『まんがホーム』2022年4月号、発売されました。表紙は『らいか・デイズ』。満開の桜の下、花より桜餅のらいかです。しかしこの子、おめかしするとこんなにも可愛い。チェックのスカート、暖かそうなカーディガン。風に吹かれて揺れる髪。この子の娘らしさがよく表れたイラストだと思います。『孔明のヨメ。』はいつにも増して色っぽいふたりです。月英の髪に桜の枝を飾る孔明。ああ、美しいイメージです。なかなか本編では見られない、そんな様子が素晴しいです。そして『幽霊さんのための科学的新仮説』巻中カラーの告知カットもございます。
今月は新規ゲストが1本です。
『幼馴染みなんてやってられない。』
幼なじみの女の子、ヒカリ。近しい、親しい、そんな女の子であるのだけど、カイトはその子のことが気になってならない。ヒカリのお気に入りのマフラー、試しに身につけてみれば、ヒカリの香りに幻惑される。さらには、夏休み中にヒカリと一緒に自宅で映画鑑賞してみれば、他愛もないホラー映画、でもヒカリは怖がって身を寄せてきて、やっぱりカイトはもんもんとして……。
このヒカリに対するカイトの、ただの幼なじみではいられない、そんな気持ちと、はたしてヒカリはカイトのことをどう思っているのが、いまだ見えないその気持ちの落差? いつか落着するのかどうなのか、その行き先が見えないところに面白みの根がありそうと感じました。
『天国のススメ!』
今回は草間案件じゃないのか! バイト談義だったはずが、桃園のバイト先のコンビニにオバケが出るという話になって、う、うらやむなっ! 草間っ!
人気の漫画雑誌の発売日に決まって出るので、立ち読み太郎とあだ名されているその幽霊。よっぽど漫画が好きなのか、子供なのかオタクなのか。そう思っていたものの、どうも様子が違っている。本は見ていない、入り口をずっとうかがっている、どうも目当ては小さな女の子? パパかと思ったらその女の子、パパと一緒に入店してきて、ということは幽霊にしてつきまとい案件!?
警戒した太一にあわやデコピンでふっとばされるところだったこの幽霊、話を聞いてみれば、なるほど死別した本当の父。今のお父さんはお母さんが再婚したお相手なんですね。
成仏しなければ、そう思っているこのお父さん幽霊。娘の成長を見届けられないことが心残りなのか。あまりの切ない話に、桃園のみならずコンビニ店長まで泣いちゃって、そしてこのお父さんの娘を守ろうとする思いの通じるラスト。ああ、もしやこのためにこのお父さんはこの世に残り続けたのかも知れない。
かくして、父は新しい父へと娘を託して成仏を果たすんですが、このふたたびの別れもまた切なさあふれるものでありました。思いの深さに泣けるのです。
『孔明のヨメ。』
月英の見つけた密航者。孫尚香の処遇をいかにするか。考えた末に、身分は隠した上であえて姿をさらさせる策を打つというんですね。驚いた孫尚香。隠れている限り見つかるリスクは常に存在する。しかしこちらから申し出て乗船許可さえ取りつければ、無用のリスクを抱える必要もなくなる。
ここからの月英の働き。なぜ孫家の兵がこの船に乗り込むことになってしまったかにはじまり、名を明かそうとしない理由までも皆の納得いくようでっちあげて、さらに船の責任者、孔明にだけは訳有り案件であることをそれとなく知らせる。
この月英の考えを推し量って、策を受け入れる孔明。さらにはなぜ月英がそんな行動に出ざるを得なかったのか、その理由にまで思い当たるという、さすがの洞察力。ここで月英に対する信頼がアップするのもまたよかったですよ。
さて、ここからしばらくは、孫尚香の見聞きする劉備とその周辺といった運びになりそうですね。まずは劉備との出会い、感情豊かで人情に厚く、そして腹が座っている人物。魯粛、周瑜、孫尚香、それぞれの見る劉備のひととなり、その評価がまた面白くて、とりわけ孫尚香ですよね。魯粛や周瑜と違ってどこかシリアスさに欠ける、そんな緩さに魅かれます。
『オレの愛で世界がヤバい』
突然現れて結衣のことぶちのめすとかいってきたちびっ子上級生。てっきり万丈の幼なじみとかかと思ったら、違った! 全然違った! かつて万丈に告白されて、きっぱりとふった女の子。でもその後、だんだんと万丈のことが気になって、気づいたら好きになってしまった。
小山葉月、自称万丈の元カノ。思い込みがはげしいタイプでいらっしゃる!? でもって過激派。結衣に対してはらわた煮えくり返ってるのだそうでして、法がなければ暴力に訴えたい。ああ、葉月、すごくいい……。カテゴリーとしては危険人物だと思うけど、この気持ちはよくわかる。普通はなかなか口にしないことだけど、同じ思いを抱く人はきっと多いよ。ええ、正直私も同じタイプです、と思ったけど、葉月ほど思い込み力は強くなかったわ……。
万丈が葉月にフラれた後、これがちょっとしたターニングポイントになってるんですね。万丈が父から受けたという人を好きにならない修行、それがこのタイミングだった。でも、この修行が完了するまでの間、そして葉月の気持ちがだんだん万丈に傾いていったことを考慮すれば、一瞬でも両思いになった時期があるのではないか。
結衣、なんか核心に迫りつつあるのでしょうか。しかし、最初は恋愛成就を目的に動いていた結衣なのに、気づけば万丈の謎を追おうとしているなど、この漫画、展開にかなりの幅があるなあ! ええ、いずれは世界の行方にまで絡みそうな勢いで、あちらへ、こちらへと行き先、目先が変わるのが楽しくてしかたありません。
- 『まんがホーム』第36巻第4号(2022年4月号)
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