2022年2月22日火曜日

『まんがタイムきららMAX』2022年4月号

 『まんがタイムきららMAX』2022年4月号、昨日の続きです。

『白魔導士はゾンビの夢を見るか?』

ピンチを乗り越え、新たな町に到着したアヤとリルー。大きな町だから物資もたくさんあるだろう、希望を感じさせてくれた冒頭の情景からこんなにも厳しい展開に入っていくだなんて、まるで予想もしませんでした。

そもそもの前提が、ゾンビアポカリプスの世界です。ただひとりの生き残りかも知れないアヤ。はじめっからハードモードとしかいいようのない状況を、このふたりの明るさでなんとか後ろ向きにならないよう気持ちを引き上げてきた。ところが今回は、いつになくアヤがシリアスで、というのもこの町にはかつて家族と一緒によく遊びにきていたからだというのですね。

お店や映画館、公園といった思い出の場所、それらがことごとく荒れてしまっている。かつて賑っていた頃を知っていただけに落ち込みが深い。人の不在がより色濃く感じられるのでしょうね。みるみる元気をなくしていくアヤが見るだにつらそうで、しかもこの状況でレサナが尽きてしまうというのです。

もう出歩こともかなわない。食料の調達もできない。とりあえず拠点を確保できたのはよかったのだけど、そこで語られるアヤの経験したこと。この世界が終わりに向かっていくこととなった、その経緯。ああ悲しい。ゾンビ禍の拡大をとめるべく東京に向かったアヤの母。なにか、この災厄を食いとめられるような研究をしていたというのですね。かくして父とふたり家に立て籠ったアヤだけれど、徐々に悪化していく状況の中、父を失い、ひとりになってしまって……。

この絶望的な回想! ずっと能天気と思えるほどあっけらかんと振る舞ってきたアヤの、そのようにしなければならなかったろう悲しみ、つらさが感じられるようで、拭いがたい重苦しさが胸の中に残りました。この子がリルーと出会えたこと、これはこの子にとっての救いとなったんじゃないだろうか。異世界からの来訪者、けれど同じ苦しみを共有しないことが、逆によかったのではないかと思ったのです。

『SAN値直葬!闇バイト』

この漫画、登場人物がいろいろあかんと思う。とりわけ主人公のあかり。授業中も定まらぬ視線でぐらぐら揺れている。まあ、眠いんだよね? わかるよ。さらにこの子の場合、腹も減っている。そうでした。この子は困窮しているのでした。しかしそれにしてもこの子、いろいろ心配になる子です。学校で闇バイト仲間のこよと出会ってからの会話ですよ。結構な額もらったバイト代、連日の寿司屋通いで使い尽したんだ。おいしいもの食べたい、その思いはわかるけど、計画性というものは持ちあわせていないのですか!?

まあ、ないんだろうなあ。というか、この散財、浪費、もともとのこの人の性向なのか、あるいはあの胡乱な闇バイトの影響なのか。身体が海産物を求めるとかいってる。夜、不穏な夢を見るともいっている。こよのそれは、海棲生物のひたひたと忍び寄る怖ろしげなもので、対しあかりはというと、状況こそは変わらないのに、捕えて食う気満々なのか。しかも現れたのが半魚人でも気にせず食っちまうのか。

やべえ、やべえなあかり。お前さんにこそ冒涜的という形容が相応しい。

ふたりの見た海にまつわる悪夢は、前回ぬいぐるみにして捕えたダゴンの影響によるものなのか、あるいはラブクラフトのモチーフに海産物ベースのものが多く見られるゆえなのか、そのあたりはまだよくわからないけれど、とりあえず次の獲物も海産物、学校に現れる半魚人だそうですよ。

しかし、危険なバイトに派遣されるふたりに提供された頼りになるお供。まさかのショゴスか! やべえ。およそ味方とは思えぬその容貌。半魚人でも食いかねないあかりが気持ちで負けるってんですから相当です。

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