『まんがタイムきらら』2023年2月号、先日の続きです。
『星屑テレパス』
灯台のてっぺんから故郷の歌が聞こえたというユウ。その音を頼りに上へ上へと向かった先のレンズ室、天井を開けて入ることになるのですが、とにかく気が逸ってしかたのないユウですよ。もう本当に落ち着きがない。そんなにも故郷の歌が気になるのかな。やっぱり懐かしさとかあるのかな。
そんなことを思っていたのですが、ユウにとってこの歌はもっと切実なものであったと知らされることになるのですね。
見つかったのは古いラジオ。隕石を磁石がわりに使ってる? 電源不要の鉱石ラジオ。これがどこかしらの電波を拾ったのだろう。冷静に状況を仕分けていく瞬に対し、なんかに憑かれたように故郷の歌に執着するユウ。いったいなにがそこまで彼女を? ええ、思い出せない自分の過去。自分が誰であるかもわからない、その寄る辺もない状況がユウの心をここまで追い詰めてしまってた。
憔悴したユウの姿。それはあまりにも痛ましく、だからこそ続いてラジオから聞こえてきた宇宙語の挨拶! 嬉々として答えるユウに、謎の名前、アキカズとは遥乃の祖父? この不思議な交信が、いまだわからぬユウの背景を知るきっかけとなるのか、あるいはより一層の謎に踏み込むこととなるのか。これまでの普通がいよいよ変わりゆきそうな予感がします。
『しあわせ鳥見んぐ』
すずが見つけたスズメのヒナ。翼とひなに連絡して、双眼鏡にスマホのカメラくっつけてデジスコっぽくヒナの様子を見せるくだり。これ、まさに今の時代のコミュニケーションだなあと思わされて、すごく便利で面白い。わくわくさせられるギミックだなって思いました。
スズメのヒナは巣立ちをしようとしているのだろう。おそらくは近くで親が見守っている。人は手を出さず、ただ様子を見るしかできないという状況に、通りかかる猫! 空にはカラス! 動揺しまくるすずにまさしく共感ってやつでしたよ。いえね、見守ってたら目の前でカラスがパクリみたいなことになったらどうしよう!? って思ってたんですよ。だから、ヒナが必死に羽ばたいて、親のもとへと飛んでいったときには、ああよかった! ここでもやっぱりすずに共感を覚えたのでした。
そして皆でひなの家に向かいます。鳥のヒナがいるというんですが、でっかいお屋敷のでっかい門をくぐった家の軒先、ツバメが巣をかけているんですね。巣で待つヒナのためにエサを運ぶ親鳥、大きく口をあけてエサをねだるヒナ鳥。ああ、春の情景です。
『スロウスタート』
面白い見せ方した回でした。
花名の家に招かれた果実。ふたりアワアワしながらの対面ですが、だんだんにゆったりくつろいで落ち着いて打ち解けていく様が、実にふたりらしくてほのぼのと素晴しいものありました。
でなにが面白いって、この花名と果実のほのぼのやり取りの合間合間に、冠の家で棚をこさえる栄依子のコマがたびたび差し挟まれるのですよ。ほのぼのとアグレッシブDIYのギャップ? コントラスト? それがなんともいえない味わい出してました。なんか、こう突然工具持った栄依子が出てくるのが、な、なんだこれ!? みたいな、で、だんだんその突然の登場が楽しみになってくるというか、そんなおかしさがありました。
今回は果実がホットケーキのクッションに溺れそうになったり、そういう面白いコマもあったのですが、やっぱりいいなと思ったのは、花名の部屋が友達と過ごすことで変わっていったというくだりでしょう。部屋だけじゃなく、花名の気持ちも一緒に変わっていったんだなってわかる。よかったな、花名。そう思えたエピソード。不安に押し潰されそうだったこの子が、今やその不安だったころを振り返れるまでになったんだって、そうした変化、強くなったこともまた嬉しかったのです。
そしてたまちゃん! 花名と果実がふたり一緒にいるの見てそんなにもショック!? お邪魔と思った? なんかネガティブなこと考えてる!? いやほんと、こういうたまての反応。この子もこの子で大変だ! ええ、気になさらないでよろしいのにね。
- 『まんがタイムきらら』第21巻第2号(2022年2月号)
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