなる役割を担うのか。
次の展開、その種がざっとまかれた。はたしていかなる芽を出すか、どのように枝葉をつけていくのか、楽しみにさせられます。
『スローループ』
ひより、ちょっと思い悩んでいるのですか。小春の友人、つっちーからいわれたこと、それが引き金になったみたいですね。小春のことをよろしくと頼まれた。しかし自分にできるのだろうか。思い出される入院中の父のこと。死に向かう父の状況を受け入れられずにいた。といっても、子供だもの、無理ないよ。でも、その時の思い、悔いが今なおこうしてひよりを苦しめている。
ひよりの苦しみを知って踏み出した小春、頼もしささえ感じられましたよ。自分はあんまりいい姉ではなかった。その思いが、ひよりに対してはよい姉でいたいと思わせる原動力になっている? ひよりの思いを受け止めて、ひよりの中に確かに残る父との思い出、それをひよりを力づける支えとして引き出したその言葉は、揺るぎないひよりへの思いやりに溢れていて、ああ、いいお姉さんになれてるじゃないですか。そう思わされたのですね。
でも、そんな小春。ここという時にはしっかりしているように見え、けれど普段はなんかぽわぽわと頼りなく、無邪気ささえ感じさせる小春。今回も、魚醤とか作っていたの、ひよりと一緒に開封して食事も作って、日常の描写に戻っていくでしょう? そのはしばしに見せた小春の多彩な表情。それを自身振り返っていわく、結構私は打算的だ。
思った以上にクレバーなんだな小春。ちょっと見誤っていたと反省。この思いもしなかった側面に、人の多面性、その奥深さを意識させられて、はっとさせられました。
『球詠』
咲桜を破った新越谷の次の対戦相手は美園学院。夏は咲桜に破れたというものの、その実力は折り紙付き。ピッチャー園川の存在が大きそうですね。これまで戦ってきた相手も相当に強かったはずだけど、美園学院は相手が悪い。チームとして完成度が一番高いと芳乃が相当に警戒しているんですね。
正攻法で戦って勝てる相手ではないとまでいっている。そんな相手になにか攻略の糸口を見つけたのでしょうか、菫と白菊と話していたこと、それがなにか、めちゃくちゃ気になりますね。
そして、相手方ピッチャーの園川が気にしているのは、抽選会の時の相手……。夏大会の抽選会で、分析欲を全開にしていた芳乃ですか! 確かに新越谷の強さを支えている、欠くことのできない存在です。はたしてこの発言、今後になにかしらの影響など与えてくるでしょうか。ふたりの相認めあうその感じ、ピリッと状況をひきしめて最高です。
- 『まんがタイムきららフォワード』第16巻第3号(2022年3月号)
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