『まんがタイムきららMAX』2023年3月号、発売されました。表紙は『ご注文はうさぎですか?』。バレンタインデーですね。ココアにチノ、リゼの3人が、ハートのチョコレートを食べているところ。なのですが、いつになく真顔? むしろ無表情ともいえる、感情を見せない様子でこちらをうかがっているのが印象的なイラストです。衣装は3人お揃いで、リボンやなんかがちょっとずつ違う。そこに現れる個性? けれどいつもの彼女たちではない、そんな独特な質感、わずかにハードでビターなものを感じさせてくれています。
今月は新規ゲストが2本です。
『ハードコア★マジック』
タイトルから手品師の漫画? と思ったら、いやなんか違うぞ。なるほど、マジックはマジックでも手品ではなく魔法。人知れず、魔法少女として謎の怪物と戦っている深見レメ。知っちゃいけない、知られちゃいけない、ってわけでもないのか? 友達に自分が魔法少女活動をしていることを話すかどうかで迷っているというのですが、いやしかし、この魔法少女、一般にテレビや漫画で見るのとはなんか違うぞ!? へ、変身はしないんだね! というか、着替え? しかも往来で制服脱いじゃうの!? 制服の下に魔法少女衣装を着込んでるんだ。体育のある日とかどうしてるんだろう。
ともあれ、スーパーパワーを持ちながらも、どことなくしまらない魔法少女。なんかこう、パーッと光り輝きながら変身したり、なんかマジカルな必殺技使って敵を倒したりはしないらしい。あれだな。古典的ヒーローのスーパーなあの人が、変身じゃなく電話ボックス内で目にもとまらぬ早着替えしていたみたいな、そんな世界観なんだな。
妙なところに現実味あるのが笑えます。
レメの友達、薄井いとめ。レメの挙動、そして持ち物その他から、魔法少女なのではないかと疑っている。傍証はたくさんあって、ネットの動画の戦う魔法少女、どう見てもレメっぽいコスプレ少女。っていうんですが、変身したら身バレしない効果とか、そういうのないんだ! というか、その魔法少女衣装はなにか意味があるのか? 制服脱ぎさるのは汚したくない一心?
妙なところに現実味あるのがおかしいんです。
いとめの危機に駆けつけたレメ。見事に大活躍するんですが、情緒もなにもない鉄拳制裁だな! ここからのふたりのやりとり、実に盛り上がらなくて、でもこのもう話はついている感。ごたごたしないのはなによりだったのでは? からの、いとめも魔法少女になったりするのかな? 期待もしたりして、次回後編にここからどう続いていくのか、どんな発展を見せるのか、楽しみになっています。
『てくてくっ!秘密リサーチ』
春の小川っていうの、一般名じゃなくて固有の名前なんだ! いや、違うのか。有名な唱歌『春の小川』に歌われている川がこうして案内板に記されていたりするんだ。調べてみるに、河骨川でいいのかな? 渋谷川の支川で、歌碑もたてられているのだけど、これが2ページ目冒頭に描かれていたやつなのか。
実際に調べていろいろ確認してみると、この漫画で日出ひぐれが、たまたま出会った女の子、航路すかいと一緒に訪ねた場所がより具体的に想像されて、面白みも増すように感じます。
しかしこの河骨川は今や地面の下。暗渠となっていて、実際に水の流れを目にすることはできません。その見えない川を見ようとして、古地図をたよりに辿っていくひぐれの活動。これ、NHKでやってる街やなんかをブラブラする番組なんかでも、かつてはここは暗渠で、道の曲がりぐあいにその痕跡が感じとれるなどなど、話されたりしますよね。残念ながら私は道の雰囲気、その佇まいからかつてそこが川だったとか気づくことはできないのですが、ここはかつて古い街道であったとか、そうした昔を知ることの面白さというのはわかるように思います。
なのでこの漫画でも、今も残るかつて川があった痕跡を辿りながら、想像でかつて流れていた春の小川を思い浮かべてみたりするところ、その面白さ、楽しさは伝わってきたように感じています。というか、読んでいる自分がまず面白かった。知らないことを知る楽しみを描いていく、そうした可能性に魅力を感じているのだと思います。
- 『まんがタイムきららMAX』第20巻第3号(2023年3月号)
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