『まんがタイムきららフォワード』2021年8月号、昨日の続きです。
『ねことちよ』
急な雨に降られてしまった4人。体を冷やしちゃいけないからとお風呂に入って、そして夕飯はちょっと楽して出前をとりましょう。お寿司でも頼みましょうか、ちよが提案したらば、俄然目の色変えてくる3人がめちゃくちゃ面白かったです。というか、ふみがここまでテンションあげてきたことってあったろうか!? いや、わりとあったわ……。
今回はふみの意外な側面、たくさん描かれていましたね。実はかなりゲームやりこんでるとかね、それからお寿司、そんなに好きなの!? あのエビ食べてる時の表情! 目! めちゃくちゃ面白い。よっぽどだったんだろうなあ。
ねこはいくらとサーモンが好きな模様。あ、どっちも鮭じゃんか。子供は玉子とかかっぱ巻き食べとけってまきがいってますけど、昔、サーモンが寿司ネタになかったころは、子供の食べるのは玉子と相場が決まってたような気がします。いや、そんなに寿司を食べてたわけじゃないから、知らんっちゃあ知らんのですが。
みんなでお寿司食べて、夜も更けてきたらねこを寝かせないといけない、川の字に並んで、ひとり多いけど、そうして寝てる様子が楽しそうで、ほんといい情景でした。地味にふみがちよの布団を堪能してたりと微妙にヤバいんですけど、そういうのも含め、皆にとって楽しい、なんかちょっと特別な感じのする一日だったみたいですね。その心の浮き立つような感じが伝わって、こちらも心が踊るようでした。
『さよなら幽霊ちゃん』
校内で世話をしていた猫、サチを探してほしい。依頼を受けて探したものの、時すでに遅し、サチは死んでしまっていたのでした。
サチの探索を請け負うようにうながしたのは幽霊ちゃんでした。これ、最初から全部わかっていたんですね。霊になったサチがこの部室にやってきて、自分の居場所も知らせてくれていて、すべてを察した幽霊ちゃんがサチの最後の願いをかなえようと動いてくれた。
この迷い猫のエピソード。頼み事を持ち込んだのが漫研の城田先輩。以前とうこが所属していた部の先輩だったわけですが、退部届も出さないままに部に出なくなってしまったとうこのこと、気にしてくれていたんですね。先輩ぶろうとした結果とうこを追いやるハメになってしまった。その後悔と詫びたい気持ちを抱えて、あえてとうこのいるこの部へ依頼をしにやってきたというんですね。
この漫画、どこか気鬱な影があって、どこか不穏な陰りもあって、でも同時に、くすんだ気持ちを慰撫しようとする、そんな優しさもあるように思うのです。今回などはまさしくその典型ともいえるもので、逃げ出してしまった負い目で部にも出られない、先輩と顔もあわせられなくなったとうこの重荷と、後輩をそんな目にあわせてしまった軽率を悔いる先輩と、両者の気持ちのとどこおりが同時に晴らされる顛末は読むだによかったなあと思わずにはおられないものがあって心に沁みました。
人の思いを知るということ、そしてその思いに応えようと動いたこと。その瞬間の気持ちが一度に動き出す様は一種衝動的でもあり、発火するかのような鮮烈さが心を奪っていきました。そして続く、ふたりの心残りが解けやわらいでいく様。言葉少なに物語られる心の機微は静かで穏やかで、豊かで雄弁でした。
- 『まんがタイムきららフォワード』第15巻第8号(2021年8月号)
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