2024年9月6日金曜日

『まんがタイム』2024年10月号

 『まんがタイム』2024年10月号、発売されました。表紙は『ローカル女子の遠吠え』。実りの秋、収穫の秋。大きなサツマイモを力強く土から抜いたりん子の凛々しい姿が、堂々表紙を飾ります。そして他には、ブドウを食べる『おとぼけ部長代理』に柿でいっぱいのカゴを抱えた『まほろば小町ハルヒノさん』、リンゴ娘になってしまった『秘密のお姉さん養成ノート』のカットがございます。

『跳べないウサギと神の島』

天啓祭を間近に控え、浮きたつ島内です。皆、祭の準備に余念がない。よほどこの神事に入れ込んでいるのだなあ。これも信仰心のあらわれか、といえばさにあらず、むしろここ一番の書き入れ時。今年も天啓祭で一儲けと、悪い笑いを見せる大人たちなんですね。

空を飛ぶ巫女、これは島内のみの秘密なのかと思ったら、今やすっかりオープンにして、入場料をとって、グッズも売ってと、誰も彼もが打算的。リンコの祖母織子もお金に目がくらんで、ものすごく乗り気になってる。ええ、島をあげての盛り上がりを見せているのです。

そんな中、学生はテストが被って、そちらでもがんばらないといけません。でもリンコは嫌がりますよね。なんとかリンコに勉強させようとがんばるレオだけど、その目論見ははかなくも散ってしまうのです。

そのかわり、月兎村の郷土史を発見。そこに母の、そしてリンコにそっくりな理沙子の姿を認めて、ああひとつ核心に迫ろうとしている!? いや、どこまで核心なのかわからないけど。いずれにしても、リンコの秘密には近づいてる。そんな感じがしますよね。

『となりのフィギュア原型師』

手がなくなったと涙目の代表です! なにごとかと思ったら、磨き作業中に原型の手を落っことしてしまった。こうなったら選択肢はふたつ。捜すか作り直すかどっちかだというのですが、原型師の机周りは散らかってるから、そうそう捜して見つかるもんじゃない。

この局面でぐずぐずと決断を先延ばしする代表に、謎の代表リスペクトを見せる半藤。手を貸してやろうかと、これまでの原型、クリーチャーの手を山ほど取り出してくるはぐちゃん。個性的な面々を前に、もっとも個性的な人が、どうしようーとなおも決断をしぶった代表。ああ、その優柔不断、ぐずぐずの甘えたそぶりが災いしましたね! 椅子のキャスターで原型の手を踏み潰しちゃった!

ちょっとした一幕、けどそれが面白い。小粒にして気の利いた掌編でありました。

『良倉先生の承認欲求』

今回もめちゃくちゃおもしろいなあ。

一美から相談された良倉です。自分の中の承認欲求が抑えられない。そういう一美に共感しちゃう良倉ですが、それをあらわにできないのが良倉。でも頼られるのは悪くない。気持ちよく一美の相談に乗るものの、話を聞くほどに少しずつ自分と一美の違いが際立っていくというんですね。

ここで上枝が的確に解説いれてくるの、一美のは自己承認欲求、良倉は他者承認欲求、良倉の方が低次の欲求だっていうの、もう本当に面白くって、いやもうこういうポジションに立ったときほど良倉は光りますよね。

そしてここからの水鉄砲大会。おお、なんという青春。クールな彼も真面目な彼も、皆一緒に水をかけ、浴びて、笑顔を見せる。そこに新たな表現の可能性、自分に足りなかったものに気づくという一美。その悩みの解消されるところ。本当、いい展開だったと思ったのですね。

生徒の悩みに乗る。良倉と上枝、ふたりでしっかり導く。そうした教師と生徒の関係も素敵です。

  • まんがタイム』第44巻第10号(2024年10月号)

0 件のコメント: