『まんがタイムオリジナル』2023年3月号、一昨日の続きです。
『カントリー少女は都会をめざす!?』
よくよく考えたら、八重の好きなものへのアプローチ、小学生男子っぽさありますよね。好きなものがあれば、関連する品、情報をこれでもかと収集してそれをとにかく覚えるみたいなところ。もちろんすべての小学生男子がそういうわけじゃないけど、マニア傾向のある子なんかだと、やたら鉄道に詳しかったり、自動車なら自動車、エレベーターならエレベーター、信号機なら信号機みたいな、自分のテーマに基づいた情報収集して、物品収集して、知識蓄えるのが嬉しい。
今回の八重の行動、最寄り駅からお店までの距離を伝えるのに、東京ドームいくつ分、って東京ドームは面積の単位じゃなかったん!? それで伝わらなかったら、今度は東京駅の長さ。それでも伝わらなかったら、東京タワーの高さでもって伝えてくる。
この東京タワーの高さっていうのがですね、333メートル、覚えとったわ! 学習まんが経由かあるいは小学生年鑑みたいな書籍経由か、ともあれこうしたランドマーク的なものの高さ大きさ、覚えていたっけなあとなんだか懐かしくなりまして、はっ、そうか、八重のやってること、小学生の頃の自分とそんなに違ってない!
なんて思ってしまったのでした。
都会とは遠くにありて思うもの。なかなか触れる機会もなければ、憧れをどのように満足させればよいのだろう。八重にとっての解は、ありったけ情報収集してとにかく覚えるだったんだろうなあって思わされて、こうしたところになおさら八重に対する親近感覚えたりしたのでした。
『敷金礼金ヤンキー付き』
大野佳は特攻服や旗の刺繍をして稼ぎを得ている、と冒頭で紹介された矢先に引っ越しバイトしてる姿が描かれてるの、そうか、刺繍だけじゃ充分な収入にならないんだなあ。そんなに受注があるわけでもなさそうだし、頼みの通販サイトでも人気が奮わない。
ところで、佳、不登校だそうですが、いわば中卒状態で一人暮らし、ヤンキーアパートはそれなりに家賃も抑えめなんじゃないかって予想しますけど、おそらくは家賃も食費も光熱費も全部自分でまかなってるんでしょう? すごいな、立派な勤労学生じゃありませんか。いや、学校には通ってないのか。ともあれ、楽して毎日ぶらぶらしてるとかじゃない。結構な苦労人なのですね。
そんな佳が見栄を張ってしまいました。刺繍の売り上げについて七恵に聞かれて、よせばいいのに2位だなんていっちゃって、ああー、七恵もそういう傾向あるけど、ここの住人って基本こういう時に見栄張っちゃうよね。で、大抵それがトラブル引き起こすきっかけになるんですけど、普通ならバレない見栄がまさかのランク1位登場でバレるとかね! 予想外の展開に一番動揺したのは佳だろうとは思うんですが、まさかそれで暴力沙汰にまで発展! いや、これはわりと想定内の展開ではありますね!
佳にとってのプライド。なにが一番大切なのかが際立ったエピソードだったと思います。たえや七恵の手前、ちょっとかっこつけた、その見栄も佳には大切だったんだろうけど、それ以上に譲れないものがあった。自分のルーツ、先達から引き継いできたプライド、それこそが佳にとっての譲れない思いだっていうのが本当によく現れていて、そうですよね、ヤンキーって仲間とか大切にしますもんね。そういう心意気がどーんと出て、でもってそれが鬼火火粗にも通じたってわけですよ。
ああ、今風ヤンキーのこの人も、根っこには佳たちに変わらぬものを抱えてるのかもなんて思っちゃいましたよ。ぶつかって、わかりあって、根は不器用なのかな? 物騒で乱暴ではあるんですが、なんだかんだで微笑ましい関係です。
『通勤通学クエスト』
面白いキャラクター、表立ってきましたね。サカキ! 一人称がサカキ。漢字で書いたら榊? 柏木と菊池、桜井の3人でいった釣りの話を聞きつけて、自分はさそわれてないってゴネるのね。みんなと遊びたかったのにハブられてショックなのかな? と思ったら、むしろ桜井に懐いているのか。桜井と一緒に遊びたい、その一心である模様。
サカキにとって桜井は憧れの人なんですね。かっこいい桜井。なんでもできる桜井。当然釣りでも大活躍だろうと思っているサカキなんですが、実際にはまったく釣れてない。さらには料理もさっぱり。それを熱心に取り組んでましたよって、嘘はつかずに本当のところをうまくボカして伝える柏木の気づかいよ!
そうしたところを評価してくれる桜井もまた、素直ないい人だなって思いましたよ。平凡な柏木。かっこいい桜井。それぞれの個性がゆえの自然体。桜井はついついかっこつけてしまいがちだけど、柏木はかざらない。でもそれがかっこいいんだといってくれる人がいるのは、とてもよいなあって思いました。その人の持ち味、価値ってのをちゃんと評価してくれる、そんな土壌がここにはあるんですね。
- 『まんがタイムオリジナル』第42巻第3号(2023年3月号)
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