『まんがタイムきららフォワード』2024年10月号、昨日の続きです。
『しゅがー・みーつ・がーる!』
美都の妹、幸町が、カンナと姉との秘密のやりとりを目撃してしまいました。ああ、これは大変。一目惚れの王子様が姉と恋仲!? 幸町のあこがれは露と消えてしまいますの!? と思ったら、全然そんな展開にはならなかった。
そうかあ、幸町にとっては姉様が一番。姉様大好きで、でもその姉様は自分よりよく知らない先輩のことが大事なの!? すっかり取り乱してしまって、このやりとりは美都にとってもショックだったようです。
幸町の乱れた気持ち。姉との溝、どうしずめ、どう埋めようか。そのチャンスがオリエンテーション? カンナと幸町が期せず一緒に行動することになったことで到来。そこでのカンナとの交流が幸町に姉の知らない側面、同時に姉が自分のことを大切にしていると確認させる。一旦は気落ちした幸町も、カンナからのはげましに元気を取り戻し、そしてついには姉のピンチに助けにはいる!
姉妹の仲の危機はこうして一件落着。美都は家族に秘密を知って守ってくれる人物が得られてよかったですね。この秘密の関係。美都、カンナのそれとはまた違う、そんなよさがありました。
『ネコかぶりアンコール!』
映研部の協力を得て上演された新作演劇『異世界ドア』。舞台の中央にあるドアを潜るたびに、世界が次々と切り替わる。このギミックはスクリーンへの投影と、そして各世界での自分を演ずる印たちによって実現されているのですが、次はどこへいくのだろう、そして早着替えの面白さが観客のわくわく感を高めそうな仕掛け。実際読んでいる自分も楽しく音子の経験するあれこれを追うことができました。
そしてこのエピソード、この漫画において結構な重要回ではありませんか。最後に異世界の自分と向きあることになる音子。世界ごとに性格を違える友人たちを見てどう思ったか。その答は脚本にはなく、音子が自分で考えることとなった。その音子が自ら導き出した答、それこそが、本当の自分と学校で皆に見せている演じられた自分、分かたれた自分という存在に対するひとつの解であった。そう思わせる描写となっていたのですね。
今後、音子がどういう戦略をとっていくことになるのか。それはまだ現状維持ではありそうなのだけれど、音子のいずれ自身に向けることになる視線、そこになにかしらの影響をもたらすターニングポイントとなる回なのかもなあ、なんてこと思わせられたのでした。
『異世界サウナへようこそ!~ルナちゃんはととのいたい~』
異世界への転生装置を修理する目処がついにつきました! かくしてルナの帰還を目指し皆が動いていくことになるのだけれど、いざ元の世界に帰るとなるとルナの気持ちに陰りが見えはじめる。あの暗く重かった日々に帰るのか。その実感がルナを苦しめて、ならいっそヌシさん、転生者である太田さんがそうしたように異世界定住するという手もあると、思い悩む日々が続いていたのですね。
そんなルナに転機がおとずれます。異世界からやってきた人がいる。突然の異世界に戸惑っているその人の助けになろうと飛び出したルナが出会ったのは、かつての友人? 岬であった。岬にここが異世界であると説明し、けれどすぐにも帰れるという状況において、まだ帰りたくないという気持ちを言葉にしてしまう。
離れがたいこの世界の友人たち。暮らしやすく充実したここでの毎日。それがルナをして帰国したくないと思わせるなら、同じく自分を待つ家族や岬の存在はルナにどう働きかけることとなるのか。今日のルナの心情が明日のルナの決断にどう影響し決定づけていくのか。まさしく山場直前といった局面にあると感じさせるシーンでした。
- 『まんがタイムきららフォワード』第18巻第10号(2024年10月号)
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