『まんがタイムきららフォワード』2020年4月号、発売されました。表紙は『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』。テレビアニメも大好評放送中! とのこと。見てますか? 見てますよ。そして表紙のイラストは、花を見に繰り出した魔法少女の面々であります。梅? 桜? 梅っぽいなって思うんだけど、散る花びらが桜っぽい。どっちなんだろう。先頭きって歩くいろは、吐く息も白く、まだまだ春はこれから、まだ寒さの残る季節感じさせているイラストです。しかし、皆、リラックスした雰囲気で、この季節の花を楽しむ余裕感じさせるところなど、穏やか、平和なその様子が心地よさ感じさせてくれていいですね。本編がシリアス色強いから、こういうのが嬉しいです。
今月は新作ゲストが1本です。
『わたしを宿に連れてって!!』
面白かったですよ。
国産RPG、ありていにいえば『ドラクエ』的世界観を持ったファンタジー世界を舞台に、魔王が討伐された後の世界の勇者と姫の関係を描くコメディなんですが、一緒に宿に泊まりたい姫と、まったく宿を利用しない勇者の思いのすれちがい。なるほど、勇者は特に姫を避けてるとかそういうわけではないんですね。ただ宿を利用する必要がない。レベルはカンスト。しかも回復アイテム持ちだから、ほっといても体力全開の疲れ知らず。ああ、HP以外に宿を利用する必要がある、そんなシステムだったらよかったですね! 例えばSAN値が下がるとかさ。
勇者にあまりに放っておかれたせいで、なんとしても一緒に宿に泊まりたいと意固地になってる姫と、勇者に命乞いして召使い扱いで同道している元魔王、このふたりがいいコンビで、そのかけあいなど、読んでいて楽しかった。行動力こそバリバリあるけれど、それなりに世間知らずな姫と、それなりにプライド持ってあわよくば自由をなどもくろんでいる魔王と、ふたりして勇者を疲れさせる、傷を負わせるなどなど、策を弄するんですね。けれどどれも無駄に終わる。その、なにしても通用しなくて絶望するふたりの様子と、なれあい? わりとフレンドリーではあるのだけど、その実悪い気持ちを隠している魔王とか、その魔王からしてもはっちゃけている姫とか、このアクの強さ、それが面白さを増さしてめていたと思います。とりわけ姫ですね。
キャラクターが魅力的に動いていること、それがなによりのよさだったと思います。私は魔王が気にいりました。
『はるかなレシーブ』
はるかな、なるあや戦、もうはじまってる! かなたのサーブが戦いの火蓋を切ってはじまるラリー。狙いは彩紗の無力化。対応しやすい成美のスパイクをふたりでさばいていこうという作戦が当たり、まずはリードするのだけど、これ、彩紗、あえて相手のやりやすいように作戦を受けてみせたっていうんですか。
試合中に多様に変化してみせるなるあやペア。はるかなの今の実力、それはどんなものなのか。まず相手にやりたいことをやらせてみて、そしてついに動き出す瞬間のスリル。普段温和でつきあいやすい彩紗の、しかし試合となればまるで違った表情を見せてくるところ、その怖さ、びしびしと伝えてきて、これは心底しびれました。はるかに対する軽い失望? 続いてはるかを圧倒しねじふせる力量。今はまだ試合もはじまったばかり。彩紗にしても、まだ試している段階に過ぎないっていうのがおそろしい。
ええ、約束の舞台。今こそこれまでかなたとふたり積み上げてきたことを出し切る時。しかし全力を出してなお敵わないかも知れない、そう思わされるなるあやの強さを序盤、開幕すぐに見せつけてきて、これは本当、圧倒的。描写にも気迫みなぎってまさしく充実でした。
『観音寺睡蓮の苦悩』
連載になりました。この漫画、毎回睡蓮の愛でる女子カップル変わったりするのかな? なんて思ったけど、なるほどベストなふたり、紫陽花、椿ペアにご執心、このふたりメインでいくわけでありますね。
