『まんがホーム』2022年4月号、先日の続きです。
『座敷童子あんこ』
家賃払えなくてアパート追い出された雪女が空き地に築城した氷の城。この城からも追い出されちゃうわけですけど、これがまさか最後の最後に迫害された霊たちの逃げ場になるとか、まったく予想もしない展開。いやだって、冒頭一発で消費しきっちゃう単発ネタだと思っていたんだもの。こうして息長く、最後まで引っ張ってくるの、見事でした。
今回は住処のなくなった雪女の住まい探し。あんこのところに転がり込もうとか思ってたみたいですけど、あの父ちゃんのいる家だよ? ちょっとおすすめできない。で、ここでまさかの幸太の嗜癖に誤解が発生。いや、まあ大筋には関わらないからどうでもいいか。あんこも同じ判断してるの、ほんとにおかしかった。
雪女の無茶な希望条件。これを満たす物件、はさすがになかったみたいだけど、1件だけ近いのがあった模様。でも訳あり物件。幽霊が出るというのですが、うわ、めちゃくちゃいっぱいいる! なんでこんなに!? ってくらいいる! でもなんら頓着しない雪女の強さですよ。めちゃくちゃ面白い。部屋の綺麗さに興奮して目が開いてるのいいよな。で、霊をものともせずどけるわ踏むわ引っぱるわ、さらにはあんこも参戦してというんですけど、なんだこの霊にとっての天敵みたいなやつら。踏まれた霊を仲間がいたわってるとことか、もう見るだに面白かったです。
この雪女、いろいろとにかく問題ありまくりの困った人ですけど、それだけにこうして出てくると面白い。ええ、非常識と打算の塊。あんことは違うベクトルの面白さが実に魅力的です。
『うちの秘書さま』
今回のエピソード、ドタバタ感あり、ふくらみもありで、すごくよかった。
ホワイトデーのお返しを買うために学校帰りに寄り道します。それをいぶかしがる七瀬。結局白状するはめになったはじめなんですが、さすが七瀬だデリカシーに欠ける! と感心していたら、その後反省なさってるのね。で、すぐさま失敗するの、ほんと面白い。最高ですよね、この展開。
買い物に出た先で出会った本家の執事、高倉さん。彼と一緒の買い物風景。意外や? 人気のある高倉とか、妄想爆発山田くんとか、そして心配りがいきとどいているはじめ様! それぞれの個性、持ち味がよくよく発揮されて、生き生きと魅力、親しみが広がっていきますよ。また、はじめがメイドたちに慕われているその理由も、これ見ればよくよくわかろうもの。愛されてるがゆえに、人に報いるために動くこと、躊躇しないのかも知れませんね。これ、はじめの美徳だと思いましたよ。
そして最後に高倉の失敗。ぼっちゃんと一緒にゲーセンにいったこと、大旦那様に話してすねられちゃったんだ! 可愛いな大旦那様。で、七瀬に着火! ほんと、登場人物ひとりひとりがしっかり動いて面白い。楽しさもまた充実して素晴しいです。
『歌詠みもみじ』
こちらもホワイトデーの情景ですよ。思い詰めている二瓶。いったいどうしたのかと思ったら、坂和に思いを寄せている。ホワイトデーのお返しをきっかけに告白したいと思っているのですね。
でも、バレンタインデーになにか貰ったわけじゃないのか! いや、まあ、きっかけはなんでもいいよな、出ない芽でもなにもしないより可能性はあるわけで。でも同じ告白するなら、逆バレンタインってのやればよかったのでは。まりなの的確なアドバイス。あ、いや、二瓶は逆バレンタインの風習、ちゃんと知ってたのか。知ってたけど動けなかったんだ。
この判断が吉と出るか凶と出るか。ひと月遅らせたことで、坂和の状況が変化してるってこともありえるもんな。
土壇場で日和る二瓶に、背後からプレッシャーかける面々。で、ようやく勇気を出したと思ったら、坂和さん、放課後にデートの約束ですか!? ああ、やっぱりひと月遅らせた弊害がここに出てるじゃないですかあ……!
と思ったら、別にそういうわけでもなかった。というか、もう単純に坂和ちゃんが恋愛方面にあまり興味なし? 二瓶が単純に対象じゃなかった? ともあれ、今回は二瓶本人もそうですが、彼を取り巻く周囲こそが面白い、そんなエピソードでした。宇賀神の凶悪さに、シビアなまりなさん。まりなのこういう現実的で、いうべきこときっぱりいっちゃうところ、好きなんですよ。
- 『まんがホーム』第36巻第4号(2022年4月号)
0 件のコメント:
コメントを投稿