2020年2月9日日曜日

『まんがタイムきらら』2020年3月号

 『まんがタイムきらら』2020年3月号、発売されました。表紙は『けいおん!Shuffle』。ヒロイン紫のソロ表紙ですよ。両手にドラムスティック持ちまして、ぴょーんとジャンプ。その笑顔が底抜けに明るくて、この子、絶対いい子だよね! そんなこと思わせるような雰囲気あって、これ、すごくいいなあ! 制服のすそからお腹が見えてるんですが、ここ数日やけに寒いからさ、お腹冷えちゃうよ! 腹巻きして!? みたいに思っちゃうんですが、このあたり気にしないでも大丈夫なのかな。これが若さか……? いやしかし、縁、愛らしい、そういわねばならない気にさせる魅力ありますよ。

今月は新規ゲストが1本です。

『推しごとびより』

アイドルものではあるのだけど、主人公はアイドルを追う側。ファンサイドからの話なんですね。とか思ってたら、アイドル側に越境していく勢いだぞ! これは、これは予想外だぞ!

主人公は桃原心町。アイドル好きの高校2年生。ある日、姉と連れだって、推しのアイドルとのコラボ展開中のコスプレ喫茶にきてみれば、そこにはクラスの優等生、南野空の姿があって、なるほど、ずっと自分とは違う次元にいるクールな人と思っていた空が、実は自分と同次元だと判明したってわけですね。さらには、よりコアなのかな? 二次元三次元問わず推している心町とは違い、二次元メイン。アイドルとなれば饒舌になる心町と同様、好きなアニメとなると、吹き出しにおさまらない勢いで語り出す。この、好きなことには饒舌というの、オタクあるあるの描写ではあるけれど、こうして実際に絵にして見せられると、いいなあ! そう思わないではいられない。私、オタク女子が饒舌になってるところ見るの、大好きなんですよ。一種の変態かも知れません。

この漫画、タイトルからして推す側の話、それこそ饒舌に語りあうような話でいくのだろうなんて思っていたんですが、心町の姉が芸能事務所勤務。どうせなら受けてみないかといわれたアイドルオーディションに、心町、空で組んで応募する流れになりそうですよ。しかしその応募の動機が不純で、アイドルになりたいよりも、推しのアイドルに接近したい気持ちのほうがずっと強いときたもんだ! いやあ、自分みたいのがそんなこと思った日には軽いホラーですが、この子たちなら大丈夫ですね。

オーディションの応募条件は3人組。ということでこれからもうひとり探さないといけないのですが、桃色、空の青、ときたから、もうひとりは黄色かな? なんて予想しながらも、すべてアニメを軸に考えている空の様子、あれに完全に持っていかれてしまいましてね、ええ、空、いいですね。なんかすごくわかるんですよ。なるほど、これが推したい気持ちってやつですか?

『けいおん!Shuffle』

紫、姉へのリベンジを誓うの巻!

朝、耳に息を吹きかけるという気色の悪い方法で起こされてしまった紫。あの、なにするの、気持ち悪いと起き抜け一番にまくしたてる紫の様子が実によくってですね、基本穏やかであたりもいいこの子がですよ、姉相手となるとわりと口が悪い。その口の悪さがね、不思議とリアルな妹のそれらしさをかもしだしていましてね、とてもいい。なんか、妙にいい子ぶってる子より、こうして地が出てるみたいな方がね、魅力的に感じるんですね。生きてる感がある。

散々姉にからかわれて、それで復讐したい、リベンジだって息巻く紫なんですが、そうかあ、151敗でいまだ勝ちなしなのかあ。このあまりに実力差のある対決。その日の午後、居眠りしてる姉に対してここぞとやりかえした紫の精一杯の攻撃も、全然効いてないものなあ! でも、色気に欠ける紫のその様子、逆にこの子の素直さ感じさせて、いやはや、姉には効かなくとも読者には届いたのではないかと思うのです。

『さかさまロリポップ』

今回、不思議回だ!

詩月のマネージャーの中村さん。オフの日に詩月と一緒に遊んだりしないのかと、当の詩月から聞かれるも、芸能人とマネージャーは一線画すべき! 気持ちは揺らぎながらも、自身のポリシー曲げようとしないんですね。

そんな中村さんの精一杯が、詩月の家の観葉植物になりたい。なにごと!? ってな発想ですが、あれか、腐女子の方々がおっしゃる推しの家の壁になりたいってのと同様の発想か。で、今回面白かったのが、実際に観葉植物になるっていうんですよ。

最初、なにが起こってるのかと思いました。4段ぶちぬいて、詩月の様子に一喜一憂する中村さんが描かれる。一喜一憂? いや喜びしかない、憂いなんてかけらもなかった。そんな中村さんの描写があまりに非現実的なので、観葉植物になったらこんな感じっていう想像なのかな? みたいに思ったんです。

だけど、違った。実際に植物になったわけではないけれど、詩月の家、リビングの隅に座りこんで、観葉植物気分で詩月のこと見守ってるんだ! すごい!

しかもこの流れ、後にもあって、いやちょっと見守られる側、詩月の行動の提示される順が違う。この詩月の様子と中村さんの反応の前後が入れ替わることで、読み手の受け取る印象がまた違ってくるっていうから面白い。

詩月の行動が先にくると、なるほど中村さんはこれ見てこんな感じになってたんかー、普通の受け取り方になるわけですけど、これが逆になると、中村さんの反応だけ見て、このとき詩月はなにやってたんだろうって想像を巡らす余地ができてくる。続いて提示される詩月の行動、ここで答えあわせみたいになる面白さ。そして詩月の様子、中村さんの反応、詩月、中村さん、みたいに2本の四コマをひとコマずつ交互に読むみたいな破調の面白味も発生してきて、自由だ! 四コマはこんなにも自由だ!

すごく面白かったのでした。

『スロウスタート』

冠の悩みごと。飼い猫の健康状態、最近太ってきちゃってて、ちゃんと管理できていない自分は飼い主失格……。想像以上に凹んでいるんですね。

今回描かれた冠と飼い猫のこと。序盤の榎並先生との甘味巡りにてこれを提示し、その後栄依子にバトンタッチ。栄依子とは電話でのやりとりだったのだけど、その描写、直接対面しているのとは違う、けれどふたりの距離は離れてなんていないことを描き方の工夫でもって感じさせるのがねすごくうまくて、また自由で、これいいよなあ。四コマの破調がすごくいいアクセントになって、面と向かって話しているのとはまた違った時間の感覚、なにかゆったりとして気持ちを素直に伝えて受けとってといった感覚が出ていたと思うんですね。

そして終盤へ向けての流れ、学校でたまて相手にコメディ色強めて、そうか、たまては太ったりやせたりしてるのか。ちょっと攻め気のある冠もいいですね。その後に続いてエピローグ、猫に運動させるべく、髪もまとめてジャージ着て、いつにないやる気見せてる冠! わーお、今回はいろんな冠が見られて素晴しいな。しかもこの猫に運動させる動きが、マリンバの攻略に繋がるという、序盤で提示されてたことが見事にここで決着するんですね。

場面場面でメリハリ持たせて、緩急ある巧みな展開。これはいい構成でしたわ。ほれぼれします。

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