今回も、紫陽花、椿の睡蓮争奪が描かれるんですが、出し抜こうとする紫陽花も日頃の行いがたたって足止め食らってしまう。しかし、なにやらかしたんだと思ったら、宿題のズル、いやそれは即バレるだろう! ってなもので、この稚拙な工作、策の中途半端であることからもこの紫陽花という子がどんな個性持ってるのかってわかるのは悪くないと思いました。
椿にしても同様で、紫陽花がいるとペースを握られてしまうから困るけど、いなければいないで2年の教室、扉も開けられないというその内気さ。なるほど、ふたりそれぞれの持ち味で助けあいながらの睡蓮争奪だっていうんですね。でもって、そのふたりじゃないとはじまらないってところが、睡蓮の妄想に火をつけようってわけか。
この漫画、睡蓮が出てからがやっぱり面白かったです。自信たっぷり、やたらめったら光輝き花散らすこの人の、実はいろいろあかんところ。この人を挟んで挑発しあう紫陽花、椿の振る舞いも、この人の目に備わった百合フィルターがために、まるで目に入ってないという。明らかに対抗、対立しているふたりなのに、両思い判定を出すというポンコツぶり。そのちぐはぐさの面白さ。同様に、出し抜きあいながらも実際イチャイチャしてるように見える紫陽花、椿、ふたりの関係も魅力になっていると思います。
『球詠』
えええ!? ちょっと待って、もう最終回なの!? 2点リードされて最終回。この状況からいかに勝ちを拾うのか。ハラハラさせられるこの状況。しかし相手は投手力がありかつ守備も厚いときている。なんとか2点返して同点にしないと次がない。その上で1点多くとれないと勝てない。ここまで徹底的に抑えられてきた状況で、本当にどうやったら逆転できるのか。
そんなこと思いながらも、正直どこか楽観視してました。だって、こういうのは主役が勝つものでしょう? どんだけピンチでも、どんだけ追い込まれても、ここぞというところで勝ちを拾っていく。実力を超えた瞬間的な力かも知れない。思いもかけない幸運かも知れない。それとも練りに練った秘策がここで刺さるのか。この局面でなにを見せられるのか、楽しみにするじゃないですか。実際、ふたり走者出してタイムリー、3人出れば希にまわる。楽観かも知れないけれど、なにかしら希望感じさせる言葉があって、そして実際ノーアウトで1塁出塁。ああ、ここからの逆転劇かと思うわけですよ。思いますよね? 思うにきまってるじゃないですか。
柳大川越のピッチャー、朝倉の力を認めつつ先輩としての意地見せようとしている大野の内心描かれて、そしてチーム皆が認める大野の力、大野がエース、その言葉に気持ち揺れ動かされながらも、この内面のドラマ、こういうの見せられたら柳大のことも応援したくなるなあ、負けて欲しいなんて思えない、そう思ったりしながらも彼女らは敗退していくのだろう、敗者にもドラマがあるのだなあ、みたいなこと考えていた。
打席にたった息吹。芳乃がコツコツ集めてきた情報、大野を攻略するためのアドバイス。これがいよいよ生きるのか。2アウト走者は2塁にひとり。ここで一打あればふたり走者を出して次に繋げられる。理想的シチュエーション。そしてまさに息吹の策があたって、ボールをとらえる息吹のバット、渾身のスイング、伸びていく打球、ああ、これが起死回生の一打になるか!?
息吹の強打をショートが捕球、ということはここから落としてしまうのか? いや、落ちない。あれ? おかしいな、あれ? もうこれが最後の打席だよね? 次はないよね? ページをめくれば、試合終了の声。ああ、新越谷敗退か……。
正直、信じられなかった。まだ信じられない、そんな不確かな気持ちでいます。これ、本当に驚いた、当惑しています。
- 『まんがタイムきららフォワード』第14巻第4号(2020年4月号)
